ドラゴン戦
食事をしつつドラゴンの基本行動の話を聞く
ドラゴンの基本行動は大きく分けて3つ
・広範囲ブレス
・尻尾薙ぎ払い
・爪or噛みつき(同時には来ない)
気をつけるべきはブレスで、尻尾の薙ぎ払いはジャンプで、爪と噛みつきについては動作がわかりやすいので受けるか躱すのが基本となる。
「とにかくブレスだけ気をつけろ」
「回避が難しい上に広範囲に撒き散らすからたちが悪くてね、火耐性の防具で緩和はされるけど直撃すると大やけどを負うからその場合はすぐにポーションを」
「わかりました」
「わかった」
「連続ではこないからブレスがきたら沙月は障壁を張れば大丈夫」
「私達も、危ないと思ったら沙月の障壁の後ろに下がるぞ」
「了解」
基本的にはミレイの魔眼で動きを鈍らせつつ、俺とカナタで遊撃する。
その間に沙月は水魔法で攻撃。ブレスが来たら俺とカナタは後方に回り込むか障壁の後ろに。
ミレイは爪や尻尾攻撃は回避に集中しブレス時は障壁の後ろに退避。
余裕があれば分身でさらに攻撃を増やす作戦でいく。
と打ち合わせを行い、ドラゴン戦に備え早めに就寝することになった。
翌朝、20階層のモンスターであるオークで身体を温めつつ20階層のボス部屋前に到着した。
「じゃあ昨日の打ち合わせ通りに」
そう言って中に入り昨日の打ち合わせ通りに攻撃を開始した。
出現したドラゴンは全長30mほどで赤い身体だった全身から威圧感を放ち手強そうに感じた。
しかし、いざ戦闘が開始すると初手でミレイの魔眼で固まっているドラゴンに分身を含めて4人で攻撃を加える。
かなりのダメージが入ったのかドラゴンがもがき暴れる。
その攻撃を回避しブレスを吹こうとしたので空間機動を使い顔を強打するとブレスがキャンセルされた。
こうなってしまうとドラゴンにはまともな攻撃をするすべもなく、10分ほどでドラゴンは消滅した。
「終わったな…」
「終わりましたね」
「嘘だろ…」
「信じられません…」
4人それぞれ拍子抜けすることになった。
「あんなに苦労して狩ったドラゴンがこんなあっさり…」
「嘘だろ…」
特にカナタとミレイはショックを受けているようで膝を付き頭を垂れていた。
「あっOrzのポーズだ」
ネットスラングの有名なあのポーズを実際に見ることになるとは思わなかった。
沙月の声に反応出来ないくらいに落ち込んでいるようだ。
「まぁこれで終わりじゃないんでガンガンいきますよ」
そうこれで終わりではない、あと39体狩るのだから。
それからはひたすらドラゴン狩りの時間となった。
ブレスを俺かカナタの攻撃でキャンセル可能と分かってしまった為、わかりやすいブレスの予兆がでた場合は、俺かカナタが攻撃を加えてブレスをキャンセルさせる。それだけでドラゴンの攻撃に脅威はなく安全に狩ることができた。
何より、ドラゴンのドロップは中魔石、相場は落ち込み気味といっても50万である。
スライムは100匹で50万と考えると破格のスピードである。
しかし、スライムと比べるとやはり緊張感による疲労が溜まるので10体を狩った所で休憩することにした。
「これなら明日には達成できそうですね」
「こんな簡単だったなんて…」
「カナタ、これは火力4倍だからなのよ、当時とは違うの」
「特攻スキル4人分だとさすがにとんでもない速度で狩れますね」
結局当初計画していた俺とカナタ✕2の火力だけでも相当だったのだがそれに加え沙月の水魔法もかなりのダメージが入っておりドラゴンの身になって考えれば弱いものいじめに近かった。
「しかし、これが中魔石ですか…」
沙月が取り出し眺めている。
「1個50万」
「すでに10個ありますからね…500万」
「やめろ、あんな命がけで狩ってたのが悲しくなる…」
「成長の結果ですから…割り切りましょう」
ミレイとカナタはそんなことを言いつつも、やはり遠い目をしている。
「しかしボスモンスターは狩るのが楽ですね、出たり入ったりするだけで済みますし」
先程から21階層にはいかずにボスを倒したら戻り、また入るを繰り返していた。
「ほんとは理不尽に強いから敬遠されるんですけどね、だからこそボス部屋には誰もこないんですけど」
21階層への入口は2箇所存在する。
ボス部屋の扉か、もしくは他の階層と同じような階段が存在する。
ボスを倒した証さえあれば階段を通ることができる。無いと通過できないという訳だ。
人気のなくなったドラゴンをわざわざ狩る者はいない為、ボス部屋前は過疎っていた。
「21階層への階段は結構人がいるんですけどね」
「21階層に潜ってる人はここの階層をキャンプにしてる人も多いからね、人は多いと思うわよ」
21階層はモンスターも多く、集団で襲ってくるので休憩ポイントとしては21階層への入口を使われる事が多い。
ボス部屋とはかなり離れているので見られることはないが生命感知で沙月はかなりの人数がいることを知っていた。
「ダンジョン内にあんなに人がいたんですね」
「いまの主流階層ですから、ドラゴンを突破した探索者は大半あそこにいるはずですよ」
そんな会話を切り上げドラゴン狩りを再開した。
その後もひたすら効率よくドラゴンを狩る。
途中からドラゴンを倒すまでのタイムを縮めることに夢中になりブレスを喰らいそうになってしまいミレイに怒られてしまった。
その後も順調に狩りを続け合計30体を達成した。
「後4体だけど、どうする?」
「疲労してますし19階層に戻る時間もあります、ここで止めて残りは明日にしましょう」
ミレイからの提案を受け、全員で19階層に戻る。
安全を確認後、コンテナハウスを設置する。
その後、昨日と同様に食事と風呂を済ませた後に早めに就寝した。
そして、寝静まった後、ミレイとカナタは二人でコンテナを抜け出していた。
「悪いな、付き合わせて」
「別にいいわよ、話したいことがあったんでしょ」
「ああ、明日ついにこのスキルの呪縛が消えると思うとな」
「消える訳じゃないでしょ」
「まぁそうなんだがな…このスキルのせいで色々あったからついな」
元々このスキルを活用していたアキラはこのスキルの苦悩を知らない。
特攻スキル持ちでここまで探索者を続けているのはカナタ位しか知らない。
そう考えると一番苦しんだのはカナタなのかもしれない。
「逃げ続けの人生だったけどもう一度探索者に戻って本当に良かったと思ってる」
「なに言ってるのよ、まだ達成してないでしょ」
「そうなんだが色々と思い出しちまってな」
「いい思い出ばかりじゃないものね」
「ああ、でもこれで私は前に進める」
「ほんとに彼らのおかげね」
ここまで来れたのは間違いなくあの二人のおかげだった。二人だけではここまで来ることはできなかった。
「お前は色んな意味で頭が上がらねぇだろ」
「そうね、あの二人じゃなかったら今頃どうなっていたか…」
「いっそ私もあいつにもらってもらうかな」
「ちょっと!!」
「私は結構気に入ってるんだぜ。まぁしばらくは無理だな。うだうだやってるのが二人いるからな」
「むぅ…」
「まぁ妹の事があるから仕方ないと思うが黙って想ってても伝わらないぜ」
「煩い…妹の事はお金が安定した以上後は、あれを手に入れれば…」
「高ランクのポーションだろ?」
「ええ、必ず手に入れてみせる…」
「私も協力するから頑張ろうぜ」
「ありがとう…」
二人はそんな会話をし、少し経ってから部屋に戻り眠りについた。




