同行者
次の日、魔力欠乏による頭の重さはすっかり消えていた。
「あれはもう味わいたくないな」
そんな事を呟きながら朝の支度をしていると沙月から連絡が入る。
沙月と合流し朝食を取りトレーニングルームで軽く体術訓練を行っていると日和が入ってきた。
「ごめん、今日は急に予定が入ってしまったから、付き合うことが出来なくなっちゃった」
日和も研究者だ予定が入る日もあるだろう、そもそも沙月の事を知ってるあたりかなり立場的には偉いのだろうから連日付き合ってもらっていたことの方が異常だったのだろう。
「そうなると今日の探索は無しですか?」
「いや、今日は霧崎さんが付いてくれるそうだから探索してもらっても構わないよ」
「そうですか、ご面倒をかけます」
「いやいや構わないよ、こちらこそ急でごめんよ、端末は霧崎さんに渡しとくからよろしく」
と言ってそそくさと出ていってしまった。
「とりあえずいつものとこにいけばいいですかね?」
「まあ多分そうだろ?」
集合場所など聞けなかったがいつもの場所だろうと思いそれから支度を済ませて向かう。
部屋に入るとすでに霧崎さんは待機していた。
「おはようございます、話は聞いているかと思いますが本日は、私が担当させて頂きますのでよろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
3人で頭を下げ合いダンジョンに向かう。
道中で
「日和はいつもどのようにしてますか?」
「いつも入ったら別れて2階層の入口で待機してもらってます。何かあったらこれで連絡するようにと言われてました」
「えっ?」
「えっ?」
お互いに相手の反応に固まる。
霧崎さんが頭を抱え答える。
「それでは担当の意味がないでしょうに・・・」
「そうなんですか?近くにいるとレベリングに影響が出るから離れてるもんだと思ってました」
「基本的には、高レベルの者が手を出したりしない限りはレベルアップには影響は出ませんのでほんとは近くで待機することになってるんですが・・・」
「えっ?最初から放置でしたけど・・・」
これは日和やらかしてたな、慌ててたからこっちに口裏合わせを頼むのを忘れていたのだろう。
「わかりました。今日は少し離れて様子を見てますので好きに狩って見て下さい」
その言葉に沙月は
「ものすごい速さで狩りますけど大丈夫ですか?」
「問題ありません、私のことはお構いなく」
ほんとは放置の方がやりやすかったが沙月とアイコンタクトを取りいつも通り狩ることにした。
「じゃあ始めます」
そう言っていつも通りに沙月とスライムを狩り続ける。
「討伐特典の画面は見えないので大丈夫ですけどドロップアイテムの回収は私がやります」
「アイテムボックスだな」
「そうです、小魔石は拾いながらアイテムボックスにしまってカバンにはクズ魔石を入れます。この繰り返しで誤魔化せるはずです」
「でもそんな素早く操作できるのか?」
昨日の話だと出し入れが難しいと言っていたが
「やってみせます!」
沙月の自信満々の発言に昨日帰ってから練習したんだなと感心していたが沙月の内心はそれどころではなかった。
(まだ、バレてたまるか!死ぬ気でやる!)
そこからの沙月は生命感知を使用しながら魔石を拾いアイテムボックスの出し入れを繰り返す。
普通の魔力しかなければ一瞬で枯渇するのだが沙月に至っては消費が回復量を少し上回る程度のことで精神的な疲労を除けば問題はなかった。
しかし、ドロップを拾う作業のせいかいつもより狩りのペースは遅くなり、3時間ほどで100体といつもの倍以上の時間がかかっていた。
「討伐特典はどうする?ドロップにしてなんか増えたら不味いよな?」
5から6にランクアップした影響は特になかった為ここまで問題はなかったが7に上げた場合、魔石以外をドロップした時に誤魔化せなくなる危険性があった。
「当たり障りのない特攻モンスターへの倍率アップにしといた方が良いかもですね」
「そうだな、昨日みたいなこともあるし」
昨日倍率が上がっていればどれだけ楽だったか、そう考え攻撃倍率を上げる。
『特攻モンスターへの攻撃値10→11』
「10から11倍に上がったな」
「上がり方が少ないとと思いましたけど元々10倍な事を考えると妥当ですかね」
「そうだな、まあどこまで上がるかにもよるが」
そんな話をしていると霧崎さんが近付いてきたようで沙月との話を中断する。
「そろそろ休憩を取りましょう、探索において休息は最も大事なことのひとつです。空腹によるパフォーマンスの低下は命に関わりますので」
「そうですね、丁度その話をしてた所です。お昼にしましょう」
シートを広げ3人で昼食を取ることになった。
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