裏切り
それからしばらく店を周り、14時を少し過ぎた頃だった。
一通り周り終わり、カフェで一息付いた所だった。
「なんも買わなかったけどよかったのか?」
「うーん、良さそうのはあったんですけどねぇとりあえず今日は下見です」
「ひたすら付き合わせた割には収穫なかったのかと思ったよ」
「そんなことないですよ、最初に行ったあの店のワンピースは買おうと思ってますよ」
「やっぱり、あれがお気に入りだったか熱心に見てたもんな」
そんな話をしながら沙月がすっと席を立つ。
「ちょっとお花を詰みにいってきます」
「そうか、じゃあ俺は、先にお会計を済ましておくよ」
「すみません、ちょっと行ってきます」
その後、お会計を済ませてからトイレに向かう。
道中でスマホに連絡が入る。
すっとそのメッセージに目を通し辺りを見回す。
目的の人物の姿を確認すると少し離れた所から様子を見る。
次に来たメッセージを確認し準備する。
そしてこちらもある人物に連絡を入れる。
それから少ししてから沙月が出てくる。
「おまたせしました」
「全然待ってないよ、じゃあ行こっか。霧崎さんとの待ち合わせ場所に」
「そうですね、もうそんな時間でしたね、場所はどこでしたっけ?」
「はぁ、武器ショップの前って決めただろ」
「ああ、そうでしたね、じゃあ行きましょうか」
またスマホに来たメッセージを確認してから武器ショップに向かう。
武器ショップには、15時少し前に着いた。
「少し早かったな、先に見てようか」
「そうですね」
「ここって武器の試しも出来るんだよな、ちょっと試してみよう」
「いいですね、どれにしましょうか?」
「まぁ俺はこれかな、この前見に来てた時から目を付けてたんだよね」
手にしていたのはグローブだった。オープンフィンガータイプで比較的動かしやすく手の甲をガードしているので今後の敵によってはこっちの方が良いと思い目を付けていた。
「良さそうですね~」
「そっちはどうするんだ?」
「私はこれですかね」
今レンタルで借りてる警棒より長く持ち手の部分にガードが付いていた。
「そっか、じゃああっちで試せるみたいだから試してみよう」
そういって武器を振ることができるスペースに移動する。
剣などの危険物は特定のスペースでしか使用することが出来ない為、専用のスペースが併設されている。壁なども丈夫に作られておりそれなりに動いても大丈夫なようになっている。
「さてと」
中に入りグローブを装着する。
「すごいですね、こんな風になってるんだ」
そういって見回している沙月だったが、俺は拳を沙月の腹に叩きつけた。
咄嗟のことに反応できず壁にまで吹き飛ぶ沙月・・・いや、そこには日和の姿があった。
「よう、日和。気分はどうだ?」
「な、、、んで・・・」
内臓にまでダメージが入ってるようで口から少し血を吐いていた。
「どれくらいのダメージで解除されるかわからなかったからな、死なない程度に思いっきりいかせてもらった」
「はは、冗談きついなぁ、ちょっとからかっただけなのにこの仕打ちは・・・」
そういって日和は腰からナイフを取り出しアキラに斬りかかる
「そうだよな、お前のメイン武器はそっちだよな」
日和の攻撃をかわしカウンターでさらに背中に肘鉄を加える。
床に叩きつけられ唸る日和。
「無駄だってわからんか?これ以上痛めつけるのは、気が引けるんだが」
「なんで、私の動きに反応出来るの!?」
床に這いつくばりながらこちらを睨む。
その疑問は当然、日和のレベルを考えればこちらを圧倒してなくてはおかしい。
だが、日和に本当のことをバラす訳にはいかないので適当に誤魔化す。
「反応出来ないと思ってる方が失礼じゃない?こちとら元ボクサーよ」
「普通の人間なら反応出来るわけないのよ、こっちはレベル20を超えてるのよ」
まだダメージが回復してないのか立ち上がれずにいる。
レベルがあがるとパワードスーツが強化される、つまり防御力も格段にあがるのである。
普通の人間の攻撃は、防御しようと思えば子供にじゃれつかれた程度のダメージしか受けない。
それなのにアキラの攻撃は日和の防御を貫通し内臓にまでダメージが入っていた。
元々、ダンジョン研究者としてダンジョンに潜りレベルをあげていたが20階層で挫折し職員兼研究者へと転向した日和は、対人戦闘の経験はほとんどなかった。
故に彼女が対人相手に行える戦闘スタイルは、幻影スキルを使っての奇襲によるレベルを使ってのゴリ押ししかできない。
つまり彼女よりレベルの高い俺に対しては、奇襲が失敗した以上、彼女には勝ち目がないということを彼女は分かっていなかった。
「さてあんたの作戦は失敗に終わったがまだやるか?」
絶望的な状況だということはわかっているはずだがその顔には痛みと共にこれでは引けないという思いが滲み出ていた。
「私は、ここで引く訳にはいかないの!」
複数人で動いているのは把握している。
つまりまだ作戦は、継続している、だからこそ彼女が勝手に引くことは出来ない。
「そうか、それじゃあ、あれは、なんだろうな」
部屋の外に見えるのは霧崎さんと一緒にいる沙月の姿だった。
「なっ、なんで!?あの子がここにいるの!?」
「さてなんででしょう?、ちなみにあんたのお仲間も捕縛済みだ」
「な・・・」
ここで心が折れたのか日和は下を向く。
「いつ・・・気付いたの?」
「うーん、ミステリーやなんかだとここで推理を展開するんだろうけど、あいにくだけどそんなのを説明する義理は、俺には無い」
何かをしようとしていた日和の顔を殴る。
その一撃で日和は完全に意識を失った。
「ちっ顔を殴らせるんじゃねーよ、馬鹿野郎が」
そんな捨て台詞を吐いていると、中の様子を見ていた沙月が部屋の中に入ってきた。




