その名はガルガス
ダレスは剣を構えたジュンを睨みつけた。
「そうか、ジュン、だが、ここまでだ」
彼は、再び黒い兵士達を呼び出して、彼女に襲いかかる様に合図をする。
兵士達は周りにも攻撃を始めたので、彼女はなるべく周りに被害が及ばない様に注意しながら戦ってい たので、その為に隙ができた。
「今が、チャンスだ」
ダレスはその隙を見逃さずに先程から溜めていた魔法をジュンに向けて打ち出す。
黒い兵士達と戦っていたジュンは、それに気がつくのが遅れてしまい、まともに食らって気を失った。
「ジュン」
アックスはジュンを助けに向かおうとしたが、なにかにぶつかる。
「なんだ」
「結界をばったのだ。お前はそこで見ていろ、ワシの片腕が産まれる瞬間を」
ダレスは掌に魔力を溜め始めた。それを見たアックスは慌てずに瞼を閉じてなにかを呟いて、バトルアックスを振り上げた。
「そんな物でワシの結界を破壊できるものか」
ダレスは笑っていたが、そのバトルアックスが結界に当たるたびに何故か、結界にヒビが入って広がっていく。
「そんな、バカな」
ダレスはその様子に驚いてしまった。
「こうなったら早く、ミラをワシの片腕にしなくては」
ダレスは気を失っているジュンに目掛けて、魔力を放ったが、意識を失っている筈の彼女が手を伸ばしてその魔力を打ち消す。
「なに、もう一つ魂が有ったのか?」
その声が聞こえたのか、ジュンはゆっくりと立ち上がった。
「まぁ、よい、暫くはカラダが痺れている筈だ。かかれ、黒い兵士達よ」
ダレスは、新たに黒い兵士達を呼び出して、ジュンを襲わせたが、彼女の掌から魔法の矢が出てきて、黒い兵士達を消滅させる。
「誰だ。お前は」
ダレスはジュンに向けて叫んだ。すると、彼女は閉じていた瞼を開いて、剣を鞘に収めて、ダレスに顔を見せると、彼は驚いた。その瞳は右目は青のままだが左目は緑へと変化していたからだ。
「その瞳の色は、お前はミラか」
「そう、ボクは、ミラ・ジュン・グラクスだよ」
ジュン、いや、ミラかダレスを睨みつける。
《ミラなの、心配したわよ》
ジュンがミラに話しかけた。
(ごめん、姉さん、あの男が姉さんに放った魔法を解除するのに手間どってしまって)
《ちょっと待って、ミラ、私を狙っていたって》
ジュンは驚く。
(そう、あの男が言ってたと思うけど、ボクと姉さんを切り離すつもりだったのよ)
ミラとジュンとのこの会話は一瞬のうちに終わったのだ。
ダレスは彼女の中で、そんな会話が行なわれたことも知らずに言う。
「そうか、ミラよ。ジュンはお前が何者かに封印されたことを喜んでいたぞ」
「ところで、あなたは誰ですか」
ミラはダレスの言葉を無視して睨みつけた。
「なにを言っているのだ。ミラ、そうか、騙されるなよ。そのジュンってやろうは」
ダレスはさらにミラを言いくるめようとする。
「もう一度、聞くけど、あなたは誰なの」
ミラはもう一度訊ねた。
「なにを、言っているのだ。ミラ」
ダレスは顔をひきつれながら慌てた。
「とぼけるつもりなのね、もう、ボクはわかっているのよ。あなたの名前は、ガルガス・セッタよ」
その言葉を訊いたダレスはうわずった声を出す。
「なんのことだ」
《そうよ。どうして、ダレスがガルガスなのよ》
ジュンが訊ねたので、ミラは答える。
(ガルガスはワタシタチと同じよ)
《ツインズ・ハートなのね》
ジュンは驚いていると、ミラは言葉を続けた。
(そう、ガルガスは、ダレス先輩の双子の兄弟よ)
「ミラよ。俺があの邪悪な魔導師ガルガスの生まれ変わりだと言いたいのか」
ダレスは彼女を睨みつける。
「そう、あなたは、ダレス先輩じゃあない、何故なら、あなたは見つけたから、アレは真の主の命令にはしたがうから、今までは主がいなければすぐに移動してしまうから、真の主の命令であそこに留まっでいたのよ。そういうことだから、あなたは先輩の双子の兄弟であるガルガスよ」
「ふ、ふ、ふ、よくわかったな、ミラよ。ワシはガルガスだ」
それとほぼ同時にガルガスと名乗ったダレスが張っていた結界が崩れた。
「なに」
ガルガスは我が目を疑う。
「そんなことはありえない、ワシが造り出した結界が只のバトルアックスに崩されるなんて」
アックスはゆっくりとみら・ジュンに近づく。
「ジュン、大丈夫か」
アックスは彼女の様子が先程とは違うと雰囲気に気がついた。
「キミがミラだね」
(姉さん、この人は誰なの)
ミラがジュンに訊ねる。
《アックス·リバートってゆう旅人よ。僕達を助けてくれた人よ》
ジュンの説明を受けたミラはアックスに頭を下げた。
「ありがとうございます。ボクの名前は、ミラ・ジュン・グラクスのミラです」
「お前達、ワシを無視するな」
ガルガスは二人を睨みつける。