園崎アリスside
園崎アリス、ちょっと前まで有名な探索者パーティで斥候をしてました。
パーティメンバーの3人が怪我で引退してしまったのでパーティは解散。
残りの一人はスカウトされて他のパーティに所属することになった。
私も色々なパーティから話は受けていたのだが正直、もう危険な探索者よりも安全で安心な公務員に仕事に就きたいと思い高収入で安全と誘われていたダンジョン管理組合の方に就職した。
なにより、私の実力ではこれ以上上に行くのは無理だと自分でも悟ってしまっていた事も大きかった。
最初の1週間は、オリエンテーリングと言われる私と一緒に就職した他の探索者と一緒に研修だったのだが私だけ2週間あったはずの予定を切り上げされて1週間で配属を言い渡された私の部署は秘書課。
配属先の部屋に向かって通された先にいたのは有名な探索者でもあった氷川さんだった。
「はじめまして、今日から配属になりました!園崎アリスです」
「こちらこそ今日からよろしく園崎さん。氷川浩二です。氷川部長って呼ばれてますけど一応役職は支部長なので悪しからず」
「聞いてます!所で秘書課は他に誰かいないのですか?」
「秘書課は組合長の直属の部下になるのでなかなか適任がいなくてね…この後、会ってもらうけど覚悟しておくように」
「わかりました…」
ここのタワーには何年も通っているが組合長を見たことはなかった。
基本的に広報担当がいたし重要な案件の対応は氷川さんがやっていた。
秘書課の部屋の奥が組合長の部屋らしくそのまま通される。
組合長の部屋っぽくなっているが異彩を放っているのが明らかに後から追加されたであろう無骨なデスクが2つあることだ。
「悪かったね、研修を途中で切り上げさせてこっちも切羽詰まっていてね」
組合長らしく女性がこちらに近づいてくる。
とてもキレイな女性で少し緊張するが最初が肝心だと思い挨拶をする。
「本日から配属になりました園崎アリスです!よろしくお願いします」
「西園寺リサだ、よろしく頼む」
そういって手を差し出される。
その手を握り握手を交わす。
私の握った手をもう一方の手でしっかりと握り力が込められる。
「逃さないから」
「えっ?」
ポツリと呟かれた言葉の意味を私はこの時は知るよしもなかった。
その後、今後の業務の説明をされることに。
「サキくんから聞いて君は非常に優秀と聞いているからね、期待してるよ」
「え、あ、恐縮です」
どうやらここに配属されるきっかけになったのは彼女だったらしい。
問題だらけのパーティで2人で苦労していたのでどうやら私の事を話してくれていたらしい。
「ここの部署の給与は特別会計になっていて当初受けていた説明とは大きく異なることを最初に伝えておこう」
「は、はい…」
最初は、とんでもなく安かったらどうしようと思ったのだがその額は、とんでもない金額だった。
基本給は月に100万。
これがベース金額となり、さらに探索者としてのレベルでと年数で乗算。
結果的に私の、月の給料は基本は1000万を超えた。
「えっ月給ですよね!?」
「もちろん、これにさらにダンジョン派遣された場合などには危険手当もつく場合によっては2000万も超えるだろうね」
「ありがとうございます!」
この時は、こんな給料を貰える所に紹介してくれたサキに感謝していた。
そう、この時までは…。
内容に問題がなければサインをしてくれと言われ意気揚々とサインをした。
この時内容をしっかり読み込んでいればよかったのかもしれないが、目の前の給与にうつつを抜かし確認しなかったのは私の落ち度だ。
こちらの書類が回収された。
「ちなみに業務内容は…」
「その前に伝えて置くことがある…私はエルフだ。君たちの言う所の異世界人であり目的があってこの世界で保護されている」
「えっ!?」
「そして私の存在は極秘事項であり、今後あなたの身柄は政府によって監視、管理される」
「はい?」
「つまり、もう君は逃げられないということだ…」
「ええええええええ!?」
地獄の釜の蓋を開けたとはこういう事を言うのだろう。
基本いつ呼ばれるかわからないので休みの日もタワーの職員宿舎に詰めているし出社は朝7時から夜の12時近くまで働かされて自由時間は時差で取る食事の時間位だ。
なんならダンジョンへの移動時間が一番ゆったり出来る時間かもしれない。
目まぐるしく情勢が変わる為、仕事が無尽蔵に増えていく。
事務仕事、実務、トラブル対応すべての業務が最終的に秘書課というか西園寺さんの元に回ってくる。
それを解決する為に奔走するのが私の仕事だ。
ちなみに氷川さんも同じような状況らしく夜の21時以降にしか顔をあわせないほどだった。
どうやら以前はこんな事はなかったそうなのだが…極秘事項であるサキのパーティの詳細も聞かされた。
「伝えておかないと業務にならないから」
と言われたが内容を聞いて衝撃を受ける事に…転移石、鑑定石、などここ最近で判明した情報のほとんどがそのパーティからもたらされたものだった…。
「ちなみにこれも極秘事項だから、さらに君の重要度あがったね」
「罠だ・・・!!」
すでに逃げられないように足かせをはめられているのに手枷も追加された感じだ。
絶対に許さない…帰ってきたら絶対文句いってやる!サキ!!!
朝からは前日の業務の残りを片付け昼にはダンジョンのトラブル対応で走り回る。
戻ってからはひたすら事務仕事…。
「ハハ…マジウケル…」
つい数週間までは探索者として活動していたというのに安全な後方へと思っていたのにこの仕打ちは鬼でしかない。
そんな私に特別ボーナスとして急に1億円が支給された。
「口止め料だね」
「口枷まで追加されましたか…」
「声にでてるよ、人聞きが悪いなぁ…悪いようにはしないから安心して欲しい」
「うううう…」
「ちなみに、例のパーティから支給されたこれを飲むと良い疲れが取れるよ」
「危ない薬じゃないんですか…」
「大丈夫、ダンジョンのポーションに危ない物はないから」
スタミナポーションと呼ばれているものらしいが、体力が回復するポーションらしい。
ちなみに寝なくても疲れなくなるポーションとしてパワーポーションなるものも一緒に手渡された。
「いやこっちは大丈夫ですよ…」
「いや飲んで貰わないと困るんだよ」
その後、ミスリル騒動が追加されて本当に寝る間も惜しむほどの激務に追われる事になった。
「帰ってきたら刻む!!!!!」
サキへの恨み言を吐きながら今日も業務に追われている。
◯あとがき
園崎アリス 28歳
ダンジョン災害前は、実家兼会計事務所に勤務しており簿記2級などの資格をもっている。
公認会計士を目指していたのだがダンジョン災害によって事務所兼実家消失。
幸いにも両親共に健在だったのだが地元基盤を失い破綻の危機に…。
すぐに出来る仕事として探索者になり実家を支えている内に有名探索者に。
実家は無事に立ち直ったのだが今更公認会計士になるのもと思い地獄(管理組合)に…。
童顔であり、背も低い事もあってか年齢よりも下に見られることが多いが本人は自身の容姿を気に入っており趣味でコスプレをするなどしている。
管理組合に勤務した当初は、しっかりとスーツを着用していたのだが激務に加え、突如振り込まれた高額な口止め料…服装くらい自由にさせてもらいますと言って探索者としての装備をすべてゴスロリ風に特注して常時その姿で仕事している。
魔力値 D
固有スキル 集中
集中することによって使用スキルのレベルが一時的に向上する。
スキル 各種ステータスアップスキル、生命探知、短剣技




