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第五話…月明かりと少女

桃太郎が獅子王と対峙していた同時刻…月明かりが照らされる豪華な屋敷。

その屋敷の縁側に一人の少女。


「今夜の月明かりはなんだか不気味…。お父様、帰りが遅いようだけど…心配だわ。」

「親父の心配より…てめぇの心配したらどうだい?」


声に反応し声のする方へと顔を傾ける少女。


「誰?見張りの者は…」

「その者たちなら今頃夢の中だ。」


暗がりから月明かりにゆっくりと照らされて姿を現す凌と蘭。


「何が目的ですか?お金?生憎ですが父はまだ…」

凌「あなたが豪商、東条の娘…鶴羽(つるは)だな?安心しろ。あなたが1番金になる。」

鶴羽「私?何…?」


少女の名は鶴羽。

彼女は凌の方を不思議そうに見つめる。

凌は勘解由小路の言っていた上玉かを確認するため近づき顎を少し持ち上げ。


凌「確かに上玉だが…」


鶴羽の目は顔を近づけている凌をあきらかに捉えきれていないことに気がつく。


凌「目が見えないのか?」

鶴羽「…。」

蘭「騙されるなよ。月を見ながらボヤいていたろ。」

鶴羽「抵抗するつもりはありません。抵抗したところで私一人では何も出来ませんから。」


凌の欲しい情報としては不十分な返答。鶴羽の言葉は自分の状況を理解した発言にも捉えれた。


蘭「つまんないなぁ。抵抗の一つでもしてくれりゃ、その綺麗な顔に傷をつけることも出来たのに!!」


と力の入った語尾に合わせて鶴羽のお腹へ拳をねじ込む。

そのまま鶴羽は気を失い倒れ込むところを凌が支え抱き。


凌「悪い癖だ。傷をつけるな。」

蘭「一緒にチンタラ歩いて帰るつもりかい?」


門の方から声が聞こえてくる。

「これは一体どうなっている!?」「大丈夫か?」「何があった!?」と慌てる無数声。


東条「鶴羽!?」


と父とお付きの者たち5人が鶴羽がいつも待つ縁側へと駆けつけると…そこには月明かりに照らされる2つの影。


凌「東条。娘を返して欲しければ…鬼ヶ島に来い。勘解由小路様が要求されるのは、貴様の地位と金だ。」

東条「取り押さえろ!!!」


鶴羽を取り返そうと凌に襲いかかる東条の者たち。

しかし、凌の素早い動きを捉えきれず触れることすら出来ない。

その掴み損ねた者たちのガラ空きになった懐に蘭が小さな身体を活かし潜り込み杖を腹部にねじ込む。


凌「武力行使か。門番共を見て分からんかったか?蘭、任せるぞ。」

蘭「はーい。」


蘭はニコリと笑顔を浮かべ杖をグッと引っ張ると杖から刃が現れ月明かりにキラリと光る。


蘭「拷問の時間だ。」


その隙に凌は鶴羽を抱え姿を消す。

凌を追おうとした一人の動きがピタリと止まった。

蘭の刃が男の足の甲を突き刺し、声を出す隙も与えず蘭は左手に持った杖部分を男の頭に振り下ろすと骨の砕ける音が一瞬にして屋敷中に響く。

その非道とも言える光景に東条と残りの4人は思わず後退りし警戒を強めるが…月を雲が覆い屋敷は闇に包まれた。

その闇の中、肉を斬る音と骨が砕ける音。

そして、男たちの悲痛な叫びと蘭の嘲笑う声が東条を包み込む。

闇夜に怯える東条を再び照らす月明かり。

微かな希望が見えるかと思ったが…目に飛び込んできたのは返り血を浴びた小さき女だけが立つ姿。

蘭はゆっくりと東条に近づき耳元で囁く。


蘭「この程度なら護衛なら犬の方がまだマシだね。番犬でも飼ったら?」


そう言い放ち蘭はゆるりと屋敷から姿を消す。


東条「鬼ヶ島…勘解由小路ぃぃぃい!!!」


月明かりに照らされた東条の叫びは虚しく、血まみれとなった屋敷中に響いた。

普段は舞台の出演・脚本・演出をやっています。

もっと多くの方に知って頂く機会と自分の可能性を少しでも追い求めて作品投稿を始めました。

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