巨大化
そもそものスキルが少ないランと火力面の対策をしたいカナタなので選択はかなり重要だ。
ある程度までは本人が絞ったようだがやはり決定打が欲しいようで俺に2人揃って相談にきた。
なぜ俺の所に来るのかと聞いたのだが戦闘面でのセンスを信頼してとのことだったので責任重大だなとプレッシャーを感じつつも2人の検討しているスキルについて確認した。
カナタの方の選択スキルは2つに絞られていた。
「とりあえず操作系は私には向かない事がわかったから外した」
割と器用になんでも出来るカナタなのだが出来るのはしっかりとしたマニュアルがある場合に限る。
操作系スキルはかなり感覚による所が大きく『音操作』に関しても細かな操作が出来ずに苦労しているそうだ。
そして明らかに火力とは無縁そうなスキルを外して残ったのが…
『巨大化』と『電光石火』の2つだった。
「ここで巨大化が入ってくるか…」
「火力って面では一番わかりやすいのよね」
確かに火力面では一番わかりやすい。
大きいは正義である。
「使い勝手がわからないとなんともいえないんだよなぁ」
『巨大化』スキルはどの程度大きくなるのか、一部だけ可能なのかによって大きく評価が変化する。
一部の巨大化が可能であればそれは大きな利点となるし身体全体が大きくなるという話だと一部のフィールドで使えないという欠点にもなる。
「『電光石火』のがよくないか?」
「うーん、どうにも体当たりって印象が強いんだけど火力って考えると微妙じゃないか?」
まぁ良くも悪くも高速移動しての体当たりという印象が強い。
そうなると高威力か?と言われると疑問が残る。
「威力を考えると質量は正義だからなぁ…『巨大化』になるか」
「やっぱりそうだよな。私の中でも答えは出てたんだが踏ん切りがつかなくてな。よしこれにする」
そういってカナタは『巨大化』を選択した。
そして次はランだった。
こちらはそもそもスキルの数が少ないので何を取るかという話しになってくるのだが…。
「私も魔力が多くないので…どれにしたもんかと…」
魔力の消費が激しそうなスキルを除いた結果…
『浮遊』
『衝撃』
の2つとなっていた。
『浮遊』はきっと言葉通りだと思われるが『衝撃』が曖昧過ぎてさすがに選ぶのが躊躇われるレベルだ。
「他にはなかったのか?」
「他は『音操作』、『振動操作』、『硬化』だったんだけど…」
「なるほど…それはイマイチかもしれんな」
魔力値が低いと操作系は常時使用するのは難しい。
もっといえば『液化』と一緒に使うと魔力消費が激し過ぎて厳しいらしい。
「『振動操作』は俺でも持て余してるし、『音操作』と『硬化』もぶっちゃけ買おうと思えば買えるからわざわざ特典で選ぶのも微妙か…」
しかしラインナップ的には、これもしかして魔力値参照…。
「戦闘の幅を広げるなら『浮遊』で単純に火力を上げるなら『衝撃』って感じかと…」
使いこなすという面では、正直な所ランが使いこなせない印象は無いのでどっちを選んでも完璧に使いこなしそうではある。
「ぶっちゃけた話をすると大半のモンスターに『浮遊』は持て余すので空を飛べるという利点を考えなければ『衝撃』の方が強そうだ」
「確かに飛行とかじゃなく『浮遊』ですもんね…浮くだけだと考えると…よし決めた」
そういってランは『衝撃』を選択したようだ。
そして全員のスキル検証を行う事になった。
「私が実験台になりますよ」
そういって沙月が『魔纏』を発動した。
「遠慮なく使ってきてください」
「大丈夫なのか?」
俺にこそっと聞いてくるカナタ。
「大丈夫だ、俺が本気で殴っても余裕で耐えてた」
「まじか…了解」
沙月に向かってカナタは、『巨大化』を使用して攻撃を加えた。
結果的に『巨大化』スキルは身体の一部、または全身を自在に大きく出来るスキルだったようで調整もかなり効くようだった。
質量はそのまま力とはよく言ったものでかなりの攻撃力があったようだ。
「かなり魔力を使って作ったんですけど消えちゃいました、凄い攻撃力ですね」
攻撃を受けた膜はそのままモンスター達が消える時と同じように消えていった。
「まだ大きくしてぶん殴っただけだけどな」
「それ重くなったりしないのか?」
「重くはなるが今のレベルだと持てないほどの重さじゃないからな」
確かに俺達のレベルであればかなりの重さまで持つことが出来る。
それを考えればあの状態の腕を振り回すのも可能か…と納得が出来た。
「これでここも大きく…」
なにやら胸に手を当てて呟いていたが俺の耳に届くほどの声量はなかったので何か考えているみたいだった。
ランは、まだ悪戦苦闘してるようだ。
沙月にスキルを見てもらったみたいだが『衝撃』を付与するとかいう説明だったようで、どうしたらいいのかわからないみたいだ。
理解してしまえばなんとかしてしまいそうだがまだスキル自体を発動できていないようだ。
ちなみにサキの方は…
「これすごいです!事前に魔法をストック出来るようになって一瞬で打てます」
「えっ!?じゃあいきなりアポカリプス打ってくるのか?」
「ああ、あれは混成魔法なんでストック出来なかったです…単体魔法ならって感じですね」
そういってとんでもない火力の魔法を乱発していた。
「こっわ!?」
「今まで使いにくかった魔法をストックできるので便利です」
ストック出来るのは3個までらしいが大幅な火力アップとなったようだ。
「できた!!」
そう叫んだランの方を向くと壁に大穴が空いていた。




