震・ヤンでれ…バイト…
さて、そんでもって着替えた結果……
着替えた自分の姿を鏡で確認してみる。
……タキシードっていってもただのスーツか
思ったより、ふつうのスーツとあまり変わりない感じで、見た目的にもただの若いサラリーマンくらいにしか見えない。
スーツよりも少し体の締りが強いって感じかな? まぁなんにしてもそんなひどい感じじゃなくてよかった。
それにしても今日一日中この格好で仕事するのか……
自分の格好をみて少し鬱気味になりそうな気持ちになったが、頬を一回叩き、すぐに気を取り直して着替えてトイレから出た。
カシャカシャ!
「素敵ですお兄様!」
……
カシャカシャ!
「こっちに目線お願い!」
二人のメイドにスマフォで激写されました。
まるで引きこもってた犯罪者が警察に連れて行かれる時の気持ちだ。
そんなどうでもいいことを思いつつ、将は流れるように二人の頭を叩く。
「遊びに来たんじゃないんだぞ、バカなことしてないでいくぞ」
そう言いながら二人の間をすりぬけるが、後ろから二人がついてくるまったくない。
階段の前まできて将は少し足を止める。
もしかして、強く叩きすぎただろうか、普段のあの二人を知っていればそれはないと思うんだが、二人はまぎれもなく女の子に変わりはない、打たれるのは弱いのかもしれない。
そうなるとやはり誤った方がいいのだろうか、だが別に俺は悪いことしてないんだが・……
複雑な気持ちを抱きながら、将はちらっと後ろをそっと振り向く。
すると叩かれた頭を触っていた二人と目が合った。
……
…………
「「SM「先いってるぞ」」」
やはり普通の女の子とは少し違うと感じる将であった。
「はい! 集まったわね」
着替えを終えた3人は、幸代さんのところへ集まった。
ちなみに明は二人のメイド服に興奮して写メを取ろうとしたところ、二人にスマフォごと目つぶしを食らって部屋で気絶中だ。
「それにしても本当に静香ちゃんたちは似合ってるわねぇ」
うんうんと満足気に頷く幸代さん。
「ほら、将ちゃんも何かいってやりなさいよ!」
「え、ああ、すごくよく似合ってると思うよ」
言われて改めて二人の格好を観察してみる。
全体的に白のメイド服で、胸元が少しはだけてるタイプのようだが……
「なにその反応、将ちゃんの好みじゃなかった?」
それを聞いて二人が目にわかるくらいしょぼんとしてしまった。
「いやいやいや、本当にすごい似合ってると思うんですが、別にそこまで珍しくもないというか」
「え……普段からメイド服着せてるってこと……?」
「なんでそうなるんですか、違いますよ引かないでください」
まったく、やっぱり幸代さんは冗談で言ってるのかわかりにくいな。
隣の二人から「いつでも着てあげるよ?」と聞こえたがスルー。
「静香は妹で普段着から学校の演劇の時の衣装とか見てるし、凛はアイドルの衣装でいろんな恰好してるし、別にメイド服が珍しいってあまり感じないだけですよ」
「なるほどねぇ。でもそれって他の男の子からしたら殺したいくらいうらやましいことなんじゃない?」
「あー、まぁ……」
毎日のように殺気を浴びつづけていますし、実際拉致監禁されたこともありますよ。
なんて言えるわけもなく、ただ言葉を濁しておく。
幸代さんもそんな態度から何か悟ったのか、「まぁいいわ」とそれ以上追及はしてこなかった。
「じゃあそろそろいい時間だし、働いてもらいましょうか」
「そろそろ開店時間か。それで、俺たちは具体的に何をすればいいんですか?」
何をするといっても、レジと本出しくらいだとおもうけど、5人でやる必要はあるのだろうか。
なんてのんきなことを考えていると、幸代さんから3つの段ボールを1つずつ手渡された。
「なんですかこれ?」
「開けてみればわかるわよ」
と最高の笑顔を見せる幸代さん。
嫌な予感しかしない。
重さ的本のようなずっしりした重みではないが、
将たちはそれぞれ段ボールのガムテープをはがし、箱を開いた。
そこに入っていたのは……大量のポケットティッシュ……
「幸代さん……これまさか」
将は段ボールを閉めて恐る恐る幸代さんの顔を見る。
「さぁ、駅前へGO♪」
満面の笑顔が、将には鬼にしか見えなかった。