乗っ取り ミレイside
蓋を開けた瞬間というよりは全員がそこに注目している瞬間を狙ったといってもいいのかもしれない。
気付けば背後に数人がいた。
探知系スキルは使用していたのだが恐らく隠密系スキルを使用していたのかもしれない。
しかし背後にはサキが土魔法を使い封鎖していたはずなのだがそれを何の前触れもなく突破してきた事になる。
そして気付けばアキラの身体が魔法か何かで吹き飛ばされた。
その結果アレスと呼ばれる女性の胸に飛び込む形で抱きしめられる。
それに少しイラッとした感情を覚えたが、その瞬間にその女性が光ったと思うとその女性は倒れてしまった。
そしてアキラの顔が落ちて脱力したと思うとすぐに目を覚ました。
「魔力値が低いというのは都合が良かったな。全く抵抗がない」
自分の肉体を確かめるように身体を動かすアキラ。
しかし先程までのアキラとは別人だと思えるほど気配が違っていた。
「カレン!いますぐ退避しな!!アキラはワタクシがなんとかする!」
突然の声が響く、その声の主はシトリーであった。
「シトリー貴様!そんな所にいたのか!?」
「ええ、ワタクシとこいつは一心同体そう簡単に身体は渡さない」
「くそが!大人しく消えな出涸らしが」
「出涸らしかどうか試してあげるわ!アガレス!!!」
霊体であるシトリーがこちらを向く。
「とりあえず飛びなさい!」
シトリーの存在はあちらにとっては予想外だったようで全員が硬直していた。
その言葉に反応してカレンは『跳躍』を発動して1階のセーブポイントに飛んだ。
「状況確認と周囲の警戒をしつつ移動しましょう…まぁ最悪の場合、ハワイに戻らないといけません」
私はすぐに2人に指示を出す。
「一体全体何がどうなったの?」
移動しながらカレンが口にする。
「わかりません、アキラには状態異常無効があるのでほとんどの状態異常系スキルは無効のはずですけど…」
「あの口ぶりとシトリーの様子から察するに悪魔に乗っ取られたのではないですか…?」
シトリーの様子から察するにアキラの中にいたのがアガレスというソロモンの悪魔なのは間違いなさそうだ。
そして会話の流れから察するにアキラが乗っ取られた…?
それを考えただけで焦燥感が募った。
セーブポイントから少し離れた所に洞窟のくぼみを見つける。
スライムがいたが瞬殺する。
そこで少し落ち着いて話をする必要があった。
「ここから出来る事は2つ…先程の所に戻ってアキラを取り戻すか、それとも一度撤退してから戦力を整えて出直すの2つしかありません」
取れる択は少ない。
そしてなんだろうかこの不安感…アキラがいた時には感じていなかった不安が急に襲ってくる。
「姉さん助けに戻ろう!じゃないとアキラさんが!」
カレンの言うことも尤もでここで戻らなければアキラは敵だらけの中で孤立することになる。
助けるのであればこのタイミングしかないのかもしれない。
「本当であれば落ち着いてここで反対意見を出すべきかもしれませんがここで撤退はありえません、戻れば3日間は戻れない上に救出が成功してもすぐに撤退することができません」
2人の意見は一致しておりこれ以上の議論は不要だった。
「2人の意見はわかりました…私もそう思っていた所です…今、殺意に溢れていますから撤退なんかありえません」
ここでの撤退はアキラを失う事と等しい…そんなことは許されない。
そう考えた瞬間に昔のように血が冷たくなっていくのを感じる。
「ここからは昔のようにいかせてもらいますからフォロー頼みますよ、氷姫」
「全く…後ろは任せて戦鬼」
昔のことを思い出しながら先程の場所に向かう。
「カレンは遊撃をお願い、絶対に私の周囲には来ないで」
「了解」
そんな打ち合わせをもって先程の場所まで戻ってきた。
時間にして10分も経っていなかったはずだが…まだ残っていてくれてよかった。
全力で殺らせてもらう。
今回はもう手加減はしない。
こちらは残念ながら隠密系のスキルは使えないのでまっすぐ突っ込むしかない。
まぁ当然先制攻撃をぶっ放させていただきますが!
「サキ!」
アポカリプスを人に放つ事になるとは思っていなかったのだがその威力は折り紙付きである。
というか何をしていたのだろうか?探知スキルで確認するまでは、いないことを覚悟していたのだが…そしてなにやら慌てているように思う。
こっちが近づいてくるのに気付いたようでこちらに防御陣の敷くように展開してきた。
「好都合ね…放て!」
「りょーかい!」
サキの放つアポカリプスが人に向かう。
どうやらその攻撃のヤバさに気付いたようで沙月と同じ様な障壁スキルを使用してきた。
しかしそれで防げるほどアポカリプスは優しくない。
障壁によって威力は減退したがその威力は展開していた部隊を薙ぎ払うには充分な威力を持っていた。
「なんて威力の魔法だ!?おいアレス!まだ終わらないのか」
「こいつ…出涸らしのくせになんでこんな力が…」
どうやらシトリーがまだ抵抗してくれていたみたいでそれで足止めされていたみたいだ。
先程背後に現れた部隊は薙ぎ払ったのだがゲイルを含め4人の護衛だろうか…アレス達をかばうように前に出る。
『魔眼』スキルを発動する。
「止まりなさい!」
それによって全員の身体が硬直すると同時に突出していた1人を槍で払う。
そしてそのまま槍を戻しながら回転させて勢いをつけながら2人まとめて突いた。
貫くつもりで突いたのだがさすがの高レベル…防御力が勝ったようで貫く事はなかったが勢いは死ななかった。
身体が後ろに吹き飛び巻き込むように2人が飛んでいきアレス達の横を通っていった。
そして槍を戻しゲイルの後頭部へと槍の後部を叩きつけた。
不意を突かれたゲイルは、そのまま前に倒れ地面に打ち付けられた事で護衛は排除できた。
槍で突いて飛ばした1人のうちの巻き込まれたもう1人が起き上がろうとしていたがそこにカレンが魔法銃で追撃した事で気を失ったようだ。
苦しみもがいているアキラ?が手を伸ばす。
この状況で手を伸ばすという事はこれはシトリーがやっているのだと直感で感じた。
「ナイス!シトリー、今までの行為もこれで水に流してあげる」
アキラの手を握る。
「「パーティ!」」
アキラ?と2人で叫んだ。
これでアキラの身体はパーティへと加入した
「カレン!!」
「了解」
すでに準備をと整えていたカレンのスキルによって今度は、ハワイのダンジョンへと『跳躍』する。
もちろんパーティメンバーごとだ。
先程は距離が離れていたせいで無理だったが今なら一緒に飛べる。
私たちが離脱した後に案の定パーティから抜けられていたのだが先程のシトリーのおかげかアキラの身体は再度パーティに加入している。
つまり一緒にアガレスごとハワイダンジョンへとご招待という訳だ。




