接触
セーブポイントは見つけたのでこれですぐに退避しても戻って来る事が出来る。
「まぁこれで安全にこの国にこれるようになりましたね」
「このダンジョンは恐らくクリア者であるここの国王が管理してるからあんまり来たくないけどな」
「しかし、考えれば考えるほど『不死化』のスキルっておかしくないですか?」
カレンの言うことも尤もで普通に考えればスキルを取ったらアンデッド化してアウトなんて地雷スキル過ぎる。
まぁ確かに他にもヤバイスキルは存在するがいきなりゲームオーバーみたいなスキルはちょっと考えにくい。
「沙月が今は活性化状態って言ってたのが気になるけどな」
沙月の話では通常のグールは不活性状態になってるそうで感染不可となってるそうだ。
そして光の状態は活性化状態で感染可となってるそうだ。
これは文字通りに受け取るのであればゾンビと同じように噛まれたら感染すると思われる。
「活性化状態が解除したら意識が戻る可能性もありますかね」
サキとしてはそれが一番だと思う。
「いやその可能性は薄いだろグールが不活性状態で所持してるってことはそのまま固定されるんじゃないか?」
「でもグールになっちゃったらエネルギー吸収出来ないですよね」
ミレイが言うことも尤もでダンジョンが求めてるのは俺達に知性をもって探索してもらうことだ知性なきグールになってもらっては困ると思うのだが…。
「つまり何か解除方法があると?」
「一番可能性がありそうなのは魔力切れだと思うが…」
魔力切れまで待ってもいいがこの国の国王の力には時間制限があるそうだ。
待っている余裕はない。
そもそもそのリスクを取るのは怖すぎるって話でもある。
「もう一つ問題があるが治してもらった後はどうするんだ?」
治して、はい終わりとはいかない。
この国に残していたら使い潰されて命を落とすのは目に見えている。
「治した後に私が殺します」
怖い怖い怖い…完全に目がキマっているサキの姿を見て尋常じゃない殺意が溢れていた。
いやまぁ、それだけの罪を犯したと言えばそうなのだが…姉に弟を…そもそも肉親を殺させる訳にはいかない。
「別に殺さなくてもいいんじゃないか…西園寺さんに頼んで隷属化してもらって酷使した方が為になるって」
これも割とひどいことを言っているが仕方ない。
殺すよりもマシだ。
「いや日和の例もありますし人様に迷惑をかける前に処分した方が世の為です」
譲ってくれない…。
今回の同行を決めた件も含めて大分思い詰めている事もあって覚悟が硬い。
「今回は犯罪による隷属だから日和よりもかなりきつくなると思うぞ」
まぁ犯罪と断定するかという話にはなるがこちらは実質的に被害にあっているし人命を脅かそうとしたのは間違いない。
何やら深く考えていたが…。
「まぁ殺すよりも有効活用した方がいいかもしれませんね…」
しばらく悩んでいたみたいだが何やら物騒な事を言っているが思いとどまってくれたようだ。
そして入口に戻ると…どうやらあれが国王様のようだ。
随分と背が小さい気がするが何やら大きな気配のような者を感じる。
そして傍らにいるのは…。
「あれは悪魔よ…アガレスだわ」
「へぇ…」
俺に耳打ちしてくるシトリー。
悪魔と言われて警戒を強める。
「はじめまして、ボクはここの国王であるルーシェルだ」
「私は秘書を務めさせていただいているアレスです」
2人の名乗りに対して警戒しつつも頭を下げる。
「こっちの自己紹介は不要だろ、とりあえずさっさと治してもらおうか」
「ちなみに治した場合は残りの人は帰してもらえるのですか?」
ルーシェルが質問してくる。
「そっちが要求出来る立場だと思ってるのか?」
「もちろんこちらが一方的に悪いですからね、しっかり賠償をさせてもらいますよ」
「賠償ねぇ…『不死化』でも紛れさせる気ですか?」
「まぁ隔離した時点で気付いてましたがスキルの確認方法があるみたいですね」
「そっちも危険性を承知で『不死化』のスキルを持たせてたんですね」
サキが冷ややかな目を浴びせながら答えた。
「氷姫と評されるに充分なほどの冷たい目だね…それでじゃあ何を望むんだ?」
「彼の治療後は日本につれて帰らせてもらうがそれ以降の俺達も含めて一切の手出し無用としてもらうぞ」
「なるほど…彼の治療後か、そんなんで良ければ全然いいよ。なんならこっちの2人はいいのかい?」
後ろにいた椎名と神崎は怯えの表情を浮かべていた。
「そっちの2人は知らん、勝手にしろ」
『跳躍』可能なのは5人までなのであちらの2人を連れて行く事は出来ない。
それにまぁあいつらに対する義理は誰も持ち合わせていない。
「俺達も日本に帰らせてくれよ!」
「そうだ、アンデッドにさせられる国なんて御免だ!」
「知るか、それはそっちで交渉しろ」
「まぁこっちとしては全員連れてってもらっても問題ないんだけどね…まぁ残すっていうなら有効活用させてもらうよ…大人しくしてな」
先程までは飄々とした態度を取っていたがあいつらに対する言葉を発した時の声には何やら力を感じた。
「それじゃあ治療に移るよ」
俺は彼を収納してるミスリルの塊を差し出す。
「貴重なミスリルをこんな風に使うとはね…まぁしかしこれで対処方も分かったよ」
こいつまだ不死化使う気だな…まぁ確かにどうなるのかは気になる所ではある。
「結果は出来るなら世界で共有してくれこのスキルやばすぎる」
「そうさせてもらうよ」
ルーシェルは、ニコッとこっちに向かって笑ってくるがその言葉が真実かどうかは計りきれない。
これで治療が終わればこの国からもおさらばだ…何事もなく終わると良いが…。
そんな願いは儚くも散る事になるのは相手がミスリルの盾をどかした瞬間だった。




