獣化
ミレイの悩んでいる姿を横目にこちらも決めあぐねていた。
スキル取得に関しては現状のスキルも十全に使いこなせていない状態で取得するつもりはなかった。
後はレベルを上げるスキルの選択だけ…。
こまめに使ってスキルレベルを上げているのだが『電気操作』のレベルの上がりは良くない。
未だに2Lvのままで止まっている。
現状の『特攻』には特に不便は感じていない状況で上げてもソフィアのようになりかねないというのが俺の考えでもある。
「ミレイは決まったか?」
「『獣化』にします」
どうやら『獣化』に決めたようだ。
「一番癖がなくて確実に強化になるので後、使い勝手のわからない『透過』はともかく『加速』とは迷ったんですけどね…」
単純な戦闘力強化という面では文字通りの意味であれば『加速』は相当使い勝手が良さそうではあった。
「『加速』はソロならいいんですけどパーティ戦だと危なそうなので…」
それを言われて完全にソロで使うつもりの頭でいたがパーティ戦で動きが加速するのは確かに危ないという事に気付かされた。
納得の理由であり、ミレイは『獣化』を取得した。
「まぁ俺も覚悟決めるか」
『電気操作』のレベルを上げた。
やはり固有スキルとは違って上がりやすいのか一気に10まで到達した。
「悪い、沙月確認してくれるか?」
これでスキルが進化したはずなのだが自分のステータスみたいな物は見れないので沙月に確認してもらうしかなかった。
「わかりました…」
少し黙ってスキルの確認をする沙月…。
「なるほど…これで合成可能になるという事は磁界は上位スキルだったということ…」
ないやらブツブツと呟いているがこちらとしては少しワクワクしていた。
「結論から伝えますが『電気操作』は『電撃操作』に進化しました」
「おおう?」
なんか名前変わっただけ感あるが…しかし威力は上がっていそうである
「そしてその結果、『磁界操作』と合成できるようになったので合成しました」
「えっ!?」
ここ最近、特に使われる事がなかった沙月の『スキル合成』が使われた。
合成というか統合という感じの力ではあるのだが…。
「新しいスキル名は『電磁支配』になってます」
「ほえぇ!?」
驚きのあまり変な声がでてしまった。
使い勝手に変化はないか試してみることにしたが既存の操作には何も問題はなかった。
後は変化したことでどういう事ができるようになったか探っていく事になるが、時間がかかりそうだったのでまた自主練の時にでも試すことにしよう。
制御自体はかなりしやすくなった印象があった。
ミレイの『獣化』の検証が行われた。
スキルを使用した結果…ミレイには尻尾と耳が生えた。
基本的に顔周りはほとんど変化しないのがこの系統の能力の特徴だったりする。
カナタやソフィアも顔周りの変化は歯位なもので他はパッと見の変化はなかった。
耳では判別がつかなかったが尻尾が生えた事で判別が付いた。
「狐かぁ…」
「あんまりメジャーな獣って感じじゃないですけど…何が出来るんでしょう?」
「要検証だな」
『竜化』などの印象のせいか単純に身体にその特徴が出てくると思っていたのだが現状は耳と尻尾が付いた程度で何か出来るような感じがしていなかった。
「狐っていうとファンタジー系の能力だったら変化とか?」
「変化…」
頭を捻りながらなにやらやろうとしているようだがうまくいかないようだ。
「身体能力的にはどうなんだ?」
「それに関しては強化されてる気がします」
その場で軽く飛んだり跳ねたりしていたが動きが軽いというか軽やかな感じがした。
恐らく身体の作りが獣に近づいており動作が洗練されている状態のようだ。
「その尻尾って感覚あるんですか?」
「変な感じだけどあるわね」
そういって自分の尻尾を触るミレイ。
その後はアイラさんの事もあり狩りは中断して、俺とソフィアとミレイの3人で検証作業を続けたが単純な身体強化以外の利点が見つからなかった。
沙月はやることがあるといってキャンピングカーで作業中だ。
「もしかしてイマイチなのでは…?」
そんな事を呟くミレイだったが…。
「実際身体能力は上がってるし五感の感度は上がったんだろ?」
「それはそうですが」
身体強化以外で見つかったのは五感の強化に加えて獣の直感というべきなのか第六感的なものが備わっていた。
「それだけでも凄いと思うが…」
五感が鋭敏になったことで明らかに攻撃の精度や回避率があがっていた。
今までは無鉄砲に突っ込んでいたミレイだったが攻撃がくる所がなんとなくわかるようになったそうだ。
それに加えて嗅覚などの感覚もあがったことで探知スキルを使わなくても敵の位置がわかるようになった。
「どちらかというとサポート特化みたいな変化なんでしょうか?」
『竜化』は完全に攻撃特化型、『鬼化』に関しては特殊な技能が使える攻撃型、『液化』に関しては本人の技量のでせいで攻撃性能が高くなっているが防御型に近いと思っている。
そう考えると『獣化』がサポート型という線はなくはないと思われる。
「もしそうなら戦力としてはイマイチですね」
ミレイがそういって肩を落としていた、確かに現状探知も含めてすでにスキルで賄えてしまっている状況なのでサポート特化と言われてもイマイチ感は否めなかった。
「その耳と尻尾は可愛いと思うけどな」
先程から感情に合わせて動く耳と尻尾に目を奪われていた…非常に触ってみたい。
「えっ!?」
俺の言葉に反応してか耳がビクッとして尻尾もピンっと伸びた。
「すごいわかります、さっきから尻尾触りたくて…」
そういってソフィアが尻尾に手を伸ばして触れた。
「ひっ!?えっああ、そういうこと!?」
ミレイがびっくりしたと同時になにやら納得したような事をいいながらソフィアから距離をとった。
「尻尾はおしりを触られる感覚に近いので無闇に触ったらだめです!」
尻尾や耳を立てて威嚇するように叱るミレイ。
「ごめんなさい…」
謝るソフィアだったが…。
「まぁおかげでこの能力の真価がわかったので許します」
そういうと同時にミレイの姿が変わっていく…。
「おおぅ…」
「ええ…」
2人で驚きの声をあげる。
なぜならそこにはソフィアが立っていたからだった。




