締結
予約投稿の日付を間違えました。待ってて頂いた方申し訳ございません。
部屋に現れた、モーガンはメディア露出も多いアメリカの有名な探索者だった。
彼はダンジョン発生時からダンジョンに潜り続けている探索者でレベルは48。
人類最高レベルと言われているレベルには及ばないがそれでも彼が世間に注目されるのはその甘いマスクと特別外交官という立場からだろう。
「困りますな、モーガン殿。ここは日本の重要施設だ。勝手に入室されては外交問題になりますよ」
「おお、それは失礼しました。ホテルにいたのですが友人との待ち合わせ場所に迷ってしまいまして…しかし目的の彼とは会えたようだ」
「何を言っているのですか…」
「私が用があったのは彼でね、そちらの話が終わったようなら彼と共に失礼しようと思うのだが」
「だから何を言っているのですか!?」
「私の来日目的は彼、アキラに会いにきたとそういったのだよ」
突然現れた、予期していない人物が予期しない言葉を発したせいで金森は完全に思考が停止したようだ。
そこにある人物が言葉を発した。
「そういうことならここでお話をすればいいんじゃないですか?大臣も交えて」
ここまで沈黙していた西園寺さんが口を開いた。
「あなたは一体なにを言っているかわかっているのか?」
大臣が西園寺さんを見ながら答えた。
「武力による介入が無理な以上、ここは大人しく話し合いにするのが最適かなと私は思いますが?」
この時点で金森の取れる策は、すでになかった。
ならば二人の話し合いに参加できるというならその目的もわかると言うもの。ここは了承するしかなかった。
「さて、アキラくん、君からのアプローチを受けてここまで来たわけだがそちらの要望を聞かせてもらえるかい?」
「こちらの提示するのはアイテム鑑定石、さらに帰還石を売りに出す用意があります」
突如知らないアイテムに全員に動揺が走る。
「鑑定石の件は聞いていたが、帰還石…それは一体どういうものだい?」
モーガンはその話に食いついてくる。
「ダンジョンのどんな階層からでも入口に転移するアイテムです。敵に囲まれていても使用可能な優れものです」
その価値は探索者でもある、彼には非常に魅力的に聞こえた。
「それが本当の話ならそれは非常に魅力的なアイテムだな…でそちらの要求は?」
「簡単な話ですよ、最低でも私を含む6人のアメリカでの国籍です」
「それは、そのアイテムを我が国だけに流してくれると考えてもよろしいので?」
それは日本がした要求と一緒だ。
その様子に金森はニヤニヤしている。
しかし、モーガン氏は、
「いや、待ってくれ。うちの条件は1月に一度決まった個数を納入してくれるだけで良い。後は好きにしてくれて構わない」
と内容を変更してきた。
「その個数はどれくらいですか?」
「鑑定石を100個、帰還石を10個納入してくれれば良い、もちろん報酬は払う。まあ多ければ多いほど助かるがね」
「なるほど…それでそちらの提供するのは国籍ということですか?」
「いや、我が国はさらに専用ダンジョンを提供すると言ったら、どうだい?」
「は?」
声を上げたのはモニターの向こうの金森だった。
「ほう、専用ダンジョンとは?」
「我が国はかなり大量のダンジョンがあるんだがまだ手つかずのダンジョンがいくつもある。その中の一つを君たちにプレゼントしよう」
こちらもサプライズとして帰還石を用意していたのだがあちらからもサプライズ提案があった
その条件は俺達の今後の活動には、非常に有効で断る余地がなくなった。
「それは良いですね、是非お願いしたい」
モーガン氏と手を結び合意しようとすると…
「待て!そんなことは我が国は許可しないぞ!」
まずい話が出たことで金森が割り込んでくる。
「許可ねぇ…そんなこと言う立場が残ってるといいですね」
「何を言って…」
その直後にモニターの映像が途切れる。
「やっとご退場か…」
西園寺さんがため息を吐きながら呟いた。
すぐにモニターが付いたがそこに映っていたのは、見たことのある人物だった。
「初めまして、金森に代わりここからは私が担当させて頂きます」
「へぇ、総理大臣…」
そこに映っていたのは東総理大臣だった。
「やっと話が出来るね、東総理」
西園寺さんは、やれやれといった感じで話す。
「まさかこんな事態になっていようとは…」
「どうやら事情はすでにご存知のようだが既に大勢は決しているよ」
「そのようだ…」
落胆した様子の総理。
「まあ君たち日本は、ダンジョン探索に乗り気ではなかったようだし丁度よかったんじゃないか?」
「そんなつもりは…」
「もし力を入れていたのなら、あんな大臣を据えた時点で、駄目だったということだよ」
ぐうの音も出ない正論に総理は押し黙った。
「総理、最後に何か伝えたいことはあるか?ここで日本が提案出来る最後のチャンスだと思って慎重にね」
西園寺さんが総理に促し、総理は覚悟を決めたように話し始めた。
「君には大変失礼な事をした。心より謝罪する。我が国の国益を優先するあまり君たちに無茶な要求をしていたようだ」
深々と頭を下げる様子がモニターに映っていた。
「謝罪は不要ですよ、こっちも結構色々やらかしてますしね。まぁもちろん仕掛けてきたのはそっちが先でしたが…」
「本当に申し訳なく思う、もし可能であればこのまま我が国で活動を続けては貰えないだろうか?」
「それについてはすでに要求を伝えていますよ、アメリカ側はすでにダンジョンを提供するという話をもらっています。それであればそちらが差し出せる物があるのではないですか?」
日本に対してはここまで育った国だ。捨てるにしても未練もある。
正直日本憎しで行動した訳ではなく、日本だけでは守れないと判断したからこそのこの提案だった。
恐らく今後の影響力を考えると後ろ盾は大きくないといけないのは明らかだった。
「そうか…わかった。モーガン氏提供するダンジョンを例のダンジョンにして頂くことは可能だろうか?」
「それについては、日本が同意するのであれば何の問題もありませんよ」
そう日本とアメリカ双方で管理しているダンジョンが存在することをミレイから聞いていた。
しかし、そのダンジョンの占有権を得るにはアメリカの許可も必要だった。
だからこそ彼にコンタクトをとっていたのだ。
「では、こちらからはあるダンジョンの占有権とDDDより提供されたスクロールを9個を提供しよう、合わせて要望があればこちらで手配させて頂くというのではどうだろうか?」
とんでもない条件をつけてきた。
実質すべて受け入れますという状況だ。
「本当に良いのですか?」
うまくいきすぎており、本当かどうか確認する。
「問題ありません。あっ、大事なことを入れていませんでしたね『如月日和』については、色々と制限はかけさせて頂きますが他は特に問題なしにさせて頂きます。すでに我々の手の届かない所に行ってしまっておりますが彼女にも家族はいますし、こちらからはもう手を出さない事も条件にいれさせてください」
前の条件の段階ですべてこちらの都合の良い条件に即決するつもりだったのだが、付け加えられた条件で完璧となった。
「スクロールに関しては本当によかったのでしょうか、本当にその条件であればこちらとしては、問題ありませんが」
「ありがとう。スクロールに関しては問題ない。全部渡せないことが申し訳なく思うが・・・」
どうやら一つはどうしても必要なスクロールなのだろう。こちらとしては何の問題もなかった。
「いえ、問題ありません。わかりました。鑑定石などの石については、アメリカ同様に定期的に納品させて頂きます。」
条件が良すぎてこちらとしてもある程度譲歩しなければ申し訳なくなるほどだった。
「それは、非常に助かる。そちらに関しては、完全に諦めていた。今回の件、本当に申し訳ない・・・。」
そういって総理は頭を下げていた。
話が早くて助かったがもっと早くこの人が対応してればこんな苦労はしなかったなと思うと残念ではあった。
日本との交渉も終わり、モーガン氏と手を結びアメリカの国籍を得ることが決まった。
「では、先程ご提案させていただいた内容をすぐに本国に了解を取り文書にします。アキラも一緒に来て頂けますか」
モーガン氏の後に続きアキラも部屋を後にした。
部屋には、モニター越しの総理大臣と氷川部長、西園寺さんと所在無さげにしている武装した男3人が残されていた。
気まずい空気が流れていたがまず総理大臣が口を開いた。
「お前たち、すぐにそこでのびてる人間をつれて撤収しなさい」
その言葉に男たちはのびてる男達をつれて部屋を後にした。
「はぁ…こんなことになるなら私が最初から対応しておくべきでした」
「まぁ海外に行っていたしね。仕方ないさ」
総理の言葉に西園寺が応えた。
「今回の件は、各国へのパワーバランスには響きますかね・・・」
「当然響くだろうね、まぁそれでも彼らを完全に失ったわけではない」
日本で抱えていれば色々とやりようもあったが彼らを守るには日本では力不足だった。
しかし、鑑定石を含めあの帰還石があれば今後の探索は活性化するだろう。
「はぁ…彼に任せたのが間違いだったか…」
「そもそも彼は、財務省からの生え抜きだろ?利益を上げることだけを考えて動いていたようだし、金をかける必要があるダンジョン探索には不向きな人材だと前にも言ったはずだが」
「我が国のダンジョンへの忌諱感は強いですからね、あまり表立って支援を行えば税金の無駄遣いだと野党からも国民からも突き上げを喰らいますから…」
「ダンジョンの恩恵は受けたいけど自分達が危ない目に遭うのは嫌という国民性は不思議としか言いようがないね」
「耳が痛い話です。モンスターに関する愛護団体までいる始末ですからね…」
「まぁ君たち日本人は、魔石に関する理解度と技術力は世界屈指だ、今後はアメリカを支える形で恩恵を享受するのが一番だと私は思うよ」
「そのように転換するべきでしょうね、次の大臣も含め検討させて頂きます。それでは…私は彼の事もありますので…」
そういってモニターは切れ部屋には西園寺と氷川だけが残った。
「うまくいきましたね…」
氷川が呟く。
「100点満点を超えるとはね…さすがに200年以上生きてても予測できなかったよ」
「やはり彼に託して正解でした」
「だが、これで次のフェーズに進む。こちらも準備を調えなくてはな」
会話を終えた後、西園寺はどこかに連絡を行い、しばらく話をした後に部屋を後にした。
海外移住が決まりましたが日本でやることはしっかりやってから発ちますので、大臣と閃光くんの行く末はもう少しお待ち下さい。
それと、タイトルとの乖離をご心配の声が多いのですが作者はアメリカの知識などほとんどありませんので心配無用ですということだけここで伝えておきます。




