マジックポーション
夜中に一度襲撃があり、起こされたが、竜化したカナタと俺で速攻で仕留めた。
しかしやはり就寝中に襲われるのはめんどくさいのでなんとかしたいなと思っている。
「やはり夜中に起こされるのはきついな」
「対処して頂いてありがとうございました」
「あの程度なら問題はないさ」
「でも起こされるのはやっぱり嫌ですねぇ…」
「それはアレで解決するんじゃないのか?」
「でもこれ使い勝手が悪いんですよねぇ…」
「とりあえずそれは帰りに試すとして今日はカナタの50体を狩ってしまおう」
「50体狩ったらアキラのもまた達成するんじゃないか?」
「それもそうだったな、まぁきりよく二人とも達成したら帰るということで」
「「「了解」」」
ハウスを出て沙月が周囲を調べると少し離れた所に団体がいるようなのでそこに向かう。
「6体ですけど大丈夫ですか?」
「問題ない、一個試したい事があるから試してみてもいいか?」
「何するんだ?」
「磁界操作で一箇所に固めれたら楽だなと思ってさ」
「なるほどな、試してみたらいいんじゃないか?漏れたやつは私が処理する」
「では、早速」
6体の団体の真ん中に磁界を発生させる。
金属体であるモンスター達は中心に引き寄せられ球体のようになってしまった。
「なにこれめっちゃ楽だな、抑えてるからやっちゃってくれ」
「じゃあ行ってくる」
竜化したカナタが突っ込んでいく。
「こんなに便利なら昨日も、もっと使えばよかったのではないですか?」
ミレイから疑問が飛んでくる。
「これ制御が難しくてなぁ。あんまり範囲広げるとこっちにも影響あるし。あとこれ使ってる間、動けないんだ」
「なるほど、それでずっとそのポーズなんですね」
「そういうこと」
磁界操作をしてる間は手で球体を持つようなポーズを取る必要があった。
まぁ本当はなくても出来るんだが、これ無しでやると範囲指定が難しく制御が効かなくなる。
そしてこのスキルそれなりに魔力を消費する為、使えても1日に数回が限界だった。
「まぁ5体以上の団体の時はこれを使おう、4体までならすぐ倒せるしな」
そんな話しをしてるうちにカナタは固まっていた6体を倒していた。
この磁界も攻撃扱いになるようで昨日とは違うドロップ品がドロップした。
「おい、これ見てみろよ!」
カナタの持っていたのは今まで見たことのない色のポーションだった。
それを見つけてすぐに動いたのはミレイだった。
すぐにカナタの下に駆け寄る。
「それってもしかして」
「ああ、マジックポーションだ」
マジックポーション、魔力を回復させるポーション。
どの階層でもそれなりに落とす為、ダンジョン探索当初からそれなりの数が見つかっていた。
発見当初は傷を治すヒールポーションと、病気を治すキュアポーションは、非常に高価で取引されていたがマジックポーションは、効果がわからずハズレポーションとすら呼ばれていた。
初期は魔力を使うスキル等が少なく、マジックポーションの効果を実感することができなかったようだ。
そんなマジックポーションも効果が分かってからは、それなりの値段だったのだがやはり2種類のポーションと比べると安価であった。
しかし、近年は魔力消費の高いスキルが増え需要が増大した為、マジックポーションも他の2種のポーションと同様に高くなってきている。
ポーションの見分け方は、非常に簡単でヒールポーションが緑、キュアポーションが青、マジックポーションは赤だ。ランクの見分け方も色が濃ければ濃いほど効果が高い。
色は5段階見ればわかるようになっている。残念ながら俺は見たことがないので判別がつかない。
「ランクは?」
「この色なら4だな」
「ほんとうに!?ランク4!?」
「お前なら見ればわかるだろ、ほら!」
慌てているミレイにカナタはポーションを差し出す。
「本当にランク4…」
「良かったな」
ポーションを抱き涙を流していたミレイに話しかける訳にはいかずカナタに話しかける。
「ミレイはマジックポーションが必要だったのか?」
「ああ、しかも高ランクのな」
「妹さんの為だと思うんですけどそれならキュアポーションじゃないんですか?」
魔力欠乏症は病気の一種の為、キュアポーションで治るとされていた。
世間一般の認識もそれで間違ってはいない。
「ああ、完治させるには魔力値と同ランクのキュアポーションが必要って言われてる」
「じゃあ、なんでマジックポーションであんなに?」
「完治させるにはって言っただろ。4ランクのマジックポーションであいつの妹は目が覚めるんだよ」
「えっ!?どういうことだ?」
「それは私から説明します」
先程まで泣いていたミレイがこちらが話しているのに気付いたようでこちらを向き話しかけてきた。
そこからミレイにより説明を受けた。
魔力欠乏症は魔力を放出し続けてしまう病気だが、魔力を一気に放出している訳ではなく、一定量を常に放出している状態らしい。そしてそれを延命するのに使われているのがマジックポーションだった。マジックポーションを常に点滴で送り続けることで命を永らえていた。
当初はそれほど高価ではなかったマジックポーションだったが需要の高まりと共に価格が上昇しそのせいで治療費も上昇を続けていた。
「当初の治療費だったら月に500万もいらなかったんですが…どんどん高くなってしまって…」
「なるほど、それで焦ってたんですね」
「価格の上昇が止まることは無さそうだったので、ヒールとキュアとは違いこちらは基本的に消費していく量が多いので…」
確かに怪我をした時、病気をした時にしか使わないポーションよりは消費量は多い。
特に今は、一般企業でも魔力を消費した際にマジックポーションを使ってる会社もあると聞いたことがあった。
「でも高ランクのマジックポーションだと妹さんが目を覚ますのはどういう事なんですか?」
高ランクだろうが低ランクだろうが魔力を回復するのは変わりないというのが俺と沙月の認識だった。
「それにはマジックポーションの仕様が関わってくるの」
そこからミレイはマジックポーションの仕様を説明してくれた。
マジックポーションランクは5段階、下から12345と増えていく。
そして効果は回復量ではなく回復上限が決まっている仕様となっている。
ランク1ではEの魔力値までしか回復しないのだ。
つまりどれだけ1のマジックポーションを飲んでも魔力値E以上には回復しない仕様になっている。
これは他のポーションも同じ仕様で、たくさん飲んでも効果は一定である。
「それは知らなかった…」
「結構大事な仕様だと思うんですけど講習で説明しないんですか?」
つい最近講習を受けたがこんな仕様は説明されなかった。
「講習は探索者にならない人と内容が一緒なのでポーションの説明はしてないんですよ。なので普通は買う時に説明があるんですけど…私達が一緒だったせいですね…」
「ああそれで…」
「まぁポーション買う時に教えてなかった私達も悪かったな、どうも熟練の探索者と同列に扱っちまった。すまん」
「それでその仕様だと何か問題があるんですか?」
「魔力欠乏で一度意識を失った者は魔力が全回復しないと目覚めない」
魔力欠乏で気絶した者は多い、そういった者が目覚めるのはかならず魔力が全回復してからだった。
恐らく身体の防衛機能としてそういう仕組になっているのではないかと言われているが詳しいことは分かっていない。
気絶している者にその者の魔力値よりランクの低いポーションを飲ませても意識は戻らない。
しかし、同じランクのポーションであればすぐに目を覚ますことが確認されている。
この現象は、最近わかったことでまだあまり世間一般には公表されていない事実だった。
「ランク4ということは妹さんの魔力値はB?」
「はい、妹の魔力値はBなので今まで目を覚まさせることができませんでしたが、これがあればカレンの目を覚まさせる事ができます…」
そういって涙を浮かべるミレイ。
まさか姉妹揃って魔力値Bとは・・・と俺は少し羨ましくもあった。
つまり、これで根本の問題である魔力欠乏症という病気を治すことはできないが、彼女を起こす事は出来る。
起きることが出来るのであれば自分でマジックポーションを飲むことも出来るし意識を失わないようにすれば生活することができるという訳だ。
ランク4のマジックポーションは、寝たきりになってしまった妹を起こすことができる品だったということだった。
そこにハッとしたように沙月が叫ぶ。
「目が覚めるんですか!?じゃあ『超回復』のスクロールが使えるじゃないですか!」
「えっ!?あ、そうか!そうですね!」
沙月とミレイはお互いに状況を把握したのか手をつなぎ喜んでいた。
「もしかして超回復をもらったのは」
「はい、ミレイさんの妹に使うつもりでした」
「でも魔力値制限があっただろ?それに意識がないとスクロールは…」
「魔力値については前にミレイさんから聞いてたので知ってました。まぁマジックポーションの仕様とかについては聞いてませんでしたが…意識のない状態でもスクロールが使えないか、試すつもりだったんですけど、これで全部解決です!」
どうやらがっかりさせたくなくて沙月は何に使うかを伝えなかったようだ。
ミレイもマジックポーションの件を伝えると無理してでも手に入れようとしそうだったので伝えていなかったそうだ。
そんなお互いの思惑がすれ違っていたのがここに来て合致した。
ちなみにランク4のポーションは日本では未確認。
海外で一本確認されたそうだが売りに出されることはなく手に入れることはできなかったそうだ。
その後すぐに戻ることを提案したがポーションが1本だと不安ということで念の為、もう2~3本手に入れてからにしようということになった。




