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現代日本でダンジョン生活!ハズレスキルで無双生活  作者: 色蓮
第6章 元凶

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ソフィアの苦悩【ソフィア視点】

 私は、アメリカのニューヨークで生まれ育った。


両親は弁護士、私自身も将来は弁護士になるつもりで小さい頃から勉学に励んでいた。



勉強は嫌いじゃなかったし、尊敬する両親の期待に応える為に必死に努力した。


努力の結果は成績として現れ同い年の子の中では飛び抜けて優秀だったと思っていた。



しかし、そんな優秀な成績でもどうにもならない事があった。


『暴力』である。



私が13歳になったばかりの頃、学校の帰り道に誘拐された。


犯人は父に恨みを持つ人間だったと後で分かった。



複数人の男たちに囲まれ、車に押し込まれた。


銃で脅されて怯える私に男たちは下卑た表情を浮かべていた。


自分よりも圧倒的な力を持つ大人の男に囲まれ私は恐怖のあまりその場で気を失った。



目を覚ますと私はどこかの倉庫の柱に身体を縛られていた。


手足も縛られ、身動きすることもできない状況に恐怖で震えた。


「やっと目を覚ましたか、お嬢さんには刺激が強すぎたか?」


そういって寄ってくる痩せ型の男は私の電話機を耳に当てた。


どこかに電話をかけているようで呼び出し音が鳴っている。


そして電話に出たのは、父だった。


「ん?どうした?ソフィア?」


「パパ!私、男たちに攫われて!助けて!」


その声に安心したこともあってか必死に助けを求めた。


「なに!?おい…」


会話の途中で電話機は離されそのまま男が電話で喋りだした。


「やぁやぁ話はわかりましたよね?こちらの要求をお伝えします」


そういって男は違う部屋へと行ってしまった。


私はどうして攫われたのかこの後どうなってしまうのか恐怖に震えるしかなかった。


見張りには私を攫った大柄の男が二人、こちらをじっと睨んでいた。


その姿に私は声をあげることすら出来なかった。


「交渉は纏まった、さて後はこの場を離れるぞ」


「うっす」


話しが纏まったそうで私はこの後どうなるのか不安に思っていたのだが予想外にも男達は私を置いてどこかに行ってしまった。


放置された私は途方にくれる。


身体を縛られ身動きもとれず倉庫の明かりは消されてしまった。


完全な暗闇な上に倉庫内は完全な静寂に包まれていた。


今の状況が飲み込めず私は、しばらく放心状態だった。


しかし、状況が飲み込めてくるとこのままではいけないと外に聞こえるように声を上げた。


何度も何度も声を上げ助けを求める。


しかし、その声が誰かに届くことはなかった。


声も枯れ、体力も尽き、心身共に困憊した私が救出されたのはそれから3日経ってからだった。


このまま死ぬのかもという恐怖と味わった事の無い絶望感に打ちひしがれたまま意識を失った私が目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。


意識が戻った時に側には両親がついていてくれた。


何かを言っているようだったがまだはっきり意識が戻らない私は理解出来なかった。


結局犯人の目的は父が顧問弁護士をしていた会社の解雇された従業員達だった。


私の命を取るつもりは最初から無く、父から金を貰った段階で私の居場所を教えて自分達は高跳びするつもりだったそうだ。

この社員達は元々素行が悪く、会社の物品の横領や窃盗を行っており反社会的組織との繋がりも発覚し会社の評判を配慮して自主退職を促したのだがそれがよくなかったのかもしれない。


しっかり責任を取らせておけばこんな事をしでかさなかったかもしれないが今となってはどうしようもない。

退職勧告を行った時に同席していた父に逆恨みして犯行に及んだようだ。


しかし、犯人達の目論見は外れ、私の居場所を言う前に全員が死亡してしまった。


それは完全に不幸な事故で身代金の受け渡しに行く前に運転を誤り崖下に転落してしまった。


最初は両親も一緒に私も死亡したと思い悲しみに暮れたが女性の遺体は存在しなかった。


そこから私を探すのに2日かかってしまったそうだ。


それからのワタシは、何かが抜け落ちてしまったように何もする気が起きず、ずっと窓の外を眺める日々が続いた。


心因性の問題と医者は言っていた。


人間は暗闇に長時間放置されると精神にかなりのダメージが入る。


状況も相まってワタシの心は壊れてしまった。


それから3年間ワタシは何もすることができず、色々な病院を渡り歩いた。

正確には、自宅から出ることが出来ず往診という形で色々な病院から来ていただいてたのだが・・・。


そんなワタシを両親はずっと見捨てずに支えてくれた。


そんな両親にワタシはずっと申し訳ない気持ちでいっぱいだったがどうしても心が動かなかった。


そんなワタシは結局3年間家を出ることが出来なかった。

しかし、そんなワタシに両親は何一つ文句を言わなかった。

ワタシは部屋に閉じこもりずっと本を読んでいた。


ネットはふとした瞬間に触れる外の情報が恐怖で使うことが出来なかった。

どこに誘拐されたワタシのことが書かれているか不安で仕方なかったのだ。

ワタシの事件は、メディアに大きく取り上げられた。


元々知名度の高い弁護士だったこともあるが、犯人全員が事故死という結末にネットでは面白おかしく取り上げられているそうだ。


誘拐されたワタシについてもどう書かれているか恐怖で眠れない日々は続いた。


その点、本は一切外の情報が入ってこない…だからこそワタシは本に没頭していった。


特にファンタジー系の小説を好んで読んだ。


現実とは違う世界に思いを馳せ、現実から目を背ける毎日を送っていた。

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