震・ヤンでれ…バイト・終…
凛side
「どうぞ~」
隣のGは一体なにをやっているんだか。
私は隣で男を吹き飛ばしているGを見て呆れる。
それに比べてこちらは平和なものだ。
なにせ元アイドル、この手の仕事はこちらに部がある。
「君可愛いね、この店いったら君に会えるのかな?」
こんなちょっと顔に自信があるのかわからないごm、男が話かけてきても
「それはいけばわかりますよ♪ 特別にもう一個ティッシュあげますね」
「あ、ありがとう! 絶対いきます!」
さりげなくティッシュも多く減らし、店に客を来るように仕向ける。
ま、私は将君の写真が手に入ったらもうあの店で働くことなんてないから、あとのことは知らないけど。
しかし認めたくないけどさすがにしぶとさはG級、私のほうが先に終わると踏んでいたけど、よく見ると向こうもすでに段ボールが二箱目に突入している。
「君、アイドルのTENSHIに似てない?」
「ああ、よく友達に言われます」
ぐっ、たまにこうして私の正体に気づきそうな輩がいるから面倒くさい。これのせいで隣との差が縮まないのだ。
「これ、俺のアドレスなんだけど、よかったら今度お茶でもしない?」
ああ、うざい、本当にうざい。殴っちゃだめ? だめだよね? ああうざい……
凛は自分に手を出してはいけないと言い聞かせ、落ち着いた口調でいった。
「鏡を見て出直してどうぞ」
そういって私は渡された紙を丸めてごみ箱に投げ入れた。
さぁ、ティッシュ配り頑張るぞ!
将side
「よかったらどうぞ~」
東口にたどりついた将は、さっそくティッシュ配りを始めたのだが……
「やっぱなかなか減らないな……」
さっきからティッシュを差し出してはいるんだが、受け取ってくれるのは8人に一人といったらところ、受け取ってくれるのはじいさんやばあさんばかりだ。
というか他にもティッシュ配ってる人がいて、みんなそっちの人のティッシュを受け取っている感じがする。
いや俺だってこんな格好した男より、絶対普通の不動産とかのティッシュもらうわ。
とはいっても、あの二人は自分の倍はティッシュを持って行ったのに、半分の自分がだめでしたとあきらめていいはずがない。というかやだ。
ぐいぐい
と、その時、後ろから服を引っ張られた。
「はい?」
後ろ振り向くと、そこには
「ねぇねぇ、何してるの?」
いつかのうさぎのぬいぐるみをもった女の子が立っていた。
「お前、この前のうさぎっこ」
「うさぎっこ? ああ、私は石河 真夜だよ」
石河の性ってことは、やっぱりこの子はあの石河財閥の娘ってことか。
「ねぇねぇ、それで何してるの?」
「見てわかるだろ」
将は手に持ったティッシュと、残りのティッシュを見せる。
「ああ、コスプレ見せびらかしてるの?」
「そうそう……って違うわ! ティッシュ配りのバイトだよバイト!」
「ティッシュ配りぃ? それって楽しいの?」
「いやバイトだから別に楽しいもなにもねぇよ」
「そっか! じゃあ私と遊んで!」
満面の笑みでそんなことをいう真夜。
「そっか! じゃないよ! バイトだっていってるだろ! これ空にするまでは帰れないの! わかったらさっさとどっかいってくれ、ほらティッシュやるから」
将はティッシュを一つ渡してしっしと手で追い払う。それが不満なのか、真夜はぶ~と頬を膨らませた。
「いや、そんな顔されてもこまんだけど……」
「なら、それが空になったら遊べる?」
「まぁ少しならな」
「わかった」
それだけいうと真夜はうさぎの人形の背中のファスナーを下ろし、中からスマホを取り出した。
いやそれバックがわりだったのかよ。
すると真夜はすぐにスマホをぽちぽちと操作しだした。
「なにしてんだ?」
「すぐ来るって」
? 友達でも呼んだのか?
「なにが」
「豆男」
「いやいや何で!? 呼ばなくていいよ!」
「大丈夫、こないだの件ならおしおきしといたから」
おしおき!? あんな怖面のおっさんを!?
そして真夜の言う通り、すぐに何台もの黒塗りの車が集まってきた。
「お嬢! お呼びで!」
「呼んだ」
あっという間に集まった黒服の男たちは、全員綺麗に真夜の前で膝をつける。
「貴方たちにやってもらいたいことがあるの」
「お嬢の頼みならなんなりと!」
「その前に」
とそこでいきなり服を掴まれ、黒服の男たちの前に差し出される。
え、なに、なにされんの俺。
「言うことがあるでしょ?」
言うこと、あ、ベンツ壊したことを謝罪しろってことか!? それとも弁償しろってことか!? と、とにかく謝らないと!
と、そんなことを考えていると、
「桐ケ谷 翔さん……」
「は、はい!」
豆男さんたちは一斉に頭を自分につけた。土下座というやつだ。
「「「「「「「この間は! すいやせんでした!!!!」」」」」」」
そして大声で謝罪、人数が人数なので、周りの人たちは耳を抑えていた。
かくゆう将も近距離で食らったため、頭が揺れる感覚が襲ってきた。
耳いてえええええ!
「えっと、あの、大丈夫なんでとりあえず頭上げてください」
「ありがとうございます!」
将の一言に男たちはバッと一斉に立ち上がる。
この人たちは軍隊かなにかなのか?
それよりも、ベンツをぶっ壊したのはこっちなのに、なんでこっちが謝られるんだ? すっきりしないので、真夜にこっそり聞いてみると、
「車なんて腐るほどあるから別にいいんだよ、それよりもしょーちゃんを襲おうとしたほうがだめ、絶対」
「車が腐るほどって……いやそれよりもそのしょーちゃんっていうのはもしや俺のことか」
「そうだよー、将だからしょーちゃん、可愛いよね」
いや自分の愛称勝手にかわいくされても困るんだけど……
「あ、そうだ」
と、そこで思い出したように真夜は豆男たちに言った。
「今しょーちゃん、ティッシュ配ってるみたいなの、だからみんな一つずつ持って帰ってね~」
「「「「わかりやしたぁ!」」」」
「は?」
その後、3分もしないで男たちにティッシュを全てもっていかれ、残ったのは空の段ボールと、ニコニコ顔の真夜一人。
わざわざティッシュをなくすためにあの人達を呼びつけたってことか……?
「じゃああそぼ!」
「え、あ、はい」
予想以上のお嬢様っぷりに、ただただ驚かされる将であった。
一応続きを、フォルダに完結したのがありましたが、あまりに納得できない終わり方だったので、全部読む直して変更致します
ありがたいことにまだ続きを読みたいという方がいてくれたので、投稿させてもらいました。正直当時の文章と変わってしまってるかもしれません。極力似せるよう努力しますので、そこはご了承ください。
また、現在全話見直し+少し書き直しを行っております。本当は全話直してから続きをと思ったのですが、それだと時間がかかりそうなので、とりあえず先にこちらを上げときます。
新作と同時に更新しておりますので、あまり更新ペースは期待しないでください……
感想、要望などがあればよろしくお願い致します。