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エイリアン チャンネル Q  作者: 百乃梨玖
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パート3 「謎の未確認動物(UMA)探検隊」

パート3 「謎の未確認動物(UMA)探検隊」


TVスタジオ

これから番組が始まる。ADアシスタントディレクターが指でカウントを始める。

AD「本番行きますー、はい5、4、3、(2)、(1)、(キュー)」

(2)と(1)のカウントは指だけの身振り、(キュー)は指で“Q”の文字(宇宙人のADなので指自体が文字の形)になっていた。

TVモニタに番組タイトルが大きく現れる

『エイリアン チャンネル Q』

そしてオープニングが流れる。

次にTVカメラはビーナス星人MCのアリサにズームする。

アリサ「はぁーい、日曜の夜いかがお過ごしですかー、宇宙のアイドル アリサがみんなにいい事教えちゃいまーーす」

モニカ「アリサちゃん、今日も飛ばしてますねー(苦笑)」

モニカはこの番組のアシスタントの女の子である。アリサが結構のりが軽いので脱線しないように進行してくれている。

アリサ「はーい、元気だけが取り柄です、えへっ」

アリサ「それじゃ、さっそく今日のコメンテーターを紹介しちゃいます!」

アリサ「宇宙コミュニケーション学園講師のX星人ゼフィロさん」

カメラが紹介された方を向く。軽く会釈をするゼフィロ。

アリサ「SNSジャーナリストのY星人ヘンリーさん」

カメラが紹介された方を向く。軽く会釈をするヘンリー。

アリサ「宇宙生物専門家Z星人ワイルドさん」

カメラが紹介された方を向く。軽く会釈をするワイルド。

アリサ「お三方、本日もよろしくお願い致しまーーす」

アリサ「早速今日のテーマですが、じゃじゃん『SNS時代の地球人との付き合い方』です、もうこの番組では恒例になってますが地球人と宇宙人が遭遇したケースを取り上げて、皆さんにはそのようなことがないように気をつけてもらうってコーナーです」

とタイトルがモニターに出る。

アリサ「でも今日はなんだか、堅そうなタイトルですね(笑)」

モニカ「そうなんですよ、たまにはアカデミックな話題も取り上げるとスタッフが張り切っているんですよ(苦笑)」

アリサ「アリサもスマートフォンで友達にメッセージを送ってますよ、あれ楽しいですね」

モニカ「写真とかはアップしないんですか?」

アリサ「もちろんやってますよー、アリサの写真には『いいね』がいっぱい付くんですよ」

と自己満足に浸るアリサ。

モニカ「はいはい、アリサさんは自分がすごく好きですからねー。では気を取り直して、じゃーそろそろ本題に入りましょうか」

アリサ「モニカさん、なんかひどい事言ってませんかー、プンプン」

気を取り直してから、いつものにこにこぶりっ子に戻って、

アリサ「じゃ宇宙人が地球人に目撃されてSNSに投稿されちゃった事件です、モニカさん、概要説明よろしく!です」

モニカ「昔からUFОやエイリアンの目撃談はありますが、それほどはっきりなものは残ってないのです。昔は人の目だけでの記憶やスケッチだけでしたので、精度も全然低かったわけですね。ところが現代ではデジカメやスマホといった情報端末が普及していますので、誰もがすぐに記録し情報を発信できる環境が整っています。 ですので、目撃談が格段に増加しています」

アリサ「地球のTVでも、スクープ特番などで放送されていますものね」

モニカ「それもかなりリアルな画が撮れてますよね、今はSNSに投稿されちゃいますと、一瞬で拡散されちゃいますので、昔みたいな隠蔽工作ができづらくなっているのですねー」

アリサ「これに対してヘンリーさん、何か補足ありますか?」

ヘンリー「はい、SNSジャーナリストのヘンリーです。普及を迎えている地球のSNS事情について宇宙人との関係を考察しております。今モニカさんの言ったとおりSNSが爆発的に普及している昨今、不慮のコンタクトの証拠を残されるというのはある意味仕方がないこととなっていますね。極力地球人に会わないことが必要ではありますが、我々も活動しているわけですから、100%ということはなかなか難しいのが実情です」

(再現シーンが同時にモニター流れる)

モニカ「それではその事例ですが、南米のあるジャングルでD星人が地上に降りて植生調査をしていたのですが、原住民らしき一団が近づいてきたのです。身を潜めてやり過ごそうとしていたのですが、後ろから近づく別の集団に気づくのが遅れてしまったのです。気づいた時はフラッシュの光が見えたのです」

(再現シーン終わり)

アリサ「でも原住民の人だったんでしょ? 写真とか撮られるんですか、 ヘンリーさん、その事情はおわかりですか」

ヘンリー「アリサさん、今時原住民でもスマホくらい持ってますよ。地球人全員が持っていると思った方がいいですよ。未開の原住民という先入観が油断を産んだのじゃないですかね」

アリサ「モニカさん、結局どうなったのですか?」

モニカ「ここからが重要なことなのですが、結果的にはバレずに済んだのですね」

アリサ「え?、でもばっちり写されて、拡散されたんですよね」

モニカ「では、これが実際SNSに投稿された写真です」

と、モニターに映像が出る。そこにはD星人とは似ても似つかない、怪獣っぽい生き物が写っていた。

アリサ「そっか、このD星人には変身能力があったのですね!」

モニカ「そうじゃなんですね(笑)」

アリサ「あー、嫌な感じーー。ワイルドさん、助けてください」

ワイルド「はい、宇宙生物専門のワイルドです。この生物はチュパカブラですね(笑)」

アリサ「グロテスクな生き物ですよね、どこかの星の生物ですか?」

ワイルド「いやいや、それだとカムフラージュにならないでしょ。モデルはコヨーテが病気になって毛が抜けた姿らしいです」

アリサ「らしい? ワイルドさん専門ですよね?」

ワイルド「これ実際の生き物じゃないですから」

アリサ「??」

モニカ「じゃあ、これ以上やるとアリサさんが爆発するので、ネタバラシをしますね(笑)」

モニカ「これはこのようなピンチの時に自分をカムフラージュする着ぐるみなんです、フラッシュの光やシャッター音に反応して自動的に瞬時に体を覆ってしまうものです」

アリサ「ちょっと疑問です!」

と手を挙げる。

アリサ「カムフラージュはわかったんですが、何故こんなグロテスクなスタイルにしたんでしょう。かわいい鹿さんとかクマさんにすれば地球に紛れるんじゃないですか?」

ワイルド「私から説明しますね、アリサさんが疑問に思うのも無理ないんですが、なんでここにいないはずの鹿やクマがいるのだとなって逆に怪しまれ易いのですね。だからあえてUMA(未確認生物)にしておけば、怖がって逃げて行ってくれますし、汎用性もあるのです」

アリサ「逆に目立ちませんか?」

ワイルド「確かにそっち方面では騒ぎになるかもしれませんが、『宇宙人じゃないの?』という考えからは遠ざけることができるのですね」

アリサ「ふーん、そうなんですねー」

モニカ「この着ぐるみですが、特長がいくつかあって、まずすごくコンパクトできるので携帯が簡単、自動で人の気配やカメラのフラッシュを感知して隠してくれる、もちろん手動もできます。何より信頼のESО製です」

アリサ「わーそうなんですねー・・って宣伝じゃないかーーい(笑)」

一人ツッコミするアリサ。

モニカ「状況に応じて何パターンも用意してりますので、お好みをお選び頂けます、しかも廉価で」

アリサ「TVショッピングみたいになってきましたが(ハハハ)、他に何があるんですか?」

モニカ「今回事例ででてきた汎用型『チュパカブラ』、寒冷地用には『イエティ』、あと変わったところでは『小さなおじさん』もご用意してます」

アリサ「“小さなおじさん”って?」

モニカ「これは特に日本の若い女子用に開発されたもので、恐怖心も出ないので非常に受けがいいんですよ、最近のヒット商品です」

アリサ「もしかして『かわいいー』って言われている隙に逃げるとか(笑)」

モニカ「そーなんですよ」

アリサ「あはは(苦笑)」

ワイルド「あまり増やすとUMAだらけになってしまいますので、ESОではこの3種類を推奨してますね」

モニカ「じゃぁー、そろそろまとめに入りますか?アリサさん、いいですか」

真面目にまとめに入るアリサ。

アリサ「突然地球人に出くわしたら焦りますよね、ESОではいざというときのために緊急変身UMAキットをご用意しておりますので、ぜひご活用ください」

アリサ「デカケルトキハ、ワスレズニ。忘れたらお仕置きよ」

とお決まりのポースをとる。エンディングテーマが流れ出した。

アリサ「はい。今日もお時間となりました。お付き合い頂きありがとうございましたー」

ADが終わりのキューを出す。カメラが引きの画面になって、スタジオ全体を写す。出演者が手を振る。

AD「はい、お疲れ様でしたー」

メインモニターが消され、出演者たちが立ち上がって出ていく。

ゼフィロがアリサに近づき

ワイルド「アリサちゃん、今日も一回も振られなかったんだけど。せっかく違う肩書で来てたのにー」

と悲しそうな顔になっているゼフィロ。

アリサ「あっ、そうだっけ、ごめん忘れてました。『絡みづらいのよね』(横を向いてボソっと)」

ゼフィロ「なんか言った?」

アリサ「いえー、何も。今度はちゃんと振るから、許して!」

とぶりっ子でごめんのポーズをする。

ゼフィロ「じゃ~許す(ニコッ)、それじゃ、今日こそご飯行こ!」

アリサ「あーごめんなさい、田舎からお母さん出てきているの、家で待ってるから帰らないと。ほんとごめんなさい」

と慌てている振りして誘いを断る。

ゼフィロ「アリサちゃーん、そんなーー」

と泣きそうな顔をするゼフィロ。

アリサは急いで転送室に向かい、渋谷の事務所に転送された。


渋谷の芸能事務所

いつものように社長室のドアをノックするアリサ

社長「おーアリサちゃん、ちょうどいいところに来ました。お仕事の依頼ですよ」

アリサ「えーどこですか?」

社長「海外のTV局から、レポーターとして出てくれないかって、ご指名がありました」

アリサ「ご指名ですか、うれしー」

社長(ESО審議官)「アリサ、ミッションだからな、浮かれるな!」

急に社長さんの顔が真面目な怖い顔になる。

アリサ「あービックリした。今までにないぐらい突然過ぎますよー」

社長(ESО審議官)「いや、いつもと違う海外に行けるって、浮かれているんじゃないかと」

アリサ「ちゃんとプロ魂ありますから(きっぱり)」

社長(ESО審議官)「今回は内モンゴルの秘境探検のTVレポーターとして潜入してもらう」

アリサ「どうして内モンゴルなんですか?」

社長(ESО審議官)「今SNSで飛び交っているUMA情報があるのだけど」

アリサ「あ、今日ON AIRしましたよ、あれってESОのキャラなんですね」

社長(ESО審議官)「知っていると思うが、一部のUMAはエイリアン情報の撹乱のために我々が広めたキャラなのだが、今回のキャラについては我々が関知していないやつなのだ」

アリサ「え、本物のUMA?」

社長(ESО審議官)「多分、そうじゃない! 今回のはちょっと臭いのだ、ここ一ヶ月で急に話題に上るようになってるし、場所も限定されている」

アリサ「そこが、内モンゴルなんですね」

社長(ESО審議官)「我々のスーパー量子コンピュータでSNS情報等のビックデータ解析を行ったところ、UFОの目撃情報と今回のUMAの目撃情報の相関指数が80%を超えている。つまりばっちり関係があると言うことだ」

アリサ「ESОの知らないところでエイリアンが何か活動していると言うことですね」

社長(ESО審議官)「そうだ、そこで君にTVレポーターとして潜入してもらい、このエイリアンの目的を探るのだ」

アリサ「アイアイサー、ところで今回サポートは? 子供星人はもういいですよ」

社長(ESО審議官)「今回も付けてある。TVクルーのアシスタントとして潜り込ませてある。とてもかわいい子だ」

アリサ「えー、かわいいのはアリサだけで十分なのに・・」

とふくれっ面をする。

社長(ESО審議官)「きっと役に立つと思うので、可愛がってくれ」

アリサ「えー、了解(ちょっと不満そう)」


内モンゴルの山地

ある国の某TV局のクルー達と目的の山岳地帯の麓に来ているアリサ達。

TVディレクター「向こうの山がUMAが頻繁に目撃されていると言われているところだ。アリサちゃん早速レポート頼むよー」

アシスタント アミーがすっと寄ってきて髪の毛を整え始めた。

アミー「アリサさん、よろしくお願いいたします。ボスに言われて来ました」

と小声で話しかける。

アリサ「あ、あなたね、まあまあ可愛いじゃないの、でも私には負けるけどね、あ、カメラマンさん、ポジションはここでいいですか?」

カメラのピントを合わせながら、

カメラマン「もうちょっと左かな」

指示に合わせて動くアリサ。

そしてレポートを開始する。

アリサ「えー今回は最近SNSで投稿回数が急上昇中の内モンゴルにやってきました。白亜紀後期に生息していたと言われている恐竜のカエナグナサシアらしいものが目撃されているのです」

TVディレクター「はい、カット!ここでカエナグナサシアの映像がインサートされます」

TVディレクター「じゃ移動して、目撃された場所の近くへ行ってみようか」

と岩場をスタッフ全員で登っていく。

岩場の傾斜はそれほどきつくなく女性でもなんとか登れるかんじだ。でもアリサとアミーに何ともない。すいすいと登っていく。逆にスタッフの男性陣が遅れていく。

TVディレクター「アリサちゃん、アニーちゃん。なんでそんな体力あるの!ちょっと、休憩しようよ」

と、玉のような汗を噴き出しているディレクターの足はもうフラフラ状態だ。

アリサ「えー、アイドルのアリサは日ごろからちゃんとトレーニングしてるんですよ、こう見えても」

と涼しい顔で返事する。

このままではディレクター達が倒れそうなので、ちょっと広場になっているところで休憩をすることなった。

ディレクターがやれやれと岩に腰を下ろしてペットボトルの水を飲もうとしたその時、何の前触れもなく突然カエナグナサシアUMAが襲ってきた。

3mぐらいの大きさでダチョウを大きくしたような姿。大きく開けて口からは鋭い歯が見えている。何よりも『ギャー、ギャー』と大きな声にスタッフはビビってしまった。

突然だったので、慌てふためくスタッフ達。やっとのことでスタート地点に逃げ帰った。

TVディレクター「ハーハー、やばい、ここは近づかないほうがいい、さっさと撤収しよう」

息を切らしながら、

TVディレクター「今回、本当は行きたくなかったんだよ、どこかのクライアントがたんまりスポンサー料出すからって、突然行ってこいと言われた案件だから」

と完全にビビっている。

古生物学者「何言っているのですか、絶滅したはずのカエナグナサシアが生きているかもしれないのですよ、ちゃんと調べてみるべきですよ」

TVディレクター「とは言ってもねー、命がかかっているんですよ。さっき画は撮れている?」

カメラマン「いや、崖を登っている最中で、回していませんでした、すいません」

TVディレクター「えーそうなの」

がっかりするディレクター。

アリサ「ディレクターさん、もしここで我々が証拠を掴んだら、世紀の発見ですよ、出世間違い無しですよ。ね、アミーちゃん」

アミー「ええ、そうですよ。ね~ね~行きましょうよー」

と甘い声を出す。

古生物学者「女の子ですら行くって言ってるのですから、ここは腹をくくるしかないですよ」

TVディレクター「い、行くよ、行けばいいんでしょ。わかりましたよ」

アリサ「地図を見ててちょっとわかったのですが、ちょっと遠回りですが別ルートがあるみたいですね、二手に別れて行きませんか。そしたら確実に画は取れるんじゃないでしょうか」

TVディレクター「どう別れる?」

アリサ「私とアミーちゃんがさっきの道を行きます、カメラマンさん達が別角度からカメラを回してくれれば画的にもまとまるんじゃないですか。『美女を襲うUMA』とかね、へへへ」

TVディレクター「緊張感ないねー、アミーちゃんもいいの?怖くないの?」

アミー「はい、大丈夫です。こう見えても鍛えてますので」

アリサ「カメラのスタンバイができたら、無線で連絡してください、その合図でさっきの所に飛び出します」

TVディレクター「よ、よし、そ、それでいこう」

・・・・

二手に別れて先程のUMA出現ポイントに向かうスタッフ達。

TVディレクター「よし、準備いいぞ」

と無線で連絡する。

アリサ「はい、アリサ、行きま~~す」

と無線を受ける。

アリサ「アミーちゃんは打ち合わせ通り、サポートお願いね」

アミー「はい、了解です」

アリサは先程の場所に着くと開けたところに飛び出した。アミーはどこから取り出したのか、他のスタッフからは見えない岩陰で銃を構えている。

アリサ「我々は只今頻繁にUMA目撃情報がある場所に来ております、・・・・」

おそろ、おそろ、レポートをするアリサ。するとまた突然に先ほどと同じUMAがどこからともなく現れてアリサを襲い始めた。

TVディレクター「お、来たぞ、カメラは回ってるか?」

カメラマン「今度はバッチリです」

TVディレクター「アリサちゃん、死ぬなよーーー」

アリサは「きゃー、きゃー」

言いながら、UMAから逃げていたが、目は笑っていた。

アリサ『どうせ、エイリアンがUMAスーツを来て脅しているだけだから。適当に逃げていれば』

と思いながら、アミーの近くにUMAをおびき出していた。

合図を出すアリサ、それと同時にアミーが引き金を引く。銃身からは超小型発信機が飛び出し、UMAに張り付いた。ОKと合図をだすアミー。それを見たアリサは特別大きな悲鳴を出してスピードを上げて逃げ出し、他のスタッフとは反対の茂みに逃げ込んだ。対象を見失ったUMA辺りをキョロキョロ見渡し追うのをやめ、どこかに行ってしまった。

アリサ「アミーちゃん、トレーサー作動ОK―?」

二人だけの通信装置で会話をする。

アミー「はい、バッチリです」

アリサ「私たちははぐれた振りして、UMAを追うわよ」

トレーサーの信号を頼りにUMAを追い始めた。

残された他のスタッフ達は岩陰から恐る恐る出てきて、当たりを見渡す。

TVディレクター「アリサちゃん達、どこ行っちゃったの? え、え、食われてないよね」

とおろおろするばかりであった。


UMAを追っていたアリサ達は大きな崖に行き当たった。

アミー「信号は崖を突き抜けています!」

アリサ「つまり、この崖の中に基地があるってことね、何処かに入り口を開けるスイッチが有るはず」

岩をくまなく探す二人。

しばらくしてアミーが、

アミー「あ、これじゃないですか?」

と指差す。

アリサ「押してみて」

アミーがそれを押すと崖の一部がスライドした。

アリサ「中に入るわよ」

中に入ると照明で照らされた広い空間になっている。物陰に隠れながら中を覗くとちょうど先程のUMAが立ち止まっていた。すると皮を脱ぐように中から緑の顔をした人型エイリアンが出てきた。

エイリアンA「暑い、暑い、あいつら何度来る気だ、最初に十分驚かしたはずなのに」

と、ぶつぶつ文句を言っている。

エイリアンA「でもこれで懲りただろう、相当脅かしたからな」

と、UMAスーツを脱ぎ終えた瞬間、アリサが飛び出した。

アリサ「やっぱり、エイリアンが化けていたのね、手を上げて!動くと頭が吹っ飛ぶわよ」

と、電子銃を構えて言った。

エイリアンA「なんだ、お前は!」

アリサに対して振り向いた時、背後に回ったアミーが注射装置を首に押し付けた。脱力するエイリアン。

アミー「自白剤、投与完了」

アリサ「さすが、仕事が早いわね、ボスが直々送り込んだだけはあるわ」

二人して倒れたエイリアンを物陰に運んだ。そして虚ろになっているところ尋問する。

アリサ「お前たちは何の目的でここにいるの?」

エイリアンA「アクセラニウムの採掘で」

アリサ「アクセラニウム? それは何?」

エイリアンA「UFОのエンジンに使うと飛躍的に性能を向上させる添加剤の原料となる」

アミー「レアアース鉱床に微量に含まれている元素ですね、地球では昔レアアースは非常に高値で取引されていましたが、今では代替技術が開発され、二束三文だったはず、ここはその鉱山跡のようですね」

アリサ「こいつらそれを狙って、近づく者に対してカムフラージュの為にUMAで脅してしてたのね」

アリサ「ここには何人ぐらいの仲間がいるの?」

エイリアンA「5名ぐらい、あとは採掘用ロボットだけだ」

アリサ「ESО本部に連絡して。逃げられると厄介だから、上で網を張ってもらいましょう」

アミー「了解!」

アリサ「私たちは準備ができたら、一暴れよ」

アミー「ESО本部、こちら内モンゴル潜入隊。エイリアンのレアアース採掘現場を発見。これから掃討作戦を実施しますので、上空監視よろしくお願いします」

ESО本部(音声のみ)『了解、あと十分で対象座標に監視UFОを配置する、それまで待機よろしく』

アミー「了解!」

アリサ「よし、準備を急ぐわよ」

アリサとアミーはこれまで着ていたTVクルーの洋服を脱ぎ捨てると、体にピッタリのレオタード風戦闘服姿となった。


ESО本部(音声のみ)『UFО配置完了、ミッション開始ОK!』

アリサ「GO!」

うなずき合って飛び出す二人。奇襲を受けた採掘現場はパニック状態となった。

次々とエイリアンたちをなぎ倒していく、アリサとアミー。

エイリアンたちはこのようなことを想定していなかったので、武器も持っておらず、アリサ達の攻撃に為す術もなく、ものの十分ほどで簡単に制圧された。

アリサ「本部、ミッション完了! 基地の天井を開けるから、UFОをおろして」

ESО本部(音声のみ)『了解』

岩場にカムフラージュした天井が開くと小型UFОが降りてきた。

アリサ「こいつらをお願い」

と捕まえたエイリアンたちを引き渡す。

アリサ「私たちは一旦TVクルーたちの所に戻りましょう」


アリサ「ディレクターさん、こっちでーす」

と手を振りながらTVクルー達の所に戻る二人。

アリサ「あーーん、とっても怖かったです、ひっく、ひっく」

と泣きながら。

それをちょっと引いた感じに見ているアミー。

アミー『え、何、この人の変わりよう・・・さっき戦ってた人と同じとは思えない!』

TVディレクター「アリサちゃん、生きていたのね。怪我してない?」

アリサ「はい、ちょっと転んで擦りむいただけです」

と、肘、膝のかすり傷をみせる。

アミー『あれって、エイリアンをぶん殴ってついた傷じゃない、よく言うわ(苦笑)』

TVディレクター「よかった、よかった」

と胸をなでおろす。

アリサ「画はちゃんと撮れたのですか?」

カメラマン「ああ、バッチリだよ。アリサちゃんがUMAをひきつけてくれたおかげで」

とカメラを見せる。

アリサ「あー、よかったーー」

とカメラマンに抱きつくアリサ。でもわからないようにカメラに小型の装置を近づけていたのをアミーは見逃さなかった。

アミー『さすがですねー、やる時はちゃんとやりますね』

と心の中でつぶやく。

TVディレクター「よし、これでスクープ ゲット! 大々的に放送できるぞ、俺も出世間違い無し!」

と喜色満面だった。アリサとアミーは顔を見合わせながらぺろっと舌を出していた。


アリサの芸能事務所

社長(ESО審議官)「アリサくん、今回はよくやった! S星人のアクセラニウム採掘現場を摘発できた。あれはUFОのエンジンの性能を飛躍的に向上できる物質で、裏社会では非常に高価で取引されていたらしい」

アリサ「それで、密かに採掘していたんですね」

社長(ESО審議官)「それで近づく者をUMAに化けて追い払っていたと言う訳だ」

アリサ「それがSNSに投稿され、却って目立っちゃった訳ですね」

社長(ESО審議官)「そうだな、我々も気をつけないといけないな。頻繁に同じUMAを出しているといつかはバレる危険性があるな」

アリサ「じゃこれからはアリサをモデルにした魔女キャラなんてどうでしょう? あ、でも可愛すぎて逆に目立っちゃいますね、てへへへ」

社長(ESО審議官)「アリサくん、やっぱり自己愛強いね・・・」

と呆れ顔であった。


地球のTV局の編成室

局長「おいディレクター、スクープを撮ってきたんじゃなかったのかね?」

TVディレクター「い、いや、おかしいなぁー。バッチリ撮れていたはずなんですが・・・」

現地で撮った映像をモニターで見ながら頭を抱えるディレクター。

TVディレクター「確かにこの目で見ましたよ、UMAが我々を襲ってきて・・・、なっアミーちゃん」

局長「お前たちは見たかもしれないが、映像がないと説得力がないんだよ!」

と映像の前で怒っている局長。

映像はアリサが冒頭で風景をレポートしている所以外はノイズが入って、何が写っているのか判別できない状態だった。また、最後に締めくくりにもアリサのレポートが入っているが、何故かこれもよく写っている。

これを横で見ていたアミー、

アミー『ちゃんとアリサさんが単独で写っているところは残して、肝心のUMAのところは消してあるわ、アリサさんってどんだけ自分をアピールできる人なの(苦笑)』

とアリサの自己アピールの強さに呆れ果てているアニーであった。

(エピソード完)


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