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第三話…鬼ヶ島と呼ばれる地

桃太郎という名を得た少年は分からないながらに息子という存在を全うしようと試みるが…

爺さんとは、相変わらずの言い争い掴み合いが続き睨み合っていた。

その姿を微笑ましく見守る婆さん。


婆さん「反抗期なのか…仲が良いのか…」


いや、きっと犬猿の仲と言って良いだろう。

一方、その頃…桃太郎に打ちのめされた赤鬼(せっき)青鬼(せいき)は自分たちの棲まう山の麓まで来ていた。そこに怪しげな群衆が出迎える。


「随分と見窄らしい姿だな。」


黒い着物に黒い肩掛け黒い帯を纏った目つき鋭い男が2人の歩みを止める。


赤鬼「降魔(ごうま)あのガキ思った以上の手だれで…」


赤鬼の話を遮るかのように全身を黒に纏った降魔の蹴りが頬へと入る。


「なにをやってるんですぅ?」


革靴のコツコツと音が鳴り響く。

すると群衆は跪き道が出来、奥から派手な着物を身に纏った長髪の綺麗な男と白髪の屈強な男が現れる。


「あなた方…?」


赤鬼・青鬼も慌てて姿勢を正しく土下座し


赤鬼「勘解由小路(かでのこうじ)様!すみません…我が城へ侵入したガキを取り逃がしました。」


赤鬼がそう伝えると勘解由小路はゆっくりと近づき赤鬼の顎を掴み顔を近づけ呟く。


勘解由小路「役立たず…。」


そう呟くと立ち上がり、青鬼を蹴り飛ばし何度も何度も踏みつけながら


勘解由小路「お前たちの失態が世に知れたらどうする!?人目にでも触れてご覧なさい?勘解由小路の名はガタ落ち!商売上がったりなんですよ?我々の商売が理解できてますか!?取り立て・地上げ・人身売買に人攫い…力を誇示しなきゃやっていけない仕事なんだよ!!」


踏みつけが止み、赤鬼は青鬼の元へと走る。

ピクリとも動かなくなるほど踏みつけられ完全に意識を失っていた。


勘解由小路「獅子王ちゃん?お願い出来るかしら?」


先程、勘解由小路と共に歩いてきた白髪の男に声をかけた。


獅子王「こやつらをやった小僧を黙らせれば良いのだな?」

勘解由小路「話が早ーい!さすがは獅子王ちゃん!様子見に付けてた人間たちが案内するから宜しくね。」


獅子王は偵察についていた3人に導かれ、その場を後にする。


勘解由小路「さて…降魔?金になりそうな案件は?」


降魔は懐から紙を取り出し勘解由小路に渡す。

いくつもの女の名や土地が記された紙であった。

それを見て勘解由小路が不気味な笑みを浮かべる。


勘解由小路「これなんて面白そうね…。(しのぎ)(らん)はいるかしら?」


片目を眼帯で覆った細身の男と気怠そうな短髪の女が姿を見せる。


凌「お呼びでしょうか?」

蘭「なんっすか?」

勘解由小路「町を取り仕切る豪商…あの館から娘をお借りしておいで。あのジジィなら娘のために大金はたいてでも解決する。そうしなきゃ売っても金になる上玉よ。どちらに転んでも金のなる木…」

降魔「一つ気掛かりがあるとすれば…強者を揃え、ここへ乗り込んで来る可能性もございます。」


降魔の一言に鋭い目線を送る勘解由小路。

降魔、思わず固唾を飲む。


勘解由小路「そのために付けた力…そうでしょ?凌、蘭…行ってらっしゃい。」


颯爽と姿を消す凌。

ため息を吐いて蘭も姿を消す。


勘解由小路「さて…私は館で待つわ。あなたたち、誰もこの勘解由小路に逆らえないよう…しっかりと働くんだよ?」

一同「は!」


遠雷がなる2つ連なる山の真ん中に立つ大きな館へと姿を消す勘解由小路。

その山は遠目に見るとまるで鬼の頭のように見えた。

そこに棲む、勘解由小路一派もまた鬼と恐らることから…その山は鬼ヶ島と呼ばれていた。

普段は舞台の出演・脚本・演出をやっています。

もっと多くの方に知って頂く機会と自分の可能性を少しでも追い求めて作品投稿を始めました。


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