メタルビッグスライム
それから、ひたすらスライムを狩り、99体を狩り終わった所で全員に確認する。
「さて次の1体で100体なんだが準備はいいか?」
「大丈夫です!」
「こっちも問題なしだ」
「問題ないです、魔力も温存してあります」
「念の為、ミレイ、俺の分身を出しておいてくれ」
「わかりました」
もう他人の分身も問題なく出来るようになっている。
正確に再現する為の下着を見せる羞恥プレイも経験済みだ…そのかいもあって問題なく分身は出現した。
しかし、これは毎日下着を見せる必要があるのではないか?と思ったが俺の下着は基本的に5枚1セットの品。それを履き回しているので1、回見せれば大丈夫だなといったらミレイは微妙な顔をしていた。
「じゃあいくか」
そして最後のスライムを狩る。
『討伐特典』
【1】特攻モンスターの変更&スキル取得
【2】特攻モンスターのドロップ品開放【完】
【3】特攻モンスターの攻撃値アップ【完】
【4】特攻モンスター以外への攻撃値アップ【完】
【5】特攻モンスターからの経験値アップ【完】
「あれ?」
「どうしました?」
「なんか特典の内容が変わってる」
「えっどうなってるんですか?」
「特攻モンスターの変更だけじゃなくてスキル取得って付いてる」
「全部特典を取ったからですかね?」
「そういうことなのかもしれん、なんのスキルがもらえるかわからんがこれを選ぶしかないしな」
「そうですね、まぁきっと役に立つスキルだと思いますよ!」
「じゃあいくぞ!」
そして『特攻モンスターの変更&スキル取得』を選択する。
そうするとまたウィンドウが出現した。
『特攻先のモンスターを選択してください』
よくよく考えれば選べない可能性があったことを今になって知った。
あぶねぇと思いながらも選択式で良かったと胸を撫で下ろした。
「特攻先のモンスターを選べって出たんだが数が多すぎるぞ…」
「メモを取るので教えてください」
俺にしか見えないので一つずつ読み上げていく、それを沙月は途中から音声メモに切り替えていた。
すべての読み上げが終わった。
「ミレイさん。今、聞いたなかで確認されてない種類のモンスターはいましたか?」
「結構いました、レイス系やエレメント系とか世界でも確認されていなかったはずです」
「後で照らし合わせをしましょう、恐らくこれでダンジョンの出現モンスターの種類だけはわかるはずなので」
「わかったわ、書き起こしも含めてお手伝いします」
「じゃあドラゴンを選ぶぞ!準備!」
「「えっ」」
二人は驚き声をあげていたが構わずに『ドラゴン系』を選択した。
『特攻モンスター スライム→ドラゴン』
『ボーナスモンスターが出現します』
「ボーナスモンスター出ます!」
驚いていた二人だったがその言葉を聞いてすぐに周囲の警戒に入る。
さすが熟練者だなぁと思い、周囲に目を向けたが、今回もすぐにわかった。
今回は今までのスライムとは明らかに異質でかつ圧倒的な存在感があった。
「嘘だろ…」
大きさはビッグスライム、身体はメタルスライムのように金属体だった。
すぐに後ろに飛び距離を取るがスピードはメタルスライムと同じようで恐ろしく早かった。
回避が間に合わずまともに攻撃を食らい吹っ飛ぶ。
「アキラ!」
カナタの声が聞こえたが後ろの壁に勢いよくぶつかる。
「沙月、障壁を張って!」
沙月は瞬時に障壁を展開した。
「カナタ」
「わかってる」
カナタはすぐに沙月の横に移動し沙月を守る。
ミレイは、こいつは危険と認識したのか一気にスイッチが入る。
槍を構え、スライムと相対する。
「確認しました、名前はメタルビッグスライムです!スキルはええっと」
「どうした!?」
「すいません!多すぎて、物理無効は持っていませんが物理、魔法両方の耐性あり。火魔法、再生、空間機動、疾風…すいません。効果把握に時間ください」
「ミレイ聞こえてたな気をつけろ!」
返事は無いがミレイは先程の情報から判断し接近戦を選んだ。
ミレイの突撃にスライムは一瞬で移動する。
しかし回避先を読んでいたミレイはそこに待機させていたアキラの分身で攻撃する。
スライムに大きな衝撃が入り身体がひび割れた。
「いけるか!?」
様子を見ていたカナタが叫ぶが
その分身にすぐにスライムは突撃する、回避ができず攻撃を受けたアキラの分身は消滅してしまった。
追い打ちをかけるべく槍と突き出していたミレイの攻撃をかわしスライムは空中に逃れた。
「ちっ!」
空中に逃れたスライムは身体が再生していた。
しかもさらに追い打ちをかける。その様子に気付いたカナタはミレイに叫ぶ。
「ミレイ下がれ!魔法が来る!」
カナタの言葉に反応し大きく後退するミレイ。
ミレイのいた場所には火球が着弾し大きく地面が焼け焦げていた。
ミレイはスライムのターゲットを維持しつつスライムの周りを動きまわる。
その間にカナタは沙月に話しかける。
「スキルの詳細はわかったか?」
カナタの声には焦りが滲んでいた。
「大体、戦闘に使われそうなスキルは終わりました。空間機動は今使ってるやつですね、空間に足場を作れるみたいです。再生は削ったHPが回復します。疾風は、さっきの高速移動で一定の時間速度が上昇するスキルです。後は、状態異常とかの耐性もりもりって感じです!」
「あの空間機動って時間制限はないのか?」
「あくまで足場を作るスキルなのでそんなに長時間は持たないはずです!これはデータベースにも登録がありました」
沙月の言う通り、スライムは少しして地面に降りてきた。
しかし疾風の能力で恐ろしい速さで動きまわる。
ミレイは自身の分身を出したりしつつ回避しているが捉えられるのも時間の問題だった。
そんな様子に沙月は
「ここは大丈夫なのであっちの援護に行ってください」
「わかった」
カナタもミレイの援護の為にスライムに向かう。
スライムに突撃し注意を惹こうとするがカナタには見向きもしない。
「くそっこんな時も!」
自身の特攻スキルに文句を言いつつ今度はミレイとスライムの射線上に割り込みスライムの攻撃をバックラーで受け止める。
「ミレイ!」
止められたスライムに目掛けてミレイは攻撃を仕掛けるが槍は空を切る。
「上だ!」
先ほどと同じように空中に逃れ、そして魔法の詠唱が開始されていた。
「散れ」
カナタとミレイは回避しようと左右に散るがそこにスライム目掛けて水球が直撃した。
その水球は沙月が放ったものだった。
「空中にいったら任せてください!」
障壁越しに魔法で攻撃を加える。
スライムも反撃の為に火球を沙月に向けて放つがすべて障壁に阻まれる。
ターゲットが外れたおかげで息を整える二人。
「ありゃ反則だな」
「そうですね、おかげで助かりましたが。ふぅ…」
障壁越しに攻撃を加え続ける沙月を見てヤバさを認識しつつ作戦会議する。
「あれじゃ決定打になりません、アキラのとこにいけますか?」
「ああ、そうだな、私じゃ火力にならんしな」
「でも頼りにしてますよ。さっきは助かりました」
「いいってことよ、じゃあ行ってくるけどやられんなよ」
カナタは吹き飛んだアキラの下に向かう。
「沙月、降りてきたらこっちでターゲットを受け持ちます」
「わかりました!」
そうこうしてるうちに空間機動の時間切れと共にスライムは地面に落ちる。
「こっちも障壁のクールタイムです、しばらくお願いします」
障壁スキルは張りっぱなしにはできない。一定時間張った後は一定時間のクールタイムが必要だった。
降りてきたスライムにミレイは分身と共に攻撃を加える。
連続攻撃でターゲットを取ることには成功したが、速度と巨体も合わさり躱すのがどうしてもギリギリになってしまうので、分身を駆使しつつ逃げに徹するしかなかった。
「ミレイ!」
カナタの声が響く。
その声に反応すると同時にスライム目掛けてアキラが突っ込んできた。
攻撃を受けたスライムはミレイの攻撃とは比べ物にならないほどのダメージを受けて吹っ飛んでいく。
「悪い、待たせた。すぐに分身を」
アキラの出した手を握り、自分の分身を解除しアキラの分身を出す。
かなりダメージを受けたのかスライムは回復する為に空中に逃れる。
その様子を見て
「カナタ!足場を頼む」
「あいよ!」
打ち合わせ済みだったのかカナタはバックラーを上に構える。
アキラはそのバックラーを足場に空中にいるスライムに飛びかかる。
そしてスライムの上から拳を叩きつけた。
スライムは地面に叩きつけられた。
空中でアキラが叫ぶ。
「ミレイ、トドメだ!」
ミレイは理解していたようですでにアキラの分身は攻撃体制に入っていた。
そのまま落ちてきたスライムに攻撃を叩き込む。
その攻撃がトドメとなりスライムは消滅した。




