刑罰
ダンジョン災害後の刑罰には大きな変更点がある。
人を故意に殺害した場合は、何人であろうと死刑である。
しかも基本的には逮捕から1週間と経たずに執行という徹底ぶりである。
探索者を囚えておける刑務所が無いという話はあったがそもそも現在国内の刑務所の稼働率は80%を超えており新しい受刑者を受け入れる余裕が無いのである。
ちなみにダンジョンのスキルによってある職業の仕事がごっそりと無くなった。
検察と弁護士である。
複数人の読心スキル持ちによって正式に証拠として採用された物は、裁判では大きな意味を持ち、犯罪者は基本的に捕まったら即アウトである。
現代の裁判は証拠と、本人の心の証言を元にすぐにその日の内に判決がでる。
表面的な反省などすべて無意味と化した現在の裁判においてはほとんど事務作業である。
そして裁判では、検察は証拠の提出を淡々と行うのみ、弁護士側もほとんど反論を行うことなく淡々と処理するだけである。
来年には、検察と弁護士の立会は不要になるように法律が変更されるそうだ。
というスピードで処理されていく裁判だが世論からの批判はほとんどない。
なぜなら読心スキルで考えていることが赤裸々に公表されるからである。
尋問中に考えていることがすべて文章として書き下ろされ公開される。
それすらも罰である。
現状、裁判すら不必要ではと言われるほどに読心スキルなどがある状況でそんな物が必要かというのが世論である。
複数人の読心スキル使いによって犯人の心は丸裸にされそして執行される。
ちなみに人が死んだ場合の量刑はほとんどの場合は20年以上の懲役を喰らう上に証拠として犯人の心の中身も公開されるので実質公開処刑に近い。
なぜこんなことになっているのかというと現在、世界的に人口は減少傾向であり人類はゆっくりと絶滅に向かっているとすら言われているほどに人的資産は貴重なのだ。
じゃあなぜ死刑なのかって?
世論としては人を悪意を持って殺したのだから死刑で当然という認識である。
まぁ実際の所は、死刑=人権の停止=奴隷化というのが実際の仕組みらしい。
まぁ一般市民には死刑としか伝えられていないので知りようがないことではあるのだが…。
この仕組みについては日和の件の時に聞いて衝撃を受けたもんだ。
人的資源はいくらでも使いようがある現代である。
隷属化スキル持ちは西園寺さんともう一人しかいない。
こちらはある程度、隷属化した人間の人権が保証されるそうなのだが…さらにやばい完全奴隷化スキル持ちがいるそうなのだが、そちらはどこの国にいるのかも何人いるのかも教えてもらえなかった。
そちらは完全奴隷化するスキルらしいのだがそれ以上の情報は不明である。
なぜこんな話をしているのかと言うと俺達を襲った例の3人組の2人が護送されると言われたからだ。
ちなみに遺体も一緒に移送される。
「責任としてしっかり護送されるのを見て頂きたく…」
そういってソフィアによって案内された部屋から監視カメラを通して確認しているのだが…
「日和と同じように隷属化するってことになるの?」
「その予定ですけど彼らの場合は、日和さんよりもきつい契約になりますね」
日和は契約によって自身の目的に関しては制限なく行動が可能という状態にしてしまったのであの時完全に制御出来なかったわけだが…。
「まぁそこはご心配なく、復讐等をする事はできませんので…そもそも会うこともないと思います」
ソフィアから補足される。
「遺体の方は?」
「あちらはアメリカに移送されます。貴重な高レベル探索者の遺体なので有効活用させてもらいますよ」
少し怖い笑みを浮かべていたので若干引いてしまったがまぁ詳しくは聞くまい。
ちなみに謝罪と合わせて賠償に関してはすでに決済されているそうで、沙月が手配済みである。
怪我をしたミレイとカナタ、氷川さんに関しても沙月から慰謝料という名目ですでにお金が振り込まれている。
本人達曰く、すでに溢れんばかりの給料が振り込まれていて戦慄してるところに追い打ちが入ってて怖いって言っていた。
給料というよりうちのパーティは分配制なのだがどれくらいの収支があるのかも把握していないのでわかっていなかったのだが先日給料という名目で振り込まれた。
多額のお金を動かす為、会社を設立していたそうなのでさらに驚きである。
そこから給料という名目で分配されたのだが入金額が1億とかいう訳のわからない額が入金されており、桁を数えて戦慄したのが記憶に新しい。
当面のお金ということで今回は多めに入金したそうなのだが…どういう計算でこうなっているのか不安である。
ちなみに、ソフィアに関しては所属が違う上に色々と隠し事があるのでこちらから報酬を振り込む訳にはいかず現物支給する話をしたそうなのだが充分もらっているので勘弁してくださいと頭を下げられたそうだ。
「まぁ別の形で還元していきます」
と言っていたので本当に怖い。
そして飛行機を見送りまたダンジョンへと戻った。




