事後処理
ちなみに先程投げ入れたのは分身なので何も起きていない。
最初に投げたのは本物だったのであれをミスったらと少しヒヤヒヤしていたのだが成功してよかった。
まぁその分思い切り蹴ってしまったのでちょっと心配もあったが…。
「とりあえず国王ならなんとか出来るらしいがどうする?ここのやつら全員『不死化』させて送りつけるか?」
正直DDDがやった事は胸糞が悪く仲間の身内が被害にあった事でそれなりに腹も立っていた。
「正直あの状況を広めるのは人類滅亡に繋がる気がしますしあんまりやりたくないですね…」
沙月の言う事も一理あり、あれが感染して世界に広がるようであれば映画のようになること請け合いである。
「それならどうする?乗り込むか?」
「弟に為にそんな危険を冒してもらう訳には…」
サキが恐縮してしまっていた。
まぁ身内の不始末であるのは間違いないのだがこのやり方は実に気分が悪い。
下手したら島の人間は全滅である。
それどころか最悪の場合は人類滅亡もあり得る。
「よく考えれば島の外に出る事は考えにくいんですよね」
結局あのソンビは泳ぐ事が出来なかった。
そうなると島の外に出るのは何かを媒介する必要がある。
「それでも広がる可能性は0じゃないですから最悪な手段だというのには同意ですが…」
DDDという国は別に場所が秘匿されている訳では無い。
行こうと思えば行く事が出来る。
優秀な探索者で力を求めてDDDにいく事は珍しいことではない。
もちろんかなり強引な手段でスカウトという名の引き抜きを行っているがそれ以外でも探索者へは門戸を開いている国でもある。
「まぁ国内に入るのは問題ないけどダンジョンの仕様上間違いなくバレるからな」
「もし潜入するにしても目標はダンジョンですね…セーブポイントさえ登録出来てしまえばカレンの能力で飛べますから」
そうもし潜入するにしてもあの状況の彼を運ぶのはリスクしかない。
なので一部の人間で潜入した上でダンジョンのセーブポイントを登録するのが第一優先だ。
「潜入はする話になってますが私は反対です」
サキが真っ向から反対してきた。
「あそこと真っ向からやり合うのは絶対に反対です」
真剣な顔で念押しされてしまった。
「それでサキはどうするつもりなんだ?」
潜入しないという事はこの状況を打破する手段は現状存在しない。
このまま魔力切れを持って進展がなければ無駄に時間を消費しただけとなり最悪の場合あの状態のままの可能性もある。
あのリーダーの慌てようから考えるとDDDの国王がなんとか出来る事には時間制限があるように思える。
「あの状態が維持されてしまうのであればどこかにでも弟を連れて引き籠もりますよ…見捨てる訳にはいきませんからたった一人の弟なので…」
サキとしては光と袂を分かったといっても命を失って欲しかった訳では無かったのだろう。
とても思い詰めた顔をしていた。
現状の蓄えがあれば引きこもって暮らす分には問題ないかもしれない。
しかしそんな事を許す訳にはいかない。
「そんなのは解決策じゃないだろ。誰かを犠牲にするようなものは却下だ」
「でも、それで皆さんを危険に晒すことなんて出来ません!弟は皆さんを襲撃してきたんですよ!そこに義理立てする必要なんてないです!」
「俺達が義理立てしてるのはサキに対してだ。サキが助けたいと思うならそれを手伝うのは当然だろ」
皆が俺の言葉に従って頷く。
ちなみに外の連中はミレイとソフィアが見張ってくれている。
ちなみにソフィアの吸血も状態異常無効を貫通する。
なので2人に任せているのだがあちらの2人も同じ気持ちだと思われる。
「とりあえず作戦を考えます…時間制限がありそうなので早めに…」
沙月は何やらどこかに連絡していた。
あの国にいくとなると一番問題となるのは移動手段だ。
日本を経由したとしてもどちらにしても陸路で移動することは出来ない。
空路を使って行くことになる。
DDDの警戒網が厳重なのは国内だけなので近隣までいくのは問題はない。
まぁ急に国が出来たせいで周辺諸国が荒れているという別の問題はあるがそこは俺達なら特に問題にならない。
しかし先日のようにロシアにいった時のような行動は領空戦犯となるので普通に外交問題になってしまう。
まぁそうなるとどこかの国にお邪魔して陸路でいくのが一番なのだが…俺達のような高レベルの探索者はそもそも入国させてくれない事がほとんどだ。
ちゃんとした手段だとDDDに行くこと自体が結構困難だったりする。
「『魔空間』を使って普通に飛んでいくしかないかと…」
「却下だ」
沙月を同行させる訳にはいかない。
今回の確保対象は沙月だった。
そんな状況で沙月をDDDにいかせる訳にはいかない。
そうなると…変化能力が使えるミレイであれば『魔空間』を使用することが出来るが沙月ほどの範囲と持続時間は無い。
考えれば考えるほど潜入が難しい。
「いっそのことあの7人を人質にすればいいんじゃないか」
カナタが物騒な提案をする。
「確かにDDDに乗り込むよりも手っ取り早いな」
俺としては魅力的な案に思えた。
「治してくれると思います?」
「7人の方なら交渉材料になるんじゃないか?」
「悪い賭けではなさそうだけどな」
先程の様子からあの7人は不死の事も知っていたようだし恐らく失敗した場合はあの7人だけは帰還する算段を立てているのでは無いだろうか。
「とりあえずあの穴に放り投げた一人はダンジョンにでも隠しといてもらって」
あいつに話を聞いてみるか。
ミレイとソフィアの魅了では情報等は聞き出せないのが厄介だ。
俺はさっきの対応でヤバイやつだと思われていそうなので後はもう一人…話をする役を入れるか…。
「悪いがサキ聞き取り役を任せてもいいか?」
「私ですか…?」
「弟の件だ、情が出るかもしれんからな」
「わかりました…」
少し間を置き覚悟を決めたように返事が帰ってきた。




