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国のこと

[ラ・エスタ国?聞いたことない国名だな。それにヴェスパーって…部隊か何かか?] 


 ハルベルトの言葉に輪道が反応し、黒崎も同様の疑問を飛ばす。

 国や部隊関連の話など

全く分からない為、二人は困惑した表情を浮かべている


[ラ・エスタ…そこは、かつて連邦国だったレッドヴァインの近くに位地する大陸国家で。ヴェスパーはそこに所属する1〜9のNo.を持つ精鋭部隊の事さ]  何も知らない2人の為に

真剣な表情のままハルベルトは説明をする。


 それを聞いた彼らは考え始める

何故そんな部隊にハルベルトの仲間が所属したのかがだったのだ。

 彼のランクが白コインだったのを観るに、その仲間も同等で有ると推測は出来出来るからであり。

 またそれ以下としても、仲間として彼がいる以上

戦えなかったと考えるには些か困惑が彼らの頭に残る。


 そんな考えをしている2人を見ながら、ハルベルトの説明は続く。

彼の言葉に耳を傾けると国の詳細やヴェスパーの事が彼の口からどんどん出てくる。



【ラ・エスタ国とは黒崎達が向かった事のある、

 ミリセの都市とは比べ物にならない程の土地面性を持つ大国であり、

肥沃な大地による作物の生産量や、あらゆる面で活用できる鉱山の山々を自国が全て独占している為。

 (人類(じんるい)安楽(あんらく))と呼ばれる程に国家の中では

かなり余裕を持つ国だと言われている。


また他国による戦争に何度も勝ってきた経歴を持っており。

 全ての国が戦に挑んだ、国家(こっか)転覆(てんぷく)戦争(せんそう)においで、合計30国を壊滅した伝説を持つ。

 そんな馬鹿げだ戦績を実現したのがヴェスパー部隊の実力のお陰らしく、その実力で国家の平和維持や戦争での伝説を作り上げたらしい。】



ハルベルトのその解説を聞き終えた、黒崎達

はその経歴に驚き呆然としつつ

 先ほど考えた疑問が雪のデカくなっていく。


そんな圧倒的な実力を持つ部隊ならば人材の補給など必要なさそうなのだから、余計に所属できたがわからない。

そんな思考が2人の脳内で回り続ける


[なんで俺の仲間がそんな所に所属できたか疑問。そんな顔してるね] 


 2人の表情を見て、

若干微笑みながらハルベルトは的を得たような声で聞く。

ハルベルトの分かりきっているかの様な反応に二人は若干驚くが、

 冷静な態度は崩さず話を聞いてみる算段として推測を言ってみる。


[…その仲間って、お前が原因で所属したのか?] 


 まず輪道の方から疑問を問い正す様な声で彼に聞いてみる。


 黒崎や自身が聞きたい所を正確に言って答えを待ち彼の顔を見る。

その様子は自分たちが聞きたい事を催促している態度であり、

 依頼の詳細を聞き、受けるかどうかを考える身とはいえ少し偉そうである。


ハルベルトはその問い掛けに少し驚いた様な表情を浮かべる。


[君…、性格凄いね…普通はそんな事考えても口には出さないでしょ?。でも正解…君の言ってること当たってるよ]


 先ほどの驚いた表情をすぐに直して、若干微笑んで聞き返す。


だが彼の表情は微笑んでいるものの、全く嬉しさや喜びを感じられず

 まるで子供が無理して笑っているかの様な切ない顔が彼らの視界に映る。


そんなハルベルトを見た黒崎は、彼の身に簡単には解決できない、困難な出来事が起きた事を直感で理解する。


[!。良い直感力だね。黒髪の君…] 


 微笑みの表情を継続しながら、ハルベルトは黒崎の方を見る。

 どうやら黒崎が自分の事態を何となく理解したのを顔つきや表情で気付いた様子であり。

 輪道はそれに聞き、少し驚く表情をして黒崎の方を見る。


[一体、何があって俺達にそんな依頼を伝えて、お願いしているの?。それを聞かせてくれない?] 


 ハルベルトの表情を見て、真剣な顔で言い放つ。

相手が自分達に何故そんな事を言っていきたのかを知りたい様子であり、

 輪道の方も黒髪の理解力に多少驚いたものの

彼の事情を知りたいのは黒髪と同じの様子であり、彼の方へと顔を戻す。


※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



[この子は本当に相手の気持ちを話させるのが上手いな。故に恐ろしい。]


 ハルベルトは心の中でそんな事を考えている。

自分の言葉足らずの態度で、黒崎に大半のことを直感で理解され、他の者にもわかる様に説明させようとするのが、彼には恐ろしいものに感じているのだ。


[事情を話して二人は依頼を受けてくれるだろうか…。何か詮索されるのは嫌いなんだが…どうだろう?。]


 ハルベルトは表では、微笑んだ表情を見せているものの、内心では焦っている様子なのがわかる。


 彼は2人の人間性に感心して、私情での依頼を受けて貰おうと考えていだが、彼らは依頼を受けられれば、何でも良いという単純な考えを持つ者達では無く。


 信頼した者では無いとその依頼を受けないという、警戒心が強い者達であったのだ。

 だがその警戒心の高さは仕方のない事だろう。黒崎達は大蛙オオガエルの依頼を受け、その依頼を終わった後に黒の刃と接触したのだから

 仕組まれていたのでは考え依頼に対して色々と推測するのは普通の事だ。


[……隠し事無しに協力してもらうのは。到底無理か。]


 ハルベルトは考えた後に事情を話すことに決めた。話さなければこの依頼を受けてくれる事も、増しては協力してもらう事も出来ないだろうからだ。

 彼は自分の事情を説明する為に微笑んだ表情を辞めて話し出す。


※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


[俺はね。…元ヴェスパーの七番部隊の所属だったんだ]


 [!。何かあるとは思っていたが。そこの元所属だったのか…通りで詳しい訳だ。]


 輪道は腕を組みながらハルベルトを睨む。

彼はハルベルトは妙にその部隊の事が詳しかった為に所属なのでは怪しんでいた。

そしてその推測は見事に当たっており、輪道は黒崎を手で後ろに下がらせながら警戒を強め始める。


[で?。その部隊の人間が、なんで今は冒険者なんかやってるんだ?]


 探るような声で彼にそう輪道は聞く。

怪しんでいるのが見え見えで、相手の事など全く信用していない様子。


[さっきの続きを話すから聞けばわかるよ。言った通り俺は元部隊の一人だった。だけど国家の礎になるのが嫌でヴェスパーを辞めて、ラ・エスタから脱国して出ていったんだよ。]


 それから彼は話続けるように自身の過去を語り始める。

その過去は何ともしょうもなく、国の関連や仲間のことばかりが含まれており。


二人は聞いてる最中から彼が一番悪いと感じる様な話を事細かく全て聞かされる事になった。




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