ミラの目覚め
ある部屋でミラはベッドの上で身をよじり、ふと、目を開けると、ベッドで寝ていたので、首を捻りながら考えた。
(たしか、ボクはガルガスと戦っていて、なんとか、ガルガスを退散させて?)
《魔力が尽きて、気を失ったのよ》
(あ、姉さん)
《もう、大丈夫そうね》
ジュンが笑いかけた。
(まぁね)
ミラも笑っていると、誰かが、部屋のドアを叩く。
「あの、どなたですか?」
「俺だ。アックスだ」
「あ、アックスさん、ちょっと待って下さい」
ミラは慌てだす。
《ミラ、大丈夫よ。アックスは、こっちがいいって言うまでもない入って来ないよ》
(姉さん、それもそうね)
《そうよ。だから、慌てないで》
その話しをしている間にミラ・ジュンは着替えとベッドの整理を済ませる。
「アックスさん、お待たせいたしました」
ミラ・ジュンが部屋から出ると、そこには彼が待っていた。
「あ、アックスさん、ありがとうございます。それで、あれから、どのくらい時間がたっているのですか」
「そうだな、三時間ちょっとかな」
アックスは懐から懐中時計を取り出して言う。
「どおりで、お腹が減っているわけか」
ミラが苦笑した。
「その様だな」
アックスも頷いて、ふたりは食堂へ向かい、偶然にも、昼間と同じ場所に座る。
《確か、此処って》
(どうしたの、姉さん)
ジュンの言葉に、ミラが訊ねた。
《此処って、昼間と同じ席だよ》
(そうなの、ボクは覚えていないけど)
それはその筈である。結界の中は外の情報が入らない、しかも、ミラは結界を解くのに集中していたのも重なっていたからわからなかった。
「やぁ、目覚めたようだね」
例の魔法使いのマイクとエイガの二人が彼女達に近づいて来る。
「あの、たしか、マイクさんとエイガさん」
「そうですよ。勇者アイオリス様のご息女」
マイクは頭を下げた。
「ワタシタチはアイオリス様の子供じゃあありません、ワタシタチの父は魔法医で勇者とは程遠い職業をしています。それに父は婿養子ですので」
ミラ・ジュンがそう言うと、マイクとエイガは驚く。
「その姿は、アイオリス様にそっくりなのに」
「マイクさん、エイガさん、世の中には似た人間が三人はいると言いますよ」
ミラは苦笑しつつ、ジュンに話しかけた。
(あぁ、毎度のことながらイヤだね)
《そうね、ほとんどの人はあなたの姿を見ると、アイオリス様の息女と、言いたがるのかしら?》
二人がそんな話しをしていることを気がつかずにマイク達はさらに近づく。
「待った。マイクさん、エイガさん」
アックスがマイク達を止めた。
「なんだね、君は」
「俺の名前はアックス・リバートです」
アックスはマイク達がミラ・ジュンに近づかない様に彼女の盾になる。
「俺達は、今から、食事をしますので、邪魔はしないで下さい」
「残念だが、君には用はない」
マイクとエイガはアックスを排除しようと、魔法で彼を眠らせ様とすると、ミラの魔法の方が早く、それを打ち消した。
「何を考えているのですか、そんなのは強い魔力を持つ者の横暴です」
「だが、私達は、キミとゆっくりと話しをしたいのだよ」
「ボクは今すぐに食事をしたいのです」
ミラは二人に断ると、彼らはしぶしぶとそこから離れた。それを見て安心して、ミラはジュンに昼間の食べた物を聞いて、別な物を頼み、カスタードプディングを追加する。
「おい、大丈夫なのか、そんなに食べて」
アックスは驚いた。
「うん、大丈夫よ」
ミラは笑う。
ミラは頼んだ物が来ると、それを食べ終えると、カスタードプディングを食べ始めた。
「おいしい」
《本当なのミラ、ちょっと変わってくれる》
(うん、いいよ)
ミラはジュンの要望どうりにカラダのコントロールを変わる。
「おいしい」
他の人が診ると、『おいしい』を連発した様にしか聞こえなかったが、目の前のいるアックスはわかった。
「今は、ジュンか」
「そうよ。よくわかったね」
ジュン達は驚く、注意深く見ていないと、自分達の違いがわからないと思っているから。
「キミタチは気がついてはいないと思うけど、少し声の櫃が違うよ」
「そうなんだ」
ミラ・ジュンは笑った。
「ともかく、キミタチはキミタチだよ」
ミラ・ジュンとアックスは食事を済ませて、外を見ると陽が落ちていたので、此処に泊まることにする。
「すいません、部屋を取りたいのですけど」
ミラ・ジュンは店主を呼んで頼んだ。




