ミレイの追憶【ミレイ視点の話】part3
最初のうちは気の所為だと思っていたが5人での戦闘になってカナタの攻撃が明らかに敵に効いていないことには気付いていた。
しかし20階層までの敵には、タンクとしての役割をしっかりこなすことが出来ていた。
だが、20階層以降の敵にはそれが通用しなかった。装甲の硬い敵が増えたせいか他の者の攻撃も効きにくかったがカナタの攻撃は、全く効いていなかった。攻撃しても見向きもされずタンクとしての役割をこなすことが出来なくなっていた。
連携がうまくいかないパーティでは先に進むことはできなかった、21階層で躓き、先に進めない日々が続いた。そして崩壊の日を迎えた。
「本気でやってるのか!カナタ!!」
うまく稼げず、色々なパーティに先を越され苛ついていたリーダーはカナタを怒鳴りつけた。
「ああん?こっちは本気でやってんだよ!それでも効かねぇんだ・・・」
カナタもこの状況に感づいていたようでバツが悪そうに顔を逸らす。
「もしかしてお前のスキル、特攻モンスター以外への攻撃は弱体化するんじゃねぇか?」
全員がその可能性は考えていた、しかし誰も言えずにいた。
効果の詳細に関しては特定の相手に対しての特攻スキルとしかわかっていない。
この頃には、固有スキルには隠された効果があることがわかってきていた。
「は?」
特攻スキルというその名の通り恐らくそのモンスターに特攻するという意味だったのだろう、だからこそ他のモンスターに対しては逆に弱体化する。
そういう仕様だったのだろう、しかしその仕様は最悪の形で牙を向いた。
「もしそうなら、お前はドラゴン戦以外は役立たずってことじゃねぇか!」
「だけど、私のおかげでドラゴンに勝てたんだろうが!」
「じゃあもうドラゴンに勝てた今、お前は用済みってことだな!」
「てめぇ」
カナタは、リーダーを睨みつける。
「もうお前はこのパーティには必要無い!出ていけ!」
だが、睨みにも怯まずカナタに言い放った。
それに異議を唱える者は、いなかった。
そこまで言われては、カナタは言い返すことはできなかった。
「わぁったよ」
そう言ってカナタはパーティを離脱した。
「これで役立たずはいなくなった、新しいメンバーを加えて再挑戦だ」
「そう、頑張ってね、私もここで抜けさせてもらうわ」
「はぁ?なんでだよミレイ、お前は抜ける必要はないだろうが!」
声を荒げるリーダー、その声にカナタは立ち止まる。
そう、カナタがこのままでは、こうなることは分かっていた。
リーダーがカナタを追い出すと言うのなら私も抜けるだけのこと。
「私は、カナタのパーティメンバーなの。あなたのではないわ」
「あんな役立たずについてくって言うのかよ」
「ええ、少なくともカナタを追い出したあなたのパーティでやっていく気はないわ、じゃあ」
「いいんだな!お前ら他の奴らとパーティなんか組めないようにしてやるからな!覚えてやがれ!」
そんな捨て台詞を吐く、リーダーを後にミレイはカナタとパーティを組み直した。
「良かったのか?」
「何が?」
「こんな役立たずと一緒でよ」
「ふん、そんな今更、それに私は役立たずなんて思ったことは一度もないわ」
「ふんっそうかよ・・・」
私達はまた二人で狩りを始めたが下落し始めたダンジョンのドロップ品達のせいで以前より全然稼げなくなっていた。
1日の稼ぎは以前の半分ほどになっていた、それでも普通の仕事よりは稼げていた為、なんとかなっていた。
他のパーティと合流して稼ぐことも考えたがカナタの悪評が広まり遠巻きにでも陰口を叩かれることが多くなった。こんな状態では、パーティを組むことは出来なかった。
「悪いな、私のせいで・・・」
そんなことを一度だけ呟いていた。
この頃からカナタは酒に逃げることが多くなっていた。
その後、ドロップ品の価格は下落を続け除々に生活が苦しくなっていた。
それに伴い、少しでも無茶をして狩る事も増えた。そのせいで二人共怪我をすることが増えた。
治療費、武器の修理費も嵩みさらに無茶をする。
その悪循環にハマっていった。
そしてそれに伴い、カナタが酒による影響からか戦闘中にミスをすることが増えていく、だがそんなカナタをミレイは見捨てることはなかった。
しかし、酒の量はどんどん増えていく、そしてカナタは、身体を壊し入院することになった。
「悪い、ミレイ、私はここまでだ」
「何をいってるの、別に不治の病でもあるまいしまた戻ってくればいいじゃない!」
「いや、もう駄目だ、私はもう・・・足を引っ張るのは嫌なんだ・・・、私の事は忘れてくれ・・・」
そういって泣き崩れるカナタは、探索者を引退した。
他のメンバーとパーティを組むこともなく一人で日銭を稼ぐ日々、だが治療費を考えるとこのままでは破綻してしまう、そう思っていた矢先、探索者の管理課から声をかけられた。高レベルの探索者を探していたらしくかなりの高待遇だったこともあり私はその誘いに乗った。
しかし、これはあくまで現状維持だった。このままでは妹の病気は治ることはない、そのことだけがダンジョンへの未練を募らせていた。
職員となって少し経ちある情報が飛び込んで来た、魔力値Aを持つ者が出たということだった。国内では二人目であった。
一人目とは違いかなり若い子ということで探索者になってもらえるべく私がサポートをすることなりそうだった。その話を聞いた時は、この子をサポートしながらまたダンジョンに潜りそして妹の病気をという思いがあった。
しかし、その子はつい先日まで魔力0判定だった男性、しかも特攻スキル持ちとパーティを組むと言い出したのだ。
私と同じ状況に、辞めるように進言するも、周囲からは、当人たちの希望なのと特攻先がスライムだったこともあり確かに最初のうちは狩りの効率が良い。それならばと了承した。
しばらくは報告を受けながらアドバイスをしていこうと考えていたのだがある国の諜報員から接触があった。どこから漏れたのかわからないがその諜報員は、彼女の事を知っていた。
最初は、相手にするつもりもなくこの事を報告するつもりだったのだがその諜報員が言った一言で私の気持ちは揺れてしまった。
「妹さんを助けたくはないか?」
その言葉に私は耳を傾けてしまった。




