沙月side
日本の渋谷ダンジョンの1階に跳躍した直後はやはり注目を集めてしまったが、現在ダンジョンは厳戒態勢を敷かれているようで自衛隊の方しかいなかった。
私たちの事はすでに伝わっていたようでそのまま地上に案内された。
そして地上に戻ってからリサさんへと連絡を取り落ち合う。
「わがままを聞いてもらって本当にありがとう…」
リサさんから深々と頭を下げられた。
今回の件はこちらにも利があったが、リサさんからは個人的にも助けてあげて欲しいとお願いされていたこともあってかかなり心配していたようだ。
「それでロシアの状況は?」
アキラさんが質問を投げる。
こちらに帰って来る前に一度外に出た時にはほんとに酷い有様だったそうでロシアという国がどうなったのかは私も知りたい所だった。
「多数の被害を出して現在モンスターがダンジョンに戻っているそうでこれで収束するんじゃないかしら…被害の割には死者は少ないそうだけど国家としての体裁を保てるかどうかは微妙なところね」
ダンジョンから溢れたモンスターが戻っている様子は戻る時にはなかったのでここ数時間でそのような動きがあったのだろう。
リサさんから見せられた映像は上空から撮影した映像らしいが…建造物はほぼ倒壊、一部の施設等は残っているそうだが復旧となるとかなりの時間を要する事は想像に難しくなかった。
「日本への侵攻はどうなりました?」
「そちらも責任者及び関係者はほぼ死亡して代理の人間から正式に降伏宣言というよりは戦争を中止って感じで政府に打診があったそうよ」
日本側の被害はほぼないので中止と言われればそれまでなんでしょうが…。
「もちろん、はい中止で終わりって訳ではなく賠償請求することになるんでしょうけど国家としてどうなるか次第でしょうね…降伏して日本の属領になる噂まで出てる始末よ」
かなり深刻な事態のようだ。
まぁその辺の事はこちらでどうにかする問題ではないのでしばらくは様子見になりそう…。
「日本の様子としてはどうなんです?」
「日本は平和なもんでダンジョンの厳戒態勢も数日で解除する予定で動いてるわ、戦争を吹っかけてきた国が滅亡寸前なのだからそっちに関しては早い段階で色々と噂が飛び交っててそっちは彼女に制御してもらったわ」
どうやらアカネさんが色々やってくれていたようだ。
リサさんとの連絡回線などの盗聴妨害なども彼女のおかげなので今度あった時にお礼をいっておかないといけない。
「リサさん、例の物は用意してくれたんですよね?」
「ええ、今回の事であちらさんもようやく折れたみたいで数日以内にこちらに届くわ」
「ありがとうございます」
今回の頑張った報酬ももうすぐ手に入るとのことなので…色々無茶もしたし魔力値のことはバレてしまったが結果としては良い方に働いた気がしている。
そしてあちらも色々と事後処理があるそうなので休むかどうか聞かれたが部屋は用意してもらったがこちらとしては3日間キャンプしてただけなので特に疲れてはいない。
アリーナさんの背中を見送りつつ…強く生きて…後から怒られないか不安にかられたがさすがにそこまでは面倒見きれないので考えないようにする。
そして自由行動となった。
本当はアカネさんと顔合わせをしたいのだが連日の情報処理で現在は眠っているそうなので後ほどだ。
「約束通りデートに付き合ってもらいますよ!」
時間が出来たのでアキラさんを連れ出してデートすることにした。
ミレイさんとカレンは姉妹でお出かけするそうでせっかくの2人きりなのだが…。
「お店がやってないですね…」
「まぁ戦時中扱いだろ?さすがになぁ」
ほんとは色々とカフェにいったり服を買ったりしたかったというのにほとんどのお店が休業中でありそもそもモールが閉鎖されていた。
タワー内のコンビニは営業していたが恐らく物資の補給や後は職員用といった感じのようだ。
「また後日でもいいぞ?さすがにこの状況でエスコート出来るほど俺は経験豊富じゃない」
アキラさんも苦笑いを浮かべていた。
「はぁ…」
深い溜息を吐きつつ今回は諦めるしかなかった。
「あっ悪いんだがちょっと付き合ってもらってもいいか編集者が会いたいっていっててな」
何やらスマホを確認していると思ったら編集者の方からだったようだ。
「本社近くなんでしたっけ?」
「ああ、ここからだったら走れば10分もかからんはずだ」
「それは探索者速度です?」
「まぁそれはそうだな」
「了解です」
そこから出版社に向かう。
確かに車で15分ほどの距離のようだが確かに軽く走って10分ほどで到着した。
「まぁアニメ化の話らしくてな契約関係とかちょっと着いてきてもらえると助かる」
「許可するんですか?」
「ああ、まぁ確かに責任は取れないっていうのは確かにそうなんだがせっかく世間の目に触れる機会を摘み取ってしまうのも俺のエゴな気がしてな…」
アキラさんの立場としては不用意に許可を出してお母様の作品を汚せないと考えているみたいだった。
しかしそれで一切許可を出さないというのはそれはそれで作品を死蔵してしまっている状態なのも気にかけていたようだ。
「それにあの監督のアニメ化は母も喜んでいたからな…アニメ化されたのもかなり前だしせっかく注目を浴びてる今アニメ化して世間に母の作品を知ってもらうのもいいと思ってな」
アキラさんの中で折り合いがついたようで今回話を受ける事は相談されていた。
そこから編集者さんと打ち合わせに同席して契約書関係の確認をする。
「アドバイザーです…」
と私の事を紹介されたので契約書にしっかりと目を通した。
「金銭的な割合はこれでよかったんです?」
取り分の割合が書いてある部分をアキラさんに確認してもらう。
「ああ、大丈夫だ」
特にまずい点も見当たらなかったが何かあってもいけないので…
「コピー機を借りてもよろしいです?」
「どうぞ」
案内されたコピー機で契約書のコピーを取る。
「写しはお渡ししますよ?」
「いえ、ちょっと確認したいことがあったので」
スキルで何かしていた場合、コピー機を通すと解除された状態がコピーされるのでこれで判別できたりする。
コピーした方の契約書も特に問題はなかった。
「大丈夫です」
そういってアキラさんにGOサインを出した。
契約も終わったのでそのままタワーへと戻った。




