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ヤンでれ…  作者: XXXX
22/32

震・ヤンでれ…罰?…

 現在将は、自宅の自室で正座をさせられていた。


 理由はもちろん――


「さぁ、お兄様説明してもらいましょうか?」


「あの子とはどういうご関係なの? 将君」


 尋問です。


 結局あのあとどうなったかと言うと、炎上したベンツが原因で、すぐに市民の味方であるパトカーが参上してしまったので、将達は面倒になる前に逃げてきたのだ。


 いやぁあの時の静香達は、マジでやばかった(相手が)ので、正直助かったと思ってる(法的に)。


 そして仲良く三人でうちに来て、玄関でロープで縛られ、部屋に連れて行かれ、こうして二人に――


「速く吐いた方が身のためですよ? 将さん?」


 ではなく、三人に尋問をされているという状況だ。


「ってちょっと待って! なんで千鶴さんまで自然にそっち側にいるの!?」


 しかも今日の出来事知ってるみたいだし!


 そんな将に対し、静香が腕を組んで目を細めた。


「お兄様? 今はそんなことを聞いているのではないですよ?」


「そうだよ、ちゃっちゃとあの雌豚、いえミジンコ、いえ生ごみとの関係を教えて」


「言い直してどんどんひどくなってるよ!?」


 というかついに生き物ですらなくなってるよ。


 アイドルの時に凛に何かあったのだろうか? 昔はこんなことを言う子じゃなかったはずなのに、


 幼馴染と義妹の言動の悪さを考えされながらも、これ以上長引くとまずいと察した将は、大人しく保健室であったことを説明した。


「――というわけで、彼女には保健室で縛りあげられていたのを助けてもらっただけなんだよ」


「……ではあの黒服の男達は一体なんなんだったんですか?」


「それは俺もちょっとわからないんだよ。でもずいぶん懐いていたみたいだし、向こうもお嬢って呼んでたくらいだから、身内ではあると思うんだけど」


 そう、静香の言うとおり、結局あの黒服の男達がなんだったのかはわかっていない。


 そんな尋問の中、一人大人しく話を聞いていた千鶴さんが手を挙げた。


「あの、その人達はベンツに乗ってたんですよね?」


「はい、そうですけど」


「お母様、何か知ってるの?」


「はい、たぶんその方達は、大石財閥の人達ですね」


「大石財閥!?」


 それって誰もが知ってる、あの超金持ちのことか!?


 将が目を見開いて驚く。


 無理もない、大石財閥といったら、テレビに出る程有名な金持ちだ。


「ああ、そういえばここら辺に住んでるってお母様言ってましたね」


「マジですか!? 千鶴さん!」


「ええ、あら? 将さんは知らなかったの?」


 千鶴さんが不思議そうな顔をして聞いてくる。


「いやぁ、バカでかい家があるとは聞いていたんですが、実際見たことなくて」


 確かに一時期学校で噂になっていたこともあったけど、そのころちょうどゲーセンにレッドファイトが稼働していたため、それどころではなかったのだ。


「ということは、あの生ゴミは大石財閥の子ってことね」


「あの黒服共の呼び方から察するにそうなりますね」


 あれ? まてよ? ということは


「もしかして俺達って危ない?」


 だって俺は色々と誤解されちゃってるみたいだし、静香達もベンツを破壊したりしてるし……


 そんな将の問いに、静香と凛が当然のように答える。


「もしかしなくても狙われますね」


「間違いないね」


「それって色々とやばくないか?」


「大丈夫ですよ。お兄様は私が守りますから」


「大丈夫、将君は私が守るから」


 それは男としてどうかと思うところがあるが、この二人に守られたら確かに平気な気がする。


 だがこちらは平気でも、相手側の被害が甚大ではないものになりそうだ。


 将がそんなことを考えていると、千鶴さんが手を挙げた。


「そのことに関しては私がなんとかしておきますから安心してください、将さん、あ、ついでに静香達も」


「ついで、ですか」「ついで、ねぇ」


 まるでおまけのような言い方に、二人の視線が千鶴さんを捕える、が、さすがというべきか、そんなことをまったく気にせずに、千鶴さんはにこにこと笑顔を向けてくる。


「あ、ありがとうございます」


「いえいえ、気にしないでください、未来の旦那様の頼みですもの」


「っ!!」


 突然なに言い出すんだこの人!


 千鶴さんのさりげない一言に将が思わずふきだした。


 しかも、言った本人が恥ずかしいのか、顔に手を当てながら頬を赤く染めていた。


 そんな仕草に、将も釣られて顔を真っ赤にする。


「ごっほん! ではその件に関しては、お母様に任せるとしましょう」


「おほん! それで構わないよ」


 二人がわざとらしい大きな咳をしながら、千鶴さんの案に賛成した。


 「そ、そうだな」と将も賛成に一票を入れる。


 けどどうやってなんとかするんだろう? と疑問が沸くが、気にしないでおこう。きっと大石財閥に何かしらの繋がりがあるのだろう。


 まぁ何はともあれ、俺の無実は証明した。これでようやく誤解が――


「さてと、それじゃあどうしましょうか」


「そうだね」


 解け――


「お兄様の罰」「将くんの罰」


 てなーーーい!!


 久々に見た静香と凛の嫌な意気投合に、将は冷静に、


「あの二人共? 誤解だってわかってもらったんじゃ……」


「はい、お兄様の言っていることは全て理解しました」


「でも、将君があの女と一緒にいたのは事実」


「「よって罰は逃れられません」」


 訂正、誤解は解けても、あの子と一緒に居たために、俺は罰を受けなければならないらしい。


 ふざけるな! そんなんじゃ何言っても意味ないじゃないか!


 すぐにでも抗議すべきことだが、残念ながらおそらく俺が何を言っても罰は逃れられないだろう。


 ここはやはり……


 将はちらりと千鶴さんの方に視線を向ける。


 きっと千鶴さんなら、この絶望的状況を打破できるはずだ。ここはお力を借りる他ない!


 そう考えた将は視線で千鶴さんへと助けを求める。そしてそれに気付いた千鶴さんは、笑顔で返して、


「どんな罰がいいかしらね~、ふふ」


 悪魔の発言を漏らしていた。


 終わった……もう駄目だ……


 将は、ははっと乾いた笑みを浮かべる。 


 唯一の希望は、絶望へと変貌してしまった。これではもう助かる道はない。 


 手足を縛られた状態では、彼女達から逃げられるわけもない。将はただただ、目の前でどんな罰を与えるかもめている三人を、見ていることしかできないのだった。

 



 あれからどれくらい経ったか分からないほど時間が過ぎた。


「お兄様、起きてください」


「ん、あれ、俺寝てた?」


「はい、それはもうぐっすりと」


 どうやら絶望のあまり眠ってしまっていたらしい。外はもう夕方色の空に変わっていた。


「それで将君、罰のことなんだけど」


「これを」


 そう言って千鶴さんが3枚の紙を降り畳んで地面に並べる。


「これは?」


「三人がそれぞれ用意した罰です、今回はお兄様が選んだ一枚を罰にさせてもうらという形になりました」


 つまり三人の意見がまとまらないから、それぞれを準備したってことか。まぁ三人の意見がまとまるとは考えてはいなかったけど。


 将は納得しながら、目の前の床に並べられた3枚の紙を見る。その時将は、自分の体を縛っていた縄が外されていることに気がついた。


 とは言っても、逃げられる気がしないので、特に現状は変わらないんだけどね。


 さてそうなると、この三枚から一枚を取りださなければならない。嫌な予感しかしないが、考えていても仕方がないのでさっさと一枚を取って、書かれていることを確認する。


「えーと何々、 今日から私のことを千鶴と呼び捨てにすること」


 ってあれ? こんな簡単なことでいいの?


 もっとすごい罰が待っているのかと覚悟していた将は、正直拍子抜けした。


「あの、これ千鶴さんのですよね?」


「ええ、そうよ」


「えっと、こんな命令でいいんですか?」


「あら? もっとすごい命令の方が良かったかしら?」


「いいえ、これで良いです」


 まぁ本人がこれでいいなら別にいいか。


「ではさっそく」


「あ、はい、千鶴?」


「はい」


 将の言葉に、千鶴さんが満面の笑みで返してくる。少し恥ずかしくなった将は、赤くなった頬を軽くひっかくのだった。


「なんだか、やっぱり少し恥ずかしいな……」


「そう? 私はうれしいですけど」


 今までさんづけで呼んでいた人を呼び捨てにするって、簡単なことだろうと思っていたけど、意外とこっぱずかしいものなんだな。そう考えながら、将は千鶴さんの笑顔をから顔を背けた。


 すると顔を向けた先に、静香と凛が(将の)ベッドの上で項垂れている姿が目に入った。


「ううっ、ひどいですお兄様……」


「裏切られた気分だよ……将君」


「お前らは何をいっとるんだ」


 よっぽど俺に罰を与えたかったのだろうか、そういえばこいつらの罰はなんだったんだ?


 少し気になったので、前に置かれていた残り二枚を広げて、


――婚約――


――結婚――


 ぐしゃっと握り潰してゴミ箱に投げ捨てる。


 本当に千鶴さんをひいてよかったと、心から実感した将であった。


やっぱ感想とかもらうと書く気がおきますね! 読んでくださって方々に感謝です。

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