ミラ、脱出
ガルガスはさらにアックスが持っているバトルアックスを指差して言った。
「それに、アックスとやら、そのバトルアックスはなんだ。只のバトルアックスが、どうやって、ワシの造り出した結界を崩したのだ」
ガルガスはアックスを睨みつけながら慄える。
「それは、このバトルアックスのチカラのおかげさ」
彼は自分のバトルアックスを示した。
「バカな、只のバトルアックスにそんなチカラが有る……、そんな」
ガルガスは、そのバトルアックスを見てあることにきがつく。
そのバトルアックスには六つの魔法石が有り、その中の一つが輝いていたからだ。
「そのバトルアックスは、なんなのだ」
「さぁな、貰い物だから、よくわからないよ」
アックスは静かに笑う。
「ふざけるな、それなら何故、使えるのだ」
ガルガスは顔を怒りで赤くした。
「それは、使い方を習って板からね」
アックスは再び笑う。
「まぁ、よい、お前みたいな奴は、何時でも倒せる」
ガルガスは深呼吸をして、冷静さを取り戻し、ミラ・ジュンの方へ顔を向けた。
「ミラよ。光りの聖魔導師よ。此処でワシに殺されるか、ジュンを永久に封印して、ワシの片腕になるか、好きな方を選べ」
「どちらもお断りするわ」
彼女はガルガスを睨みつける。
「何故だ。ミラよ。お前にとって、ジュンとはなんなのだ」
「双子の姉さん、気がつかなかったら、きっと会えなかった姉さん」
ミラ・ジュンは自分の胸を軽く押さえて笑った。
「愚かな、そやつはきっとお前のカラダを狙っているぞ、だがら、早いうちに封印するのだ」
ガルガスはミラ・ジュンに近づいて来る。
「その考えはあなたの考えであって、ボクの考えではないです」
ミラはガルガスを睨みつけた。
「ワシの考えは絶対に正しい」
ガルガスは声を張り上げる。
「それは、どうですかな」
今まで黙って聞いていたアックスが口を開いた。
「アックスさん、あなたの考えってなになのですか」
ミラが訊ねると、彼は笑う。
「十人十色っていう言葉があるだろ」
「そうですね、人それぞれの考えが在るのだから」
アックスとミラ・ジュンは笑いあった。
その様子をガルガスは怒りに震えながら見る。
「お前ら、ワシのことを忘れていないのか」
「忘れてはいないよ。だから、先輩を早く開放して」
ミラ・ジュンがガルガスを睨みつけると、彼は笑った。
「ミラよ。お前はダレスのことが好きなのだろ、それなら、ワシのことも好きになってくれてもいいのだぞ」
ガルガスは再び、ミラ・ジュンに近づく。
「冗談じゃあない、あなたはあなた、先輩じゃあない、ボクはあなたを好きにならない」
ミラはガルガスを再び睨みつけた。
「ダレスもお前のことが好きみたいだったぞ」
ガルガスはさらに近づいた。彼のその掌にはある魔法が溜まっていた。それをミラ・ジュンに当てるつもりだった。
「ガルガス、それ以上近づかないで」
ミラ・ジュンが彼を睨みつけて、ガルガスから遠ざかる。
「何故だ、ミラ」
「その掌に溜めているその魔法は何なのですか」
「バカな、これに気がついたのか」
ガルガスは驚く、彼はバレない様に誤魔化してあた筈だ。
「そんなことで、ボクを誤魔化せると思っていたの」
「ちくしょう」
ガルガスはその魔法をミラ・ジュンに向けて投げつけるが、彼女はその魔法を自分が作りだし魔法で打ち消す。
「バカな、ワシの魔法を簡単に打ち消すなんて」
ガルガスは驚く、それはあの魔法には自分の全ての魔力を籠めていたものであった。それをミラ・ジュンは少ない時間で作っだ魔法で打ち出したのだ。
「おのれ、ミラよ。次こそ、お前をワシの片腕にしてやる」
ガルガスはそう言って、姿を消す。
「助かった」
ミラ・ジュンはそう言って、尻餅をついた。
「大丈夫か、ミラ」
アックスが心配そうに彼女に近づく。
「あ、アックスさん、ちょっとあぶなかったかな」
ミラは少しぶらつきながら立ち上がった。
その様子を近くで見ていた魔法使いの二人組が話す。
「なんて少ない魔力だよ。あれでよく魔導師になれたものだ。あのツインズ・ハート」
「いや違う、あの娘の片方は、精神を封じられていたのだぞ」
それを聞いた最初に声を出した魔法使いは驚いた。
「確か、マイク、その魔法から抜け出すには、相当の魔力が必要だったな」
それでいて、彼女は、相手の魔法を打ち消したりしている。
「それじゃあ」
その光景を思い出した。
「あぁ、エイガ、あの娘の魔力は我らの魔力を合わせても、勝てないかもしれない」
マイクと呼ばれていた魔法使いは、感心しながら彼女を見つめる。