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ヤンでれ…  作者: XXXX
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震・ヤンでれ…映画…

 というわけで有無を言わさず連れてこられたのは、普段から何かとお世話になっている駅前のデパート、永杉屋。


「んで? なぜにデパート?」


「? 何か不満でもありますか?」


 右腕に張り付いた静香が上目使いで言う。


「いや、別に不満があるわけではないんだが……」


 同じく左手に張り付いた凛が言う


「ならいいじゃないですか」


 確かに、これが本当に彼女らの望むデートなら文句は言わない、が、将は納得していなかった。


 本当にこれが、あの二人の望むデートなのだろうか?


 まぁ正直デートをしたことがないため、将にもあまりわからないのだが、デートと言えば、遊園地とか水族館とか、そういうところを想像していた。


 普段からいっているデパートなんてこいつらが考えたにしては生優しすぎる気がしてならないんだが……気のせいだろうか……


 疑いの眼差しで二人を見る将。


「? どうしましたお兄様? そんなにじっと見て……心配しなくてもファーストキスはお兄様のために取っておいてますよ?」


「もちろん私も」


 即効で勘違いする二人。


「お前らの考えてることは永遠に読めない気がするよ……」


「「?」」


「まぁいい、ところでこれからどうするんだ?」


 といってもデパートに来たんだから、何か見て周るんだろうが、


 とりあえず三人はエレベーターの隣にある大きな店内図へと来ていた。


「お兄様が決めてくれて構いませんよ?」


「そうだね、せっかくのデートなんだから、男の人にエスコートしてもらいたいな」


 なんのためにここにつれてきたんだよ。と文句を言ってやりたくなったが。デートで男が女にエスコートされているのは一里あるので、仕方なく地図を見て将は考える。


 女の子が行きたそうな場所か……やっぱり洋服とかだろうか? 個人的は本屋もありだと思うけど……


 と、そこまで考えたところで、将は体がちりちりと焼けるような感覚を感じた。


 なんだ? と周りに視線をやると、その原因はすぐにわかった。


『なんだあいつ?  あんな可愛い子二人に二股か?』


『見せつけやがって』


『リア充溺死しろ』


 男達の嫉妬や憎悪の視線が、いつの間にか将達を囲むように出来上がっていた。


 まぁそりゃあそうだな。こんなアイドル顔負けの女の子を二人もはべこらせていたら、そういう視線になって当然だろう。


 さっさと移動したほうが良さそうだな。こいつらの怒りがいつ爆発するかわからないし、それに――


「お兄様? 安心してください、いつでも殺れます」


「私もOKだよ」


 こいつらに動かれたらまずい。なんかもう笑顔の裏にドス黒い何かを感じずにはいられない。


「俺は全然OKじゃないよ」


 将はそう言って、その場から逃げるように開かれたエレベーターへ駆け込んだ。もちろん腕に付いている二人も連れて、


「なんだ、殺らないんですか……」


「ちょっと残念……」


「冗談も対外にしといてくれ」


「「……?」」


 二人が顔を見合わせて目をパチクリさせる。


「頼むから冗談だといってくれよ……」


 十中八九冗談じゃないんだろうけどな……


 将は何か諦めの溜息を吐いて、8階のボタンを押す。


「あ、最初の目的地は映画館ですか?」


「ああ」


 というかぶっちゃけドラマやらアニメとかで、デートは大抵映画館と相場は決まってるみたいだから、無難な線をえらんだわけだが、


「嫌だったか?」


「いいえ全然、私に異論はないよ。将君」


「もちろん私も大丈夫です」


「そうか、よかった」


 キーン、八階です。という機械音と共に、エレベーターの扉が開かれた。


 フロアに入ると、柱や壁に様々な上映中の映画が並べられており、映画グッズの販売所なども設けられていた。


 休みだと言うこともあってか、家族連れやカップルで来ているのがほとんどのようだ、まぁ一人で映画っていうのもあまりピンとこないが、


「それでお兄様、なんの映画を見るんですか?」


「え、ああいや、そこまでは決めてなかったんだけど」


「まぁ、そんなことだろうと思っていたけど、じゃあ今決めちゃおう」


「そうだな」


 将達はなんの映画を見るか決めるため、フロアを見てまわることにした。


 選択指① アニメ


「とある聖騎士の白舞踊か……」


「内容はファンタジーでしょうか?」


「有名な小説の映画化みたいだね」


 見た感じは静香の言うとおりファンタジーっぽい。概要を見ると、裏舞踏会に入りこむ聖騎士の話みたいだが、先の展開が読めなくて中々楽しめそうだ。


 だがこういうのはデートの時にみるものではない気がする。


「とりあえず保留ということで」


 というわけで次へ


 選択指② ホラー


「死滅……」


「たくさんの異形なゾンビ達が人間を食いつくしていくって……怖い系と言うよりグロい系っぽいですね」


「う~ん」


 二人が微妙っぽい顔をしているのをよそに、将は顔を青くして視線をポスターから外す。


 実は将は昔からこの手の映画が大の苦手なのだ。理由は単純、怖いから。


 だが男で幽霊が怖いなんてかっこ悪くて言えない、ここはそうそうに立ち去ろう。


「あ、あっちの映画はなんだ?」


 将は自然を装いながら、柱に貼られている映画のポスターを指さす。それに乗っかるように静香と凛も将の指した方に興味を乗せる。


 よかったなんとかバレずに済んだみたいだ。


 選択指③ 恋愛


「山手線恋物語か」


「最近テレビでよく見る恋愛物ですね」


「カップルで見る映画NO1だった気がします」


 二人の言うとおり、最近ニュースなどで見る恋愛映画だ。なんか賞も取ったみたいで話題の作品。


 内容はよく知らないが、山手線が関係する映画なのはたぶん間違いないと思う。


「さてと、すぐに見れるのはこの3本か」


 後はこの3本のどれを見るのか決めるだけだ。


 とりあえずホラーだけは絶対に見ないと心に決める将であった。


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