国籍
休みの翌日である、本日は日本から荷物が届く配給日だったが、珍しく氷川さんは来なかった。
「事前に連絡があって今回は来られないそうです」
「何かあったのか?」
「毎回同じように移動しているとルートがばれる恐れがあるのでそれも込みで今回は日用品とかだけですね」
スキルの輸送などになると氷川さんが駆り出されるようだが今回は日用品だけなので特に問題はなかったようだ。
という訳で今回はそれぞれ日用品の引き取りだけなのですぐに終わってしまった。
「そういえば一応お伝えしておくのですが恐らくもう一人ここに来ることになると思います」
「例の?」
「はい。上手いことコンタクトが取れたので…ただ恐らく戦闘要員にはならないのである程度自衛のレベルを上げてもらった後はバックアップ要員として働いてもらう予定です」
「それは助かるな」
日本とのやりとりなどかなり気を使っているがどこからバレるかわかったものではなかったので電子防衛が出来る人材は有り難い。
基本的に沙月がスカウトした人材には誰も異論はないので特に反対意見もなく受け入れられた。
一人疑問を投げかけたのはアイラさんだったが…
「男性ですか?」
「いえ女性です…29歳の」
「わかりました」
アイラさんはまだ男性自体苦手のようで基地などで男性とすれ違ったりする時もまだ警戒していたりする。
「女性だったか…」
「はい、まぁ喋り方の感じで予想はついてましたけどね」
「確かに」
加工はされているはずだが彼女の喋り方には男性的なものは感じなかったので男性ではないだろうとは予測はしていた。
「ってかよくこっちに来る話になったな、協力体制だけならこっちに来る必要はないと思うが?」
「どちらかというとこっちに来ることそのものが条件みたいな所があったので…」
ここにいるメンツは色々と事情を抱えているがわざわざこんな辺鄙な所に来たがる人材というのは珍しかった。
「隠れなきゃいけないのか?」
「いえ、理由については来てから説明します…まぁ色々とまずい状況らしく日本に居づらいみたいですね…」
「ナニソレ怖い」
カレンもぼそっとつぶやく。
「ハハ…まぁ来た時にそれは説明しますよ、犯罪者とかではないのでそれは大丈夫ですけど」
沙月も苦笑いをしていた。
彼女については色々と輸送に関しては準備がいるらしく到着するのは2週間後の予定らしい。
「そういえば気になってたんだけど国籍ってどうなってるんだ?」
一応ここはアメリカと日本の共同管理している領土になっている。
俺達はここにくるにあたってアメリカの国籍も取得して二重国籍状態になっている。
「サキさんに関しては私たちと同じですよ。アイラさんとランに関しても中国国籍が完全に無くなって日本とアメリカの国籍を新たに取得しています」
そのへんは抜かりはないようだ。
「しかし、そろそろ日本が恋しくなってきたな」
日本を離れてそれなりの期間が空き日本が懐かしくなってきた。
「カレンのスキル次第ですかねぇ…」
沙月が呟く。
「そういえばそうだったな」
カレンの『跳躍』スキルでもしかしたら日本のダンジョンに飛べる可能性が残されていた。
「後1なんでもう少しお待ちを」
気まずそうな表情を浮かべていたカレンだったが、スキル自体はかなりの頻度で使用しているようだが未だに9から10にはあがっていなかった。
「まぁそれについては上がってみないとわかりませんからね」
レベルが10になったら飛べるかどうかも不確定なのであまり期待しても良くないのかもしれない。
そんな話をした後に時間もあったので湖に移動した。
移動に手間がかかるので感じを確かめた後はしばらくは泊りがけで潜る予定になっていた。
「移動だけに集中するにしてもこのエベレストが辛いよなぁ」
「普通に油断したら遭難しますからね」
このフロアは初体験だったアイラ達は面食らっており…
「こんなフロアは初めてです…」
「さむいぃぃ」
経験者であるアイラさんも雪山は初めてだったようだ。
そんなこんなで苦労もあったがレベルの暴力で踏破して湖に到着した。
「きれい…」
「すごい」
俺も初めてきた時は感動したのでそれと同じように驚嘆していた。
「さて釣るか」
そういって湖に足を入れる。
そしてすぐにレイクリザード達が寄ってきたのでそれに対して沙月の魔力を借りながら電気を流す。
その結果無数のレイクリザード達が消滅した。
「いい感じだな」
「電気漁…」
「環境破壊」
沙月とソフィアからツッコミが入る。
「人聞き悪すぎだろ!害獣だからいいんだよ!」
魔力消費を沙月で補っている手前大きな顔は出来ないのだがゴブリンやスライムと同じく大量に狩ることは出来そうだった。
「この調子なら大丈夫そうだし明日からはここで狩りまくるか」
そこからはある程度の体数を稼ぐのに同じように狩りまくった。
最終的には半日程度で500匹ほど狩る事ができたのでゴブリン達と同じペースで狩ることが出来そうだった。
キリの良いところまで狩ってからホテルへと戻った。
あちらも順調のようで近日中にはゴーレムが達成できそうという話だった。
「サキのおかげで順調に狩れてるけど魔法耐性持ちは苦労しそうだ…」
ミスリルとかオリハルコンはまだ出現していないようでまだなんとかなってるようだ。
ホテルから家に戻り食事をした後でまたホテルに戻る。
そして風呂に入りゆっくりしているとチャイムが鳴った。
ドアを開けると沙月が立っていた。
「渡したいものとお話がありまして…」
「…ああ、いいぞ…ラウンジでいいか?」
「いえ、内密な話もあるのでお部屋だと助かります」
そう言われて先日の件もあって警戒したが今回は外にちゃんとでているので大丈夫なはずなのでそのまま部屋に招いた。




