ウォータースライム
翌日も朝からダンジョンに来ていた。
「さて今日は、ひたすらスライム狩りですが、沙月が探し、俺が狩るを繰り返すので二人は分身スキルの練習をしつつ付いてきてください」
「全然役に立たなくて申し訳ないんだけど」
「その分身スキルはドラゴン戦の要なのでしっかり使いこなせるようになる方が重要です。後ろめたいと思うならしっかり使いこなしてくださいな」
そう言って二人を納得させ狩りを始める。
二人にとっては慣れたものでどんどんスライムを狩っていく。
そして40分ほどでスライムを100体狩り終えた。今までの最高記録かもしれない。
『討伐特典』
【1】特攻モンスターの変更
【2】特攻モンスターのドロップ品開放【完】
【3】特攻モンスターの攻撃値アップ【完】
【4】特攻モンスター以外への攻撃値アップ
【5】特攻モンスターからの経験値アップ【完】
となっていたので『特攻モンスター以外への攻撃値アップ』を選択する。
『特攻モンスター以外への攻撃値0.1→0.2』
と表示された。
「やっぱり10分の1なんですね攻撃値、0.1から0.2に上がりました」
「それは羨ましいな、それさえ上がれば特攻スキルのデメリットなくなるんだからよ」
カナタが呟く。
「そうですね、これで1にまで戻せれば特攻スキルのデメリットは完全に消えます」
そんなことを話しながらも次のスライムに身体が向かう。
今回は39分、先程より少し縮んだ。
そしてすぐさま特典を選択し次に向かう。
『特攻モンスター以外への攻撃値0.2→0.3』
こんどは38分、除々に縮むタイムを沙月と二人で楽しんでいると二人からツッコミが入る。
「早すぎない!?」
「いや、タイム縮めるの楽しくなっちゃって。次まではボーナスモンスターは出現しないのでガンガンいきます」
『特攻モンスター以外への攻撃値0.3→0.4』
そういってさらに狩りを続ける。
そして今度は、スライムの団体を見つけた事もあって36分に縮めることができた。
「もしかしたらボーナスモンスターが出現するので警戒を」
キリの良い数字なのでここでMAXの可能性があった為、警戒を呼びかける。
『特攻モンスター以外への攻撃値0.4→0.5MAX』
1までいけば良いと思っていたのだが、残念ながら0.5でMAXだったようだ。
『ボーナスモンスターが出現します』
「モンスターが出ます!」
その言葉に3人も反応し周囲を警戒する。
警戒する間もなく、すぐにそのモンスターは発見できた。
普通のスライムよりも青く輪郭のしっかりしたスライムが目の前にいた。
「沙月、確認頼む」
「了解です!」
沙月がそのスライムを見ると大きな声を上げた。
「ウォータースライムです!水魔法持ちです!」
水魔法という単語に全員が反応した。
光魔法の次に人気の魔法だったからだ。
全員の殺気を感じたせいかウォータースライムの眼の前の空間に水球が出現する。
サッカーボールほどの大きさのその球は、こちらに向かって打ち出された。
攻撃自体はそれほどの速さはなかった為、全員で左右に分かれる。
着弾箇所を確認しようとしていると
「おい、あれ!」
カナタの声に反応してスライムを見る。
そこには空中に無数の水の槍が出現していた。
「嘘だろ!?」
先ほどの攻撃よりも速くそしてたくさんの水の槍がこちらを襲う。
「沙月!障壁!」
沙月はその言葉に反応して障壁を張る。
近くにいたミレイはそのまま障壁の後ろに入る。
俺とカナタは間一髪で回避する。
避けて着弾した槍は、当たるとその場で無くなったがその後には槍が刺さったような穴が空いていた。
「おいおい、えぐくね…」
「まずそうですね…」
二人でその後を見て言葉をもらしつつまたウォータースライムを見る。
そこには先程と同じ数の水の槍がまた浮かんでいた。
障壁によって守られている沙月とミレイは問題なさそうだが、こちらはかなりギリギリである。
さきほどの攻撃も間一髪で回避したので、これ以上続くようだといつか被弾しかねない。
それはカナタも思っていたのか、カナタから提案があった。
「あの槍何本か弾くから私の後ろから突っ込め」
と指示が来た。
俺が聞いたのを確認し、了承を得ることなくスライムに向かい走る。
「ちょっ!」
そうなってしまえば向かわない訳にもいかず、カナタの後ろに続く。
そして槍は発射された。
その槍をカナタはバックラーと剣で弾く。
俺はその隙を突いてカナタの後ろから出てスライムに突っ込む。
さすがに槍の補填が間に合わなかったようで無防備なスライムに拳を繰り出した。
拳が当たったスライムは、その場で消滅した。
「大丈夫ですか!?」
カナタの下に向かって無事を確認する。
「大丈夫大丈夫、あれくらいなら大した事ないから」
「でも、ちゃんとこっちの了承をとってからにしてくださいよ」
「あのタイミングがベストだと思ってな、これで私達が離れたりとかさらに敵と距離が離れると出来なくなっちゃうから」
「わかりました、でも自分の身体は大事にしてくださいよ」
「わーったよ」
そんな話をしているとスクロールを持った沙月が近付いてきた。
「やりましたよ!アキラさん!水魔法です!」
「まじか!!」
水魔法持ちということで期待はしていたが前回のように違う可能性もあったので不安もあったが今回は、ちゃんと魔法スキルだったようだ。
「ついに念願の魔法スキルですよ!どうしましょうか?…」
確かに念願の魔法スキルだが現状使わせるべき人は一人しかいない。
沙月としてはスキルを取得しすぎている為、他の人に使ってもらうつもりだったようだが。
「どう考えても沙月が使うのが一番だろう」
と俺は答えた。特攻スキルで火力が不安定な二人は論外。
ミレイと沙月の2人だが魔法を発動するには待機時間が存在する為、戦闘スタイルが特攻気味のミレイには合わない、となると障壁で事前に防御が出来、無尽蔵の魔力を持つ沙月が適任だった。
「いや、でもこれは売れるんですよ!私ばかりもらいすぎてますし一度売って他のスキルを買うって方法もありますよ」
確かに、その択もあったがそもそも魔法スキルは産出が少なく滅多に市場に降りてこない。
降りてきた場合はとんでもない価格が付く。しかし、今後下層に潜るのであれば魔法スキルは必須。
そうなってくるとここで売り払ってもまた買い戻すことになりかねない。
それを考えるとここで沙月に使ってもらうのが一番だった。
「今後のこともあるが直近のドラゴン戦を考えるとそのスキルを取得してもらったほうがこっちとしては助かる。だから取得してくれ」
遠慮していた沙月に少し命令調で伝える。
「確かにそうですね…はぁ…動く宝物庫みたいになってる…」
沙月の使ったスキルを考えると沙月の価値はとんでもないことになっていた。そんな自分に皮肉を言いながらスキルを取得した。




