カナタの想い
やっと追いつきましたので色々削除して上げ直しております。
変更が色々ありますので昔読んだ方はあれ?となるかもしれませんがよろしくおねがいします。
しばらくは定期で毎日更新で投稿していきます。
部屋で日和の部屋から持ち込んだパソコンで情報を確認していると訪問があった。
ドアを開けると珍しい来客だった。
「なんだカナタか。どうした?」
「いや…そのちょっといいか?」
「ああ、別に構わないぞ」
何やら緊張の面持ちのカナタを部屋に招き入れる。
「それって日和のパソコンか?」
「ああ、ちょっと確認したいことがあってな部屋から持ってきた」
「ふーん…」
カナタは何か緊張しているようで所在無さげにしている。
「どうした?なんかあったか?」
開いていたパソコンを閉じる。
その時突然後ろに衝撃が走る…気付くと後ろから抱きつかれた。
「おい、どうした!」
突然のカナタの行動に困惑する。
「お前はどうすれば自分を大事にする?」
「は?」
何を言ってるんだ。
「お前はこれからも何かあれば自分を犠牲にするつもりだろ?」
「…」
図星を突かれ何も言えなかった。
いや、いつもどおりに軽く答えておけばよかったのかもしれないがカナタはそれでは納得しないと伝わっていた。
「沈黙は肯定と取るぞ」
「俺が犠牲になるのが一番被害が少ないだろ?」
「大損害だってなんでわかんねぇかなぁ…」
「なんでだよ。パーティの役割には俺がいなくなっても何も影響でないだろうが」
「なんでうちらがダンジョンに潜ってるか理解してないのか?」
「そんなの…えっ…あれ?」
よく考えれば俺達がダンジョンに潜ってる理由ってなんだ。
もちろん毎月の納付義務を満たす為でもあるがあんなのはすぐに終わる。
その気になれば1日で達成することも可能だ。
ならなんで潜っている?
「ようやく気付いたか…ソフィアはともかくダンジョンに潜る明確な理由を持ってるやつはもうこのパーティにはいないんだよ」
ミレイは妹の問題が解決してすでに潜り続ける理由はない。カレンもミレイに続いてるだけ…カナタに至ってもそうだ。
吸収された人間を救えるって話になれば別だろうがそこに至っては未確定な上に方法も何もわからない。
3人はあまり気にしてないように思う。
「いや、沙月は強くなる必要があるだろ?」
「どこまで強くするつもりだよ…」
確かに沙月のレベルならそんじょそこらの連中じゃもう相手にもならない。
これ以上強くする必要がないのかもしれない。
「ダンジョンに入るモチベが一番高いのはお前だろ…アキラ」
それを言われて初めて気付いた。
俺がダンジョン探索を望んでいたことに…
「沙月を理由にしてるけど一番ダンジョンを楽しんでるのはお前だよ、自覚しろ」
「…」
思えば強くなるのも階層を探索するのも嫌じゃなかった。
むしろ楽しかった…だけど…そんなこと…
「違う…俺は楽しんじゃいけないんだよ…そんなの許されない…」
「何が誰を許さないんだよ。お前の人生だろ」
「違う…そうじゃない…俺は…俺は…」
「何があってお前を追い詰めてるかしらないがお前に何があったとしても私が全部肯定してやる!何があったか話せとも言わない…だけど私はお前をあ…これはいいや信じてる…だからもう自分を貶めるのはやめろ!それは私も貶める行為だ」
身長が近いせいかカナタの声が耳の近くで聞こえる。
嫌でもあの時のことが思い出される。
俺は…俺は…
母を殺した…
「俺は死んだって構わないんだ…誰かの為になるなら死んだって…だから…」
誰かの為に死ぬのは怖くない。俺の死が誰かを救うというのならそれで良い。
自分で命を絶つつもりはない。それは助けてくれた母への冒涜だから…
気付くと涙が溢れていた。
背中にいたカナタに前を向かされ抱きしめられる。
「お前がどんなに否定してもお前は私…私達には必要だ。だからもっと自分を大事にしろ」
「黙れよ!どんなに言われたって俺は…俺は…」
カナタを突き放す幸いにも後ろはベッドだ怪我はしない。
そう思ったが突き飛ばされたカナタが俺の腕を掴む。
引き寄せられるように2人でベッドに倒れ込む。
手で抑えることができたのだが、カナタに覆い被さるような態勢になってしまう。
「へぇ…お前でもそんな顔するんだな…」
俺の顔をじっと見つめるカナタ。
何度も忘れようとした…だけど一度フラッシュバックしてしまった記憶は俺の感情を揺さぶる。
それが涙として俺の身体から溢れる。
「お姉さんの胸貸してやるから好きなだけ泣きな」
そのまま抱きしめられる。
声を出して泣くことはなかったがひたすら涙が溢れた。
こんなに感情を揺さぶられるとは思わなかった。
頭を撫でられる感覚に懐かしさを感じながら落ち着くまでカナタの胸を借りることになった。
少し時間が経ち…
「もう大丈夫だ…」
「ほんとか?まだ貸しててもいいんだぞ」
「いや大分落ち着いた…悪かったな重かっただろ…」
そういって身体を起こす。
「別に重くなんかないぞ……なんなら心地…よか…」
後半は消え入りそうな声だったので聞こえなかったが情けないところを見せてしまった。
カナタも身体をおこしベッドに2人で腰掛ける態勢になる。
切り替えねば…
「みんなに話しておいた方がいいかもなぁ俺にあったこと…」
「別に話したくなければ話さなくてもいいんだぞ」
「墓まで持ってくつもりだったんだけどな…こういうのって隠した状態のままだと、後で敵に利用されたりしそうでな 知ってる人は知ってる事実だし」
「そんな重い話かよ…まぁお前の様子からしてヤバイ話なんだろうけどよ」
「下手に脅しの道具にされるよりは話して置いた方がみんなにも迷惑かからないと思ってな」
「そんなやばい内容なのかよ」
「かなりヤバイ話だぞ…闇を見せてやるわ…」
「まじかよ…とりあえずみんな呼ぶか?」
「そうだな下に集まってもらうか」
とそんな話をしているとドアが開く。
あっ鍵閉めてなかった。
家のなかだから鍵を閉める習慣がないんだよなぁ
「あ、開いた」
「何してるんですか!!」
入ってきたのはミレイと沙月だった。
いや何もしてないが…と思ったが腕には妙な感覚が…
「別に何もしてないが?」
そういって俺に胸を押し付けてくるカナタ。
「ちょっお前さっきは離れてただろ!?」
「さっきは?」
圧の強い声が沙月から出ていた。
そんな声出す子じゃなかったでしょ!?
「違うんだって別に何も!」
浮気が見つかった時のようだが別にやましいことはしていない。
「そうそうちょっと胸貸しただけだし?」
「 あ゛ あ゛ん?」
怖い怖い怖い…
ミレイさんどこから出したらそんな声でるんすか…
「カナタちょっとこっちにきなさい…」
ミレイがさっと入ってカナタを連れて行った。
「ひぇ」
という声を上げて俺に助けを求めるような顔をしてたが
そのまま無慈悲に連れて行かれた。
沙月とミレイは2人で一人を連行して退散していった。
何か用があったのでは?
一人取り残された俺は呆然としていたがふと我に帰りすっきりしようと思いシャワーを浴びる。
出て身体を拭いているとまたもや扉が開く。
あっ締めてねぇ。
「あのぉみんな集まったので呼びに来ました…」
扉を開けたのは沙月だった。
「あっ!?」
「えっ!?」
互いにお見合い状態になる。
「ごめんなさい!あっえっとゆっくり来てもらえれば…」
そういって扉を閉めて出ていってしまった。
「なるほど突然見られると声って出なくなるもんなんだな男でも…」
そういって身支度を整える。
どうやらみんなを集めてくれたみたいなので全員に話をしようと思う。




