分身スキル2
衝撃の仕様に一同困惑しながらもミレイの話を聞く。
「イメージする時に武器や服のイメージをしっかりすれば実質分身としてだせるんです、なので練習が必要です」
その話を聞き沙月は、
「つまり分身としてイメージをしたものが分身として出現するということ…しかし基盤となるのは生物である必要があって…それに付随するものなら再現が出来ると考えて…」
といろいろと頭を悩ませているようだった。
「他人の場合は、どうなるんですか?」
気になったことを聞いてみた。
「やってみないとわからないですね…まだ試してないので」
ミレイがそう言うとミレイから距離を取るカナタと沙月。
「待て、やるなら個室とかでやろう!ここじゃ駄目だ」
「私もそれが良いと思います」
大慌てで試されるのを拒否するカナタと沙月。
「いや、仕様を把握するのは大事だからな。俺は構わないから一度試してもらえるか?」
「「「えっ」」」
3人から声があがる。
「いや、どう動くのかとか大事だし、まぁ俺は最悪裸で出てもまぁ…」
「よくない!」
「駄目です!」
「それは…」
3人から怒られてしまった。
「しかしスキル仕様の把握は大事だろ?」
「ぐぅ…」
3人とも大事だということはわかっているので悩んでいるようだ。
それからしばらく3人での話し会いが始まった。
少し時間はかかったが結論が出たようだ。
「少し離れた所で、私が実験体になる」
カナタが言う。
「実験体って…」
ミレイは少しショックを受けているようだった。
「練習する間に私達はスライム狩りをしましょう」
沙月はそう提案する。
確かにそれなら無駄はない。
「わかった、でも1時間でここで集合ということにしよう。あまりレベル差がつくのはよくない」
アキラのスキルのおかげで経験値がかなりもらえるようになっている。
あまり長い時間離れていると二人とレベル差がついてしまう、それを危惧していた。
パーティメンバーは距離が離れてしまうと経験値が入らなくなってしまう。
レベル差については±3まではレベルがあがるとされているのでその間は大丈夫だが…パーティメンバーのレベルはある程度一緒にしておきたいと考えている。
「そうですね、あまりだらだらやっても仕方ないのでそれくらいで合流しましょう。それまでに使いこなしてみせます」
ミレイの了承も得たのでここからは二手に別れることになった。
そこからはひたすらスライム狩りをすることになった。
1時間というタイムリミットも手伝ってか、それとも数日振りだったからかペースが早い。
50分ほどで100体の討伐が完了した。
久々の討伐特典だった。
『討伐特典』
【1】特攻モンスターの変更
【2】特攻モンスターのドロップ品開放【完】
【3】特攻モンスターの攻撃値アップ
【4】特攻モンスター以外への攻撃値アップ
【5】特攻モンスターからの経験値アップ【完】
ウインドウから攻撃値アップを選択する。
『特攻モンスターの攻撃値15→16』
攻撃倍率がかなりあがった。
そして先程の場所に向かう。
パーティメンバーの位置は、同じ階層であればなんとなくわかるのでそこに向かっていく。
距離が近付いてきた時に念の為、沙月を先行させる。
特に問題はなかったようで沙月から合図があり、2人と合流した。
そして、すでに分身体を出していたようでカナタが二人いた。
「おお、成功したんだな」
「ああ、とりあえず3回目で成功したとだけ言っておく」
「1回目も2回目も裸ではなかったじゃないですか!」
「下着がなかっただろうが!!」
どうやら一悶着あったようだ。
「くっ…とりあえずは成功しました。ただ、やはり服などは正確に把握する必要があるので他人を分身する場合は下着等の見えない部分は一度見せてもらわないと再現できないですね。ちなみに適当な下着をイメージしてやっても駄目でした。あくまでも身につけてる物限定ですね」
どうやら分身できるのは、身につけている物限定だったようだ。
まぁそれができたら武器だけとか出来てしまうからな。
「あと、分身体から離れた物は、離れた時点でそのまま消えてしまいます。あくまでも分身体の付属品って扱いみたいです」
武器だけ使う等も無理と。
「あと動かし方ですが基本的には自分の分身と一緒ですね。魔力消費は今のところそこまでではないです。後、今のところ2人分身を作るのは可能ですが操作ができません」
まぁ身体を3人分操作となったら難しいことは理解できる。ここはレベル上げと練習でという感じかなと思う。
「なるほどな、有用なスキルなのは間違いないな、後は、分身の性能だな。一度スライム狩りをやってみよう」
ここが一番大事なポイントだった。性能を引き継いでいるかどうかそれ次第でドラゴン戦の難易度が大幅に下がる。
「俺の分身を頼む、ああ下着は無しでも問題はないなら見せなくてもいいよな?」
下着以外に見えないとこには何もつけていないと思うが、まぁあったとしても再現されないだけだし問題はない。
しかし女性に下着を見せるのはなかなかハードルが高い。出来れば避けたい。
事故で裸を見られる分にはそんなに気にならないが自分から見せるのは…
「いえ、そこは…」
何かを言おうとしたミレイの口を沙月が塞ぐ。
「本人が言ってるんですからとりあえず無しでいきましょう!」
「そうだな、そうしてくれると助かる。まぁ下着については帰ったら身につけてるやつを見せるからそれで今後はイメージしてくれ」
「わかりました、じゃあやりますね」
カナタの分身を消し俺の身体にミレイは触れる。
そして隣に俺の分身が出現した。
「おお、なんか変な感じだな。鏡みたいだ」
「そうだよな、私も最初は変な感じだった」
経験者のカナタが賛同してくれた。
「まぁ早速スライム狩りに行こう」
時間は有限なので早速スライム狩りに向かう。
大分慣れてきたようで分身体の俺は違和感なく歩いていた。
「さっきとは偉い違いだな」
「そうですね、大分慣れました。1体なら問題なく操れると思います」
そしてすぐにスライムが見つかった。
「こいつを狩るのなんて一番最初の狩り以来だな…」
カナタが呟く。
「そうなんですか?」
その答えは意外だった、最初はスライムを狩っても良さそうなもんだけど。
「今でこそ使い道があるからクズ魔石は買取してくれるが当時はクズ魔石の買取個数制限があってな、一人10個まで、それ以上は買取してくれなかったのさ。つまり練習用モンスターをいつまでも狩ってるやつなんていなかったのさ」
衝撃の事実だった。
「それは、狩る人はいませんね。レベル上げをするにしても不向きなモンスターだったとは、だからこの階層は皆スルーしていくんですね…」
「当たり前だろ、すぐに2階層におりて行ったほうが効率が段違いだ」
そんな探索者なら当然ということも知らなかった、二人は経験者の存在を有り難いと感じていた。




