魔王の魔力
その頃、ガルガスは虹色の球体に開けた穴から溢れ出している魔王の魔力を吸収する為の呪文を唱えていた。
「止めた方がいいよ。ガルガスさん」
ミラ・ジュンがガルガスに声をかけると、ガルガスは振り返る。その彼の顔には不気味な紋章が刻まれている。
「どうやら、間に合わなかったみたい」
ミラ・ジュンは思わず身を引いた。
「どうだ。小娘、これで、ワシは地上最強の魔力を手に入れたぞ」
「愚かな人、たとえ魔力を手に入れても、コントロールができなくては身を滅ぼすのよ」
ミラ・ジュンは悲しい顔になる。
「何故、その様な顔をする小娘」
ガルガスは笑った。
「ワタシタチの本気を見せるからよ」
ミラ・ジュンはそう言って、髪から髪飾りを外して、腕にしている腕輪を外す。
「なんだ。その腕輪は」
長袖だった為に見えてなかったので、ガルガスは驚いた。
「コレは、姉さんの闘気のチカラを抑えているのよ」
ミラ・ジュンはガルガスを睨んだ。
「闘気だと、バカな、いくら、ツインズ・ハートといえ、魔力と闘気を使える筈はない」
その言葉に彼女は一瞬、唖然としたが、あることに気がついて、すぐに真顔になって言う。
「そう、ワタシタチは特別なの」
「おのれ、小娘」
ガルガスはミラ・ジュンに襲い掛かって来るが、それをミラ・ジュンは簡単に避けたが、ガルガスは次に魔法を打ち出す。それにすぐに気がついた彼女はすぐに防御呪文を唱えてそれをみごとに防いだ。
「そんな、今のチカラは並の魔導師だと吹き飛ばすのには十分だった筈だ」
「そうなの、それだとワタシタチをたおすのは無理な話しよ」
彼女はガルガスを見つめる。
「どうゆうことだ。あの髪飾りと腕輪はお前達のチカラを上げるモノではなかったのか」
「逆です。髪飾りはボクの魔力を腕輪は姉さんの闘気を抑えるモノだよ」
彼女は防御魔法を発動させたまま言った。
(バカな、それではこいつは、魔導剣士だというのか)
ガルガスは震え出したが、自分が今持っている魔力のことを思い出して笑い出す。
「小娘、いくらお前が最強の魔力を持っていたとしても、レガルタの魔力を得たワシに勝てる筈はない」
「そうではないわ、レガルタの魔力は絶大だよ。それをコントロールするのは至難だと思うわ」
ミラ・ジュンが真剣な顔をして言うと、彼は言った。
「お前には無理だろうが、偉大なる魔導師であるワシには可能だよ」
「なにが、偉大なる魔導師だよ」
アックスがやって来て、ガルガスを睨む。
「なんだと、何者だ」
「只の戦士だよ」
ガルガスはアックスを睨みつけた。
「只の戦士が魔王レガルタのチカラを得ているワシに勝てる筈はないのに、何故、立ち向かう」
「女の子二人が頑張っているのに、それを見捨てると、か、いや、母さんに叱られるし、俺自身が、そうなことをしたくないからね」
アックスは不敵に嘲笑う。
「この、小童が」
「小童か、そう言われたのは久しぶりだね」
彼は思わず笑った。
「ガルガスさん、魔王の魔力を手放し手放して、カラダを滅ぼすことになります」
ミラがそう言ったが、彼は大笑いで否定する。
「そんなことはない、ワシはちゃんとコントロールをしているではないか」
「そう思っているだけよ。あなたに魔王の魔力をコントロールできる筈はないわ」
ミラ・ジュンがガルガスを睨んだ。
「ある先生の一人がおっしゃっていたわ、チカラを求めるなら、心を強くなりなさい、そして、人々がなにを望んでいるか考えなさいと」
ミラ・ジュンのその言葉を彼は思い切り否定をする。
「人々が望むことだと、チカラは自分の為だけに使うのが正しいのが、正しいのが、わからない愚か者のか言葉だ」
「それはあなたの考え、ワタシタチはそれが正しいと思うからこそそう動いている。それだけよ」
「そうか、所詮、愚か者の考えだ」
彼女の言葉にガルガスは笑いだした。
「いい加減にしろよ。このバカ野郎」
ジュンがミラからカラダのコントロールを借りて言う。
「この寄生虫が、なにを言う、お前はカラダを失っている、だから、この世界に留まることが許されない者だ」
「残念だけど、そうゆうことなら、あんただってそうだろう」
ジュンはガルガスの言葉を否定した。
「ワシは特別で、ちゃんとした目的を持っている」
「それなら、私も同じ、私はミラに幸せになってもらいたい」
彼女はガルガスを睨む。
「そのことが許されているのは、ワシだけだ」
ガルガスは片腕を大げさに振り回した。
「それは違う、それは産まれた全ての人に与えられた権利よ」
「そうだな、己一人だけ幸せになってもいずれは不幸になる時が来る」
ジュンの言葉にアックスが言うが、ガルガスは。
「不幸になるのは、ワシ以外だ」
「あなたって哀れな人」
ミラ・ジュンはガルガスを哀しそうに見た。




