特別編~温泉へGO!~
久々の更新です。こないだ温泉いったこともあって、今回は300人お気に入り突破記念で、書いたのですが……
現在将たち桐ヶ谷一家、宮代一家は、家族全員でお出かけ中、その先とは・・・・・・
「お兄様、温泉楽しみですね」
「……ああ」
将は少し表情を濁らせて返事を返した。
現在将達一行は、山梨にある温泉、鐘の山苑に向かって車で移動中なのだ。
「なんですかお兄様、その間は?」
「いや、特に深い意味はないぞ」
ふくれっ面になった静香をたしなめるようにさらっと返す将。
正直将はこの温泉にくることにあまり乗り気ではなかったのだ、理由はもちろん、
「あ~、お兄様と一緒に温泉に入れるなんて、夢のようです・・・・・・」
「あの、うっとりしてるとこ悪いけど、俺お前と混浴なんか絶対入らないからな?」
「え~~!」
「え~~、じゃない!」
将の返答が予想外だったのか、静香が心底驚いた表情を作る。その時、前で運転している静香の母、千鶴さんが話に割り込んできた。
「静香、あんまりふざけたことを言うもんじゃありませんよ」
「お母さん……」
さすがは千鶴さん、娘の不埒な言動に鋭く注意する。これが親の貫禄という奴だろうか。
さすがの静香も。母親に注意されてか。押し黙ってしまった。
「そんな年になって男性と混浴とは、ましてや義兄である将さんとなんて、許されるはずありません」
うんうん
千鶴さんの言葉に同意を示すように、将もうなずく。
「それに、将さんと混浴に入っていい権利を持つのは、母親のかわりである私だけです」
「そうそう、ってそうじゃないですよ千鶴さん!」
「え~~」
「だからえ~~、じゃないですって!」
訂正、貫禄など微塵も感じられなかった。
というかさすが親子、行動が先ほどの静香と類似している。
ーーはぁ、だから来たくなかったんだよ……
もうおわかりいただけただろうが、将が温泉に行きたくない理由は、静香達がいるからである。
だってどう考えても何らかのトラブルが発生するに違いないから、それでも将が温泉に行こうと思ったのは、
「お兄ちゃん、温泉楽しみだね!」
「そうだな、実」
実が行きたいと言い出したからだ。最近あんまり遊んでやれなかったし、弟の頼みとあれば兄としては断るわけにはいかないからな。
「一緒に露天風呂も入ろうね!」
「おお! もちろんだとも!」
車の中で元気にはしゃぎ回る実を見て、将は頭をなでなでしてあげる。
ああ、やっぱり実はいいな~
実のかわいさについ惚けていると、車内の空気がピリピリとしていることに気づいた。
近くを見ると、静香がジト目でこちらを見、バックミラーから千鶴さんもジト目でこちらを見ていることがわかった。
「お兄様・・・? 私達の時とはずいぶんと反応が違くありませんか・・・?」
「違うってお前、別に男同士なんだから問題ないだろ」
「男なら別にいいっていうんですか?」
「いや、だって温泉て男同士、女同士で入るところだろ」
将が冷静に正論を答えると、静香が身を乗り出した。
「それは今問題となっている男女差別発言ですよ! お兄様!」
「いや! 全然関係ないから! 一般発言ですから!」
「これは言い逃れできませんね。将さん」
「ちょっと千鶴さん、それっぽく言うのやめてくださいよ! むしろ言い逃れしかできませんよ!」
「なら弟妹差別ですねこれは」
「勝手に変な差別作るな!」
「いいえ、弟妹母差別ですよ」
「だから千鶴さんも乗ってこないでください!」
こんな感じで、将達を乗せた車は温泉へと向かっていったのだった。
「ここが鐘の山苑か……」
休憩を挟んで車で1時間半ほどで、将達は目的地の温泉へと到着した。
車を旅館の正面へと止まると、仲居さんの人であろう和服を着た女性が、複数人かけよってきた。
そして車から出た将達を確認すると、一人の仲居さん以外の人達が、車から荷物を丁寧かつ迅速に運び出していた。
へぇ~、今は荷物を持ち運んでくれるものなのか、すごいな~
将が仲居さんの働きぶりに関心すると、のこっていた仲居さんが深くお辞儀をしてきた。
「よくぞいらっしゃいました。本日は旅館・鐘の山苑にお越しいただきまして誠にありがとうございます」
「い、いえ! こちらこそ!」
「あ、ありがとうございます!」
あまり温泉に来た経験のない将と実は、慌てた様子でお辞儀しかえした。
まさか返事がくるとは思わなかったのだろう。仲居さんが一瞬驚いた表情を見せたあと、「いいえ」といってすぐに優しそうな表情を作って、旅館へと招き入れてくれた。
「……でっか……」
旅館に入った途端、将はおもわず子供みたいな感想を口に出していた。
しかし将が驚くのも仕方ない。なにせ入口のロビー、フロントだけでも、学校の体育館と同等を程の大きさはある。
もちろん広いだけではなく、装飾、設備も行き届いているのが良く分かる。
全体的に和をイメージした旅館なのだろう。フロントに置いてある像は、石製ではなく、全て木製で作られており、生け花なども飾られている。
さらに驚きなのは、旅館の中に川が流れているところだ。川のあるところには小さな橋が備えられており、旅館の中でも自然を強く強調している感じがする。
それに旅館に入ってすぐ正面に、音楽でもするのか、大きなステージまで備えられている。更には至るところにソファーはテーブルがいくつも設置させられており、正直圧倒されてしまった。
「じゃあ私はチェックイン済ましてくるから、将さん達は向こうにでも座って待っててもらえる?」
「あ、は、はい」
千鶴さんはそれだけ言い残すと、仲居さんと共にフロントへと向かっていった。
「お兄様、あちらに腰掛けましょう」
「ああ、そうだな」
静香が穏やかな表情を作りながら、端にあるソファーを指さす、特に断る理由もない将も、頭を縦に振る。
二人でソファーへと腰掛けると、緊張していた心が放たれたように、ふぅっと軽くため息を漏らしてしまった。
「ふふっ、緊張はほぐれましたか? お兄様」
「ああ、なんとか……」
「そんなに緊張しなくてもよろしいんですよ?」
「まぁ、それはそうなんだけどさ」
静香の言うとおり、泊まりに行く客が緊張する必要はないのだが、旅行自体数回しかいったことがなく、しかも自分の知っている温泉とは違う雰囲気に、つい緊張してしまったのだ。
「ほら、お兄様、実君だってあんなに元気ですよ?」
確かに、視線を少し外に向けると、フロント内を走りまわる実の姿目に移った。
所かまわずおいてある像などに触れたり、川を触ってみたりなど、その行動は子供っぽいところが目立つ。まぁまだ子供なんだけどね。
それにしても――
遊びまわっている実、なんて可愛いんだろうか。これはもうあれだ、キーホルダーとかになったら大人気間違いなしの愛らしさを持っているといっても過言ではないと思う。
「お兄様」
「んあ?」
「顔がひどいことになってますよ」
「まじか」
将は言われて慌てて顔を両手で挟む。
どうやら実の可愛さにあてられて顔が緩んでしまったようだ、今度から気をつけないと……
静香のジト目を避けていると、チェックインを済ませた千鶴さんがやってきた。
「とりあえずチェックインは済ませたから、これからみんなでここにいきましょ」
そう言って千鶴さんが手に持っていた紫色の和紙をテーブルに並べる。
「茶室、清流冠?」
「お茶?」
千鶴さんのもってきた紙には、達筆な字で茶室清流冠と大きく書かれていた。
「そ、せっかくだし、みんなでいってみない?」
こんなもんまでもらえるのか。と思いつつ、将は賛成に一票を入れる。
「いいですよ」
というかそもそも将と実は連れてきてもらっている身、賛成もなにも千鶴さん達の行きたいところには付き合うのが道理だろう。
それに茶室なんて入ったことないし、正直少し興味もあるのだ。
すると静香もすぐに答えた。
「私もお兄様が行くのであれば異存ありません」
「じゃあ、決まりね。実くーん! 移動するわよ~!」
「は~~い!」
「ではお兄様、参りましょう」
「ああ」
こうして将達は茶室・清流冠へと足を向けたのだった。
2日間を書こうと思ったが……なげぇ!!
というわけで続きは……わかりません! すいませぬ!