ガルガスの謎
店主は銀髪にオッドアイの女性の呼びかけにやって来る。名は確か、ミラ・ジュンだった。
「はい、ミラ・ジュン様は、先程の部屋で、アックス様は隣の部屋でよろしいでしょうか」
店主は先程の様子を見て、その方がいいと判断する。
「はい、お願いします」
ミラ・ジュンとアックスは部屋に移動を始めようとすると、マイクとエイガが再び近づいて来た。
「ミラ・ジュン、キミにもう一度、聞きたい、キミはアイオリス様のご息女じゃあないのか」
「ワタシタチの父は魔法医よ。勇者様とは、程遠い職業よ」
彼女はそれだけ言って、部屋へ急ぐ。
《もう、しつこい》
ジュンは、部屋に入るなり、マイク達に腹を立てた。
(しかたがないでしょう、姉さん、ボクの姿がこうなのだから)
ミラは自分の髪の毛を触る。
《それよりも、あのガルガスのことをどうするか》
(そうよね、『委員会』に報告しないといけないわね)
二人がはなしあっていると、ドアを叩く音がした。
「どなたですか?」
ミラはある期待を込めて訊ねた。
「俺だ。アックスだ」
「あ、アックスさん」
アックスの声を聞いて、ミラの心臓が少し早くなる。
「どうしたのですか」
ミラはなんとか、気持ちを落ち着かせた。
《どうしたのよ。ミラ》
(ちょっとね)
ミラはジュンに笑いかけて、ドアに近づく。
「アックスさん、どうしたのですか?」
「ちょっと、話があるのだが」
アックスが静かに言った。
「話って、なんですか?」
ミラは彼の考えをすぐに理解する。
《ミラ、アックスは》
(多分そうだろうと思うけど)
「キミタチの旅に同行したいのだが」
アックスはドアごしから言う。すると、ミラは慌てて言った。
「アックスさん、それは危険です」
「それは、キミタチの方だろ、ガルガスは、ミラ、キミを狙っているのだろ」
アックスは真剣な声を出す。
「大丈夫です」
ミラは急に大声を出した。
《ミラ、どうしたのよ。急に》
ジュンが心配そうに訊ねる。
(なんでもない)
ミラがアックスのことを心配していることに気がついたジュンは、カラダのコントロールを強引に奪い、ドアを開けた。
「そこじゃあ、話しができませんから、中にはいりませんか」
《姉さんたら》
ミラは急にカラダのコントロールを奪われて、混乱する。
「あぁ、いいのか、ジュン」
「かまわない、今から、わけを話すから」
ジュンはアックスを部屋に招き入れて、椅子を出して彼に渡して、自分はベッドに座った。
「アックス、僕達の旅に同行することは、あのガルガスとの戦いに巻き込まれるのよ」
ジュンはアックスの説得をする。
「だが、キミタチだって、あの男に狙われているのだろ」
「そんなのは、些細なことよ」
ジュンは笑う、だが、それに対して、アックスは暗い顔をした。
「奴は、ミラを狙っている。ジュン、キミは一人で、ミラを守りきれるのか?」
その言葉を聞いたジュンのココロが揺らぎ始める。
《だめよ。姉さん、これ以上、アックスさんに迷惑をかけるかけにはいかないわ》
(ミラ、どうしたの?)
ジュンにミラの想いが伝わる。彼女はアックスのことが好きになったのだ。だからこそ、この戦いに巻き込むのは避けたいのだ。
《わかったわ、だったら、自分で言いなさい》
ジュンはミラにカラダのコントロールを返す。
「あのアックスさん」
「ミラか、ちょっと、キミに聞きたいことがある」
ミラがアックスに説明を始めようとする前にアックスが声をかけた。
「なにを聞きたいのですか」
ミラは彼がなにを聞きたいのがわかる。
「あのガルガスって何者なのだ。それとダレスとキミタチとの関係は?」
「わかりました。それでは、まずはガルガスのことを、彼は百数十年前の魔導師で、ワタシタチと同じツインズ・ハートです。ある日、自分の兄弟を」
「ちょっと待ってくれ、そのガルガスと兄弟のどちらが,カラダの主だったのだ」
アックスは疑問になったことを訊ねた。
「それは、記録されていません」
そう言って、ミラは悲しい顔をする。
アックスはなんとなくその理由がわかった。
「話しを続けてくれ」
「えぇ」
アックスの言葉にミラは頷く。
「ガルガスはある時、このカラダが自分一人のモノにならないかと考えて、あの魔法を創り出したの」
「そうすると、奴は目的を果たしたのか」
それなら何故だとゆう疑問がアックスに浮かび訊ねた。
「それは、兄弟の確か、イルサにその魔法を弾き返されて、自分が封じられてしまったと聞いているわ」
「なんだって、奴は自分の放った魔法で封印されたのか」
アックスは驚く。
「そうらしいわ」
「そうゆうことなら、奴の行動は頷ける」
アックスは唸った。