閑話 デート カナタside
前回帰れなかったからといって今回は日本へと帰ってきたんだが…こんな事になるとは…。
「悪いな付き合わせて」
「いや全然いいけども…」
まさかアキラと2人で出かける事になるのは予想外だった。
「こっちに置いてある荷物を引き上げようと思ってな、アカネも見たいっていってたし…ただ量が量だからトラック欲しくてな」
アキラの母(京香)の荷物の整理というよりは引き上げするとの事で大型トラックを所望された結果…私が同行することになった。
ドライブデートと呼ぶには色気のない車だが…2人でお出かけには違いなかった。
新宿から2時間ほどのドライブである。
沙月に頼めばいいのではと思ったのだが今回は沙月は同行出来なかった。
先日ロシアから救出したエルフのアリーナさんから泣きつかれてせいでタワーに缶詰にされているからである。
日本に行く前にに西園寺とのリモート会議中にアリーナさんが乱入して沙月にそっちに行きたいと泣きながら引きづられていく姿はいたたまれなかった。
ちなみに日本に戻ってから一度は顔を出して色々渡した時のアリス含め死んだ顔をしていたのは記憶に新しい。
どうやら戦争終結後…前回のスタンピードの影響もあってかダンジョンへ潜る人が以前にもまして激増したからである。
特に要人と呼ばれるような人物のレベル上げが活発化したのである。
先のスタンピードは戦争をおこした事によるダンジョンによる制裁とされたがダンジョンからモンスターが溢れ街を破壊したという事実は人々の不安を駆り立てた。
前回とは違い、今回は国そのものが滅びたのだから他人事では済まない。
備えとして国民全員のレベル上げが活発化したのだった。
その結果、ダンジョンは入場制限がかかるほどの人気振りとなった。
そもそもダンジョンの入口の設備にはそれほどの許容量がなく、すぐに飽和状態となった。
しかも社会的地位のある人間が多く押し寄せたせいで揉める揉める…。
連日の激務に加えめんどくさい人間の対応でとんでもない事になっていた。
とても今の人員では回しきれないので警察にも出張ってきてもらってる状況らしい。
それによって一部混乱は落ちついたものの新宿以外のダンジョンもこのような状態で入口設備の改修工事を含め大変らしい。
ゲート自体を強化する話を含めて西園寺が調整中だそうだ。
「しかし、人員不足はどこも一緒だな」
「人は宝とはよくいったもん…ね」
実際今は人が出来る事は多岐に渡る。
身体一つで世界を取れるかもしれない時代…沙月なんかは1人で世界取れるんじゃなかろうか…。
「どっかのダンジョンを政府専用にしちゃえばいいのにな」
「元々ハワイがそうだったんじゃないの?」
「確かに…こうなってくるとちょっと申し訳ないな」
「あそこは潜るには便利だしな人気になりそう」
「いやいや、それにしても周りが何もなさすぎるから無理だろ」
「ああ…それもそうか」
お偉いさん方に使わせるにはそれなりに整備をしないと無理そうだ。
そんなこんなでアキラの母の荷物を預けてある貸金庫がある銀行に到着した。
「ちょっとまっててくれるか?」
そういってアキラは銀行へと入っていった。
「今、日本で一番デカい銀行か…」
ダンジョン災害によってたくさんの銀行が被害を受けたがこの銀行は地方が本店だったおかげもあり被害が軽微だった。
そして地方から成り上がった銀行だった。
アキラがしばらくしてから出てきて荷物の受け取りをする事になった。
アキラは手持ちで小さな金庫のような物を持っていたが、それとは別に地下から大きなコンテナが上がってきた。
この銀行の売りはある一定以上の知名度とかなりのお金を支払えば大型コンテナ1台分の荷物を地下施設に保管してくれるのが売りになっているそうだ。
庶民からしたら無縁のサービスだが…災害時に犠牲になった著名人も多くその遺品などの保管だったりで使われているそうだ。
なんなら神社仏閣なども倒壊してしまった建物も多く、再建されぬまま銀行の地下に収容されている物がかなりあるらしい。
という訳でアキラの母である京香も例外ではなくここに保管されている。
「元々近くのコンテナを借りて荷物を突っ込んでたんだが災害後にこのサービスが始まって貸金庫と合わせて契約したんだ」
「よく金払えたな…」
聞いてる限りかなりの金額だったと思われる。
「毎月の使用量は印税から、最初の費用も遺産からだな。著名人としてはクリアしてたからな」
という事で今回はここの荷物を引き上げでハワイに持っていく事になっている。
「中身をどうするんだ?」
「このまま持っていってそのまま保管するよ、あっちの方が安全だしな」
「まぁ違いないか」
すでにホテルでの寝泊まりをやめて各自家で生活をしている。
そうなった理由としてはアカネによる監視網に加えて沙月の『索敵』スキルによって脅威をすぐに発見出来るようになったからだ。
探索中もアレンが見張ってくれているので危険はほとんど無くなっていた。
そこからはくだらない話をしながらタワーへと戻った。
さすがにこんなお宝を積んでどこかに寄る事もできなかったので着いてからすぐに沙月へとコンテナごと預けた。
恨めしい顔をしていたが…こちらは特に何もしていないのでそんな顔をされても困る…。
まぁ楽しかった事には違いないが。
そしてすぐに沙月は呼び出されて連れて行かれた。
「忙しそうだな…」
「まぁ色々あるんだろうよ…それでこの後はどうする?」
「お礼に飯でも奢るぞ、何がいい?」
「それなら行きたい所があるんだけど…」
私は、アキラを連れてある物で有名なカフェを訪れていた。
「準備はいいか?」
「俺はいいけどほんとにいいのか?」
「ああ、も…もちろんだ」
「そういうことなら構わないが…」
そんなやりとりをしながら店に入る。
「はーい!こちらカップル・夫婦専用カフェとなっております!」
とお店に入った所で大きな声でウエイトレスの出迎えがあった。
「お二人はカップルですか?」
「はい…」
恥ずかしさに顔を真っ赤にしながらも答えた。
「それでは証明の為にまず、レベル1ハグからお願いします!」
この店は店に入る前にお題を出されてそれをクリアすることで提供されるメニューが変わる。
レベル5までクリアした時に食べられるパンケーキはかなり絶品であり難易度はかなり高い。
お題に関しては時期に応じてランダムでありレベル1がハグというのは共通しているようだ。
これについては事前に覚悟はしていたのでアキラと2人で抱き合う。
「おお、まだ初初しい感じが出てますね!いいですよ!それでは次はレベル2!お姫様だっこをお願いします!」
あまりもたもたしていると失格になるのでアキラはハグからスムーズにお姫様だっこへと私を移行した。
こいつなんか手慣れてないか?
「彼氏さん凄いですね!次はレベル3…ここから難易度があがりますよ!そのままおでこにキスをお願いします!」
これにはアキラは面食らっていたが…私が目を瞑り…
(やれ!)
と念話を送った事でアキラは覚悟を決めたようですんなりとおでこにキスをしてきた。
めちゃくちゃ恥ずかしい…と内心心臓がバクバクであったのだが…ここは我慢だ。
「おお、本当に王子様みたいな彼氏さんですね…素晴らしいそれでは次はレベル4!今度は彼女さんから彼氏さんのほっぺにちゅーしてください!」
先程までアキラにまかせていたツケが回ってきたのかこちらからキスをする事に…これを狙っていたんだろと自分に言い聞かせてアキラに顔を近づける。
近づけば近づくほど綺麗な顔だなと見とれつつも深呼吸をしてからほっぺにキスをした。
一切表情を崩さないアキラに少しムッとしたがそれを表情に出すわけにはいかない。
「さすがです!それでは最後です!レベル5…お互い別れてこちらにお願いします」
2人に別れされられて別室へと案内される。
「それではここで答えを書いてもらいその答えが2人の答えが2つ以上一致すればクリアになります」
「なるほど…問題は?」
「1つはあなたと彼が出会った日をお願いします、2つ目は印象深いの共同作業をした日、3つ目は相手を好きになった日でお願いします」
「共同作業って具体的にはどんな?」
「なんでもいいですよ!デートにいった日でもキスした日でもそれこそえっちな事でもいいです」
「なるほど…」
なかなか難易度の高い問題だな…。
まぁ私たちには問題はないが、なんせ私たちには念話がある。
(とりあえず出会った日は問題ないが、共同作業はどうする?)
(ドラゴン戦でいいんじゃない?)
(了解、3つも同じだと怪しまれるからそこは各個人で…)
(OKだ)
そして私たちは答えを提出した。
結果は…まさかの3個とも一致していた。
「素晴らしい!!!3つ一致したお客様はここ1年位でていませんでした!お互いに感覚を共有してる証拠ですね!ベストカップルです!」
と褒め称えられてしまった。
1つは不正したのでその賞賛を受けるのは少し罪悪感があったが3つ目が一緒になると思わなかった。
それから完全個室に案内されてカップルコースと言われるコース料理が運ばれる手筈となっている。
「3つ目はあれは本心?」
「嘘はついてないぞ、好きになったのはあの日で間違いない」
「全く……ほんとに…」
まさか私と同じくあのアキラに迫った日と同じ日だったとはその前から好きではいたのだが自分の気持ちに区切りをつけたのはあの日なのは間違いなかった。
「何かいったか?」
「意識してくれたみたいで何よりって言ったのよ」
「そっか」
それから2人で評判のカップルコースのコース料理を堪能して帰路ついた。
◯あとがき
これで閑話は終了で明日からは本編を再会します。
ちなみに帰国後、例の会合で根堀葉掘り聞かれた上でギルティされたのは言うまでありません。
カナタが使用した事であのお店は利用出来なくなってしまった。
あのお店が利用出来るのは最低でも1年以上間を開けないと同じ人は利用出来ないので沙月達はいけなくなってしまったのも有罪判決を受ける一因だったりする。
逆恨みである。




