身に余るチカラを求めし者の最後 1
ミラ・ジュンのその顔にガルガスはいらだしを出した。
「なんだと」
彼はミラ・ジュンを睨み、魔法弾を打ち出したが、彼女があえて、その魔法弾を受けて言う。
「思ったとおり、あなたのチカラには強力な魔力を感じない」
「強力な魔力を感じないだと」
ガルガスは頭に血を上げて、次から次とミラ・ジュンへ魔法弾を打ち出したが、彼女は持っている魔法の杖の魔法石に吸収させた。
「なんだと」
「あなたはワタシタチには勝つことはできない」
ミラ・ジュンは杖を構える。
「そんな、バカなことはありえない」
ガルガスは再び、彼女に向けて、魔力を溜めた魔法弾を打ち出したが、ミラ・ジュンは杖を振って、溜めていたガルガスの魔法弾を打ち出した。その魔法弾はガルガスの放った魔法弾を粉砕して、ガルガスに当たった。
「バカな、そんなことはありえない」
ガルガスは呆然とする。それは彼女に今まで放った魔法弾は遊びのつもりで放っていたが、ついさっき放ったのは本気だった。だが、彼女が杖から放った魔法弾はその数倍以上で、自分が放った魔法弾を粉砕して当ててしまうとは。
「あなたのカラダ、いえ、先輩のカラダは魔王の魔力についていけないから、全開しない様にしているのよ」
「なるほど、そうゆうわけか」
アックスは彼女の言葉に納得した。
「どういうことだ。それは」
ガルガスがアックスを睨む。
「あなたには理解できないのですか」
アックスが言うと、ガルガスは大声を出した。
「黙れ、若造」
「歳はたいして変わらない様に見えるけど」
その言葉に怒りを積もらせてガルガスはアックスに襲いかかったが、それをミラ・ジュンに阻まれる。
「そこまでです。もう終わりです。ガルガスさん」
ミラ・ジュンがガルガスに言った。
「どういうことだ。小娘」
ガルガスが彼女を睨む。
「もう、あなたのカラダは、崩壊が始まっている筈よ」
ミラ・ジュンは彼のカラダを見た。
「バカなことを言うな」
ガルガスは怒りにまかせ連続して彼女に魔法弾を撃ち込んだが、いくつかはさっきと同じ様に杖の魔法石に吸収させて、残りは杖の仕込み刀で切り裂いた。その様子を見た彼はあることに気がつく。
「魔法と闘気を使いこなす者、魔導剣士、それが、お前達か」
「たまに、人に言われる時もあります」
ミラ・ジュンはガルガスの顔を色違いの瞳で睨んだ。
「なんだ、その目は」
「あなたはなにもわかっていない」
彼女は哀しそうに言う。
「どういうことだ」
ガルガスは再び大声を上げて、ミラ・ジュンに襲いかかるが、彼女はその攻撃を避けた。
「避けるな」
さらに怒りを積もらせたガルガスは魔法弾を打ち出す。
「止めろ、それ以上、魔法を使うとカラダがもたないぞ」
ジュンがミラからカラダのコントロールを借りて、その魔法弾を刀で切り裂いて言うが、ガルガスは叫んだ。
「お前さえ、お前さえ、お前、ミラのカラダを奪う存在だったら、ミラはワシの同士になる筈だったのだ」
「それは違う、私はミラのことが好きなの、それにそう簡単にミラがあんたの同士になるとは思わない」
ジュンがそう言ったが、ガルガスは笑う。
「お前は、所詮、寄生虫だ。ただ、それだけの存在だ」
「ガルガスさんよ。あなたが言っていることは支離滅裂だとは思わないのですか」
アックスがガルガスを睨みながら言うと、彼は心外だという顔をした。
「どこが支離滅裂っていうのだ」
「自分だけ良くて、他人はダメだっていうことだよ」
アックスが言うと、ガルガスは笑い出す。
「ワシはそれを許される存在だから」
「そんな自分勝手が許される筈はないでしょう」
ミラが叫んだ。
「世界とはそうゆうモノだよ。ミラよ」
ガルガスはミラ・ジュンに迫って来る。
「たしかに、そんな考えを持っている人もいるけど、そんな都合のいいことはないわ」
彼女は哀しそうに呟いた。
「そうだな、世界は誰かを中心に廻っている訳ではないのだから」
アックスはガルガスを睨む。
「黙れ、小僧、ワシこそ、世界の王となる運命を背負っている」
「世界の王か」
アックスはその言葉を何度も舌の上で繰り返して笑った。
「なにがおかしい」
「いや、べつに」
アックスはたんたんと言う。
「ともかく、ワシこそ選ばれし者だ。降参するのは今のうちだぞ」
ガルガスはそう言って、懐から魔法水晶を取り出して、召喚獣を呼び出した。
「ファイヤス・ガッテム・マレイス、出よ」
すると、魔法水晶から一体の炎を纏った馬面をした魔人が現れる。
《姉ちゃん、あいつの相手はオレよりも、メルカの方がいい、奴の炎とオレの炎がぶつかれば、マスターに被害が及ぶ》
ミラ・ジュンの召喚獣のイフリート・ガスト・イーナスが魔法水晶から声をかけた。
(わかったわ、イーナス)
彼女はそう言って、懐からウォータム・マーメイド・メルカの魔法水晶を取り出す。
「どうするつもりた。ミラ」
ガルガスが笑ったが、ミラ・ジュンが発した言葉に驚いた。
「来て、ウォータム・マーメイド・メルカ」
「なんだと、ウォータム・マーメイドだと」
それは無理もない、ファイヤス・ガッテムに対抗できる数少ない召喚獣の一つであるウォータム・マーメイドがミラの手元にあったから。
「バカな、ウォータム・マーメイドの魔法水晶は只でさえ数少ないのだぞ、それが何故、お前がもっているのだ」
「どうして、それを知らないの」
ミラ・ジュンが不死身そうな顔をして訊ねた。




