表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代日本でダンジョン生活!ハズレスキルで無双生活  作者: 色蓮
第1章 飛躍

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/223

沙月の決意【沙月視点の話】

 その日は、魔力値測定に一人で近くの役場に来ていた。


開庁に行けば空いていると聞き朝イチから来ていたが、このオフシーズンに混み合うことなどなく、誰もいない中で魔力値測定を受けることになっていた。



ほんとであればみんなと来てたのになぁ・・・年明け早々に測定を行うはずだったのが、インフルを拗らせ一月入院してしまい、そこから復学してからは休んでる間の補習と部活の大会が重なり、全く暇がなくズルズルと先送りになり、桜も散り4月も末に差し掛かっていた。



進路の関係で魔力値は非常に重要な為、先生から受けてくるように言われ、ようやく重い腰をあげ受けに来てみたが、たった一人で待合室にいるのは今後のことを考えると不安に襲われていた。



小林沙月の両親は3年前のダンジョン災害で二人共他界している。


ダンジョン災害とは・・・ダンジョンが地球に突如出現したことによる大規模な地盤沈下や地割れ、ビルの倒壊等を総評した災害のことである。


この災害の死者は日本国内で1000万人を超え、世界全体での死者は10億人を超えると言われている。

行方不明者を含めると3000万人に増える。

世界的にも人類にとんでもないダメージを与えた災害だった。


災害により起きた倒壊に巻き込まれ、両親と妹は他界した。


その日は、海外出張が多い両親揃い妹とショッピングセンターに買い物にいくとは聞いていたが部活があった為、後ろ髪を惹かれる思いで家族を見送るつもりだった。しかし沙月はその日、ものすごく嫌な予感がした為、両親達に行くのをやめるように伝えたが、妹に自分がいけないからってそういうのはよくないよ、と言われてしまい、まぁ気の所為かと自分に言い聞かせ、渋々引き下がった。



そしてあの災害が起きた。授業中だった、沙月自身も災害時に学校の塀に潰されて、身動きがとれなくなっていた所を救助され病院に運ばれて治療を受けていた。


病院で意識が戻った時には夜になっており、その際に家族が行ったショッピングセンターが倒壊したことを知った。



捜索活動は続いているそうだが、悲惨な状態で捜索は難航しているそうだった。


自身の怪我のこともあるが、家族の無事を病院のベッドの上から願い続けた。


しかし、その願いは叶うことはなかった。


ショッピングセンターの倒壊から生き残った人はほんの一握りで、ほとんどの人は瓦礫の下敷きになり命を落とした。


両親と妹は帰らぬ人となり、その後も遺体すら戻ってはこなかった。



私は、運がよかった側の人間だったことを病院にいる間に聞かされた。

両親の心配で気が気でなかった私は、気持ちを紛らわせようと学校の事を聞いた。最初は、言葉を濁していた病院の人たちだったが、何度か聞いてる内に言葉を選ぶように答えてくれた。


私の学校は、校舎ごと、大きな地割れに巻き込まれたと聞かされた。

それが本当だと裏付けるように友達に送ったメッセージはすべて返ってくることはなかった。


そして、退院後に行った学校は、大きな穴が空き私が潰された塀周辺以外は、完全に姿を消していた。

授業中だったこともあり、ほとんどの生徒が未だに行方不明だそうだ。

眼の前にした時の光景は、今でもたまに夢に見る。

その地区は現在も復興が進まずそのままになっている。



すでに祖母と祖父は他界しており、付き合いのあった親戚も今回の災害で亡くなってしまっていた。沙月を引き取ることが出来る者はおらず災害のせいで突然、天涯孤独の身の上となってしまった。養護施設も今回の災害で被害を受けた上に引き取る必要のある人間も多く、沙月を引き取る余裕はなかった。


本来であれば中学生の一人暮らしは許されることではなかったが、もうすぐ高校生になることと、幸いにも自宅は、被害を免れ多少の補修工事をするだけで済んだという点もあり特別に認められた。


その後、沙月には親戚筋も含め恐ろしい量の遺産を相続する権利を得た。

しかし、遺産の土地は、ほとんどが災害の影響で使用不可能な状態になっており沙月には管理ができないので、放棄することにした。それでも、かなりの金額が沙月の手元に残った。

しかし、色々思う所もあり、遺産を使う気にならず災害にあった人への支援金でほそぼそと暮らしていた。



あの時、家族をしっかり止めていれば・・・沙月の胸にはその後悔がずっと残っていた。


それからは災害復興に向けて色々とあった訳だが、それを後押ししたのがダンジョン資源達であった。


この災害を引き起こしたダンジョンを毛嫌いしてる人は未だに根強く、ダンジョン封鎖のデモが各国で起きている。



しかしダンジョンの資源は、この絶望的な状況のなかで一筋の希望であった。


ダンジョンから産出された魔石のエネルギーは世界を一変させた。枯渇が囁かれていた化石燃料の代替エネルギーとなりえたからであった。



すぐに魔石のエネルギーの転用方法が全世界に公布され、それを利用した復興支援は恐ろしい速さであった。


創造の前には破壊が付きものとはよく言ったもので、災害により失った物を新しく作るのは、元あるものを作り直すよりも簡単だった。



そこからは世界各国で復興が進み、いまでは3年前の災害が嘘のように復興している場所も多い。


未だに復興前の状況を残す場所もあるが、主要な都市部では、前よりも立派な建物が立っている場所も多い。



この災害により戦争などで争っている余裕がなくなり、世界中から戦争がなくなった事は、素直に喜べない話である。

長くなってしまいそうなので2話に分けます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 2万人って少ないですね。東日本大震災だけでも1万5千人以上なくなっているので、それ以上の災害でさらに全国規模なら100万人でもおかしくはなさそう。
[一言] ダンジョンできてたった3年で、タワーやら支援策やら組織やらエネルギーの解明&利用・転換等々…、いくらなんでもできすぎ。せめて最低10年は必要。せいぜいできて発生事故からの復興ぐらいだろう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ