道中
船に乗り込み出発するのだがどうやら道中は全く仕事をしてなかったようで椎名と呼ばれる男と神崎と呼ばれる男は、ゲイルと呼ばれる男の指示を受けながら作業をしていた。
この2人は船についた時点で叩き起こしたのだがその後、サキから事のあらましを伝えられ…。
「嘘だろ…」
「あれそんなヤバイスキルだったのかよ」
「だから絶対にあれに光は入れないように気をつけなさい」
元々パーティを組んでいたこともありサキの話を素直に受け取ったようだ。
それに加えて自分達にもヤバイスクロールを持たせていたという事もありDDDへの不信感もこちらに有利に働いた。
光を助けたいという共通意識も生まれたことで道中では特に問題はなかった。
俺達3人+1人は基本的にくり抜いてきた岩というか土の入れ物を持っている状態だ。
正直1人でも持てるのだが何かあった場合に困るので3人で持っている。
ちなみに崩れたらヤバイと心配して沙月ミスリルで覆ってくれているので土が崩れても問題はない…。いやその場合は中が見えてしまうので問題がある。
なので慎重に運ぶ必要がある。
「どれくらいで着くんだ」
「行きよりも急ぐが4日はかかる…」
「まぁ仕方ないな、まぁ急げよ」
こちらとしてもあまり留守にはしたくないので急ぐにこした事はない。
「まぁ急げよ」
こちらの手の内を明かすのも嫌な為、接触は最低限で俺達は甲板で寝起きする事になった。
それから1日…予定よりも早く陸地に到着した。
まぁ早く到着した理由は、ゲイルと言う男がかなり無茶をしたからというのもあるが、潜伏系のスキルを使わずに速度重視で来たというのもある。
かなり焦っているようだ。
DDDは海と繋がっていない為、どうやって船で上陸するのかと思っていたのだが、どうやら世界各国…特にダンジョンが存在しない島国にダンジョン資源を交渉材料にしてDDD専用の港があるそうでそこから普通に入港して空路でDDDへと向かう。
トレーラーが用意されていたのでそれに岩を積み込み固定する。
そして空港についてからはそこからは普通に貨物機で移動する事になった。
「これかなりの重さがあるけど大丈夫なのか」
「問題ない、『軽量化』のスキル持ちがいるからな」
どうやらダンジョンの資源を正しく運用してるようでその辺りは見習う点が大きいなと思った。
軽量化のスキル持ちが岩に触れた事で一気に軽くなる。
そして1人を追加してそのまま空路でDDDに向かう。
領空侵犯になるのではと思っていたのだがどうやら各国も空路が確保されているようで特に問題もなく1日かけてDDDに到着した。
途中で『軽量化』のスキル持ちと軽く会話をしたのだがDDDの駐在員だったようで今回の作戦の事は全然知らないようだった。
そもそも運んでる物に付いてもわかっていなかった。
実質ゾンビを空輸中なので本当だったらとんでもないことになりそうなのだが…。
そんなこんなでDDDの空港へと到着した。
ここに来るまでに窓から外の様子を見たが、今どきこんな国全体を壁で覆ってることなんてあるんだな。
まぁ近隣諸国から狙われてるらしいし仕方ないのかもしれない。
鋼鉄の扉が開いたと思うと中に案内される。
中は普通の日本のような街並みが並んでいた。
中東諸国の中では異彩を放っているのだろうがコンクリートジャングルといった感じだ。
「国王へはすぐに謁見出来る、ついてきてくれ」
「国からでれないだけで国内なら問題ないんだろ?ならダンジョンにつれてきてくれ。俺達はそこで待ってるから」
「は?何を言ってるんだ!?」
ゲイルが途端に慌てる。
「いやいや、そりゃそうだろ誰がそんな伏魔殿みたいなとこ行かなきゃいけないんだ?」
よく考えればわかると思うんだが慌てていたせいかそこまで気が回っていなかったようだ。
誰が人の本拠地に乗り込むっていうんだ。
「なんならここで解き放てばいいか?それのが早いだろ」
「くぅ…わかった…ダンジョンにはお前ら案内しておけ」
そういって走っていった。
「聞いてただろさっさと案内しろ」
俺は椎名と神崎に案内させる為に急かせる。
「んだと!?」
「てめぇ」
「ああん?なんならここで解放してもいいんだぞ」
威圧してでも早くダンジョンに向かう必要がある。
「くぅ…わあったよ。こっちだ」
まぁ案内がなくてもわかるくらいにはわかりやすい配置だと思ったのだが…。
基本的にダンジョンの支配範囲は円状に広がっているので国の中心にあることは明確だった。
そもそも先程ゲイルが向かっていった方向に大きなビルがあったのでそれが国王達の住処っぽい。
DDDという国は一国といってもダンジョン範囲だけの国なのでホノルル島と同じ位の広さしかない。
「これで一国って言われるとなんか不思議ですね」
カレンが呟いた。
「まぁダンジョン内包してれば広さは関係ないですしね」
ミレイが呟く。
ダンジョンを内包していればそれは国土のようなものなので広い国土なんて必要ない。
ロシアの事を思うと広い国土を維持する労力の方が大変そうだ。
ちなみにあの後のロシアは復興に向けて動いているが未だに瓦礫の撤去中らしい。
指導者不在という事もあってか進捗は良くないそうだ。
「少し急いでくれるか」
「なんでだよ」
「視線が気になるんだよ・・・」
明らかにおかしなミスリルの塊を持ってる上にこの国の者ではない人間がゾロゾロ歩いているのは居心地が悪いというのもあるが早めにいってセーブポイントに行く必要があったからだ。
出来れば国王と接触する前にセーブをしておきたい。
「ちっ…わーったよ、俺達も新参だからな気持ちはわかるが」
そういって神崎は悪態を付きながらも少し早歩きで急いでくれた。
ちなみにダンジョンの位置は国王達がいるであろうビルの反対側だった。
「さぁこっちだ。」
ダンジョンの入口はゲートもなく普通に解放されてるようで広場のようになっていた。
それに加えて多くの人がダンジョンに向かっていた。
中に入ってから質問を投げかける。
「ちなみに1階層のセーブポイントってどこにある?」
「ああ、入って左手の壁沿いに進めばすぐわかると思うぞ」
俺達の質問に神崎がさくっと答えてくれたので探す手間は省けそうである。
「なんかあった時の為に飛べるようにセーブしてくるからここで待っててくれるか?すぐ戻る」
「ああ…まぁそうだな、わかった」
自分達も危ない目にあった手前俺達が安全策を打つ事に対して何もないみたいだ。
言付けてからダンジョンに向かう。
奇異の目で見られるがダンジョンにさえ入ってしまえばこっちのものである。
どうやら1階層は洞窟タイプのようで左手沿いに進んで少し開けた場所に出た。
すでにボスを倒し終わっていたみたいでオブジェクトはなかったが中心にはオブジェクト跡のような物が残っていたのでそこでセーブは完了した。




