絆が戻る時
エレはミラ・ジュンを睨んで叫んだ。
「その考えがおかしいのに何故、気がつかないの、ミラ、それならチカラづくでも言い聞かせてやるわ」
彼女はミラ・ジュンに向けて魔法を打ち出したが、彼女はすぐにその魔法を打ち消す。
「それが、あなたの最高の魔法なの」
「そんな、ガルガス様の話だと、ライラのチカラも使える筈なのに、これじゃあ、以前とあまり変わらないじゃあないの」
エレは愕然として両掌を見た。
「なにをしているのだよ。そんなモノで、あのミラを倒すことができる筈はないだろ」
ケシトが言って、ミラに襲かかる。
「あんたの腕では私を倒すことはできないよ」
今度はミラに変わってジュンがケシトの相手をした。
「なんてやつだ」
ケシトは思わず身を引く。
「あんた達はガルガスの奴に騙されているのだよ。気がつかないのかい」
ジュンは訴えるが、二人は聞く耳を持たなかった。
「黙れ、いい加減なことを言うな」
「それならどうして、兄弟の魔法が使えないの」
ミラがジュンから変わって訊ねる。
「それは」
エレとケシトはなにも言えなくなった。
「それはつまり、あなた達はガルガスに騙されたのよ」
ミラ・ジュンが二人を見つめて言う。
「そんな、バカな」
二人は絶句した。
「とりあえず、あなた達にかけられている魔法を解くわ」
ミラが言うと、二人は慌てる。
「それだけは止めてくれ」
「二人共、どうして」
ミラ・ジュンが訊ねた。
「だって、たぶん、ライラは怒っているかもしれないから」
「そうだ。セイの奴もそうだろう」
二人は自分の兄弟達が怒っていると感じて脅えた。
「大丈夫、ボクが説得するから」
ミラ・ジュンが言う。
「本当に大丈夫なのか」
「たぶんね」
ミラ・ジュンは笑って答えた。
「そんな簡単に言わないで」
エレが言うと、ケシトは言う。
「多分、セイが今度はお前が奥に行けって言うだろう」
「そうね、ライラも怒っているよね」
エレは悲しそうに呟く。
「心配しないで、話をすればわかってくれるから」
ミラ・ジュンは二人にもう一度言った。
「でも」
エレはうかない顔をする。
「ともかく、ちゃんと話をしないと始まらないよ」
ミラ・ジュンが二人を見た。
「わかった。ライラと話をする」
「そうだな、そうするしかないか」
二人は決意をする。
「それじゃあ、始めるから、腰を落として」
そして、彼女はアックスの方を向いた。
「アックスさん、彼らを救っていますので、警戒をお願いします」
「わかった」
アックスは頷いた。それを見て、彼女は二人の方を見る。
そうして、ミラ・ジュンは腰を落とした二人の額に手を当てて呪文を唱え始める。すると、ミラ・ジュンのカラダが光り初めて、二人を包み始めた。
エレとケシトは二つの門の前に立っていた。
「此処は」
二人が呟いていると、一人の女性の声がする。
「それが、あなた達の兄弟を閉じ込めている門よ」
「ミラ」
二人がその声の方を見ると、よく似ている銀髪の女性が二人が立っていた。
「あなた達」
エレが驚いていると、片方の女性は呆れた顔になる。
「あのね、僕達は双子だよ。多少は似ていて当たり前でしょう」
「そうよ。目元が少し違うだけだよ」
もう片方の女性が静かに言った。
「そうだな、セイも俺にそっくりだったからな」
ケシトが思い出しなが呟く。
「だから、わたしが言いたいのは、どうして、あなた達が此処にいるのか、聞いているの」
「まぁ、それは、あんまり考えないで」
エレの言葉にミラはごまかす様に笑った。
「ともかく、あの門を壊せばいいのね、ミラ」
ジュンが訊ねると、ミラはその門を見つめて言う。
「そううまくいけばいいけど、ボクがかかっていたよりも、チカラが強いみたい」
そのことを聞いた二人は顔色を変えた。
「どうしたのだよ。二人共」
ジュンが訊ねると、二人はあのことを説明する。
「そうなの、でも、それなら心配ないわ」
ミラはそのことを聞いて、あることに気がついて笑う。
「どうゆうことなの」
エレが訊ねると、ミラが説明した。
「あなた達自身がかけているなら、それは簡単に解ける筈だから」
「そうなのか」
ケシトが不安そうな顔をする。
「信じて、自分のチカラを」
ミラが二人を見つめた。
「わかった。やってみよう」
二人はそれぞれの門の前に立ち、その門に手を触れた。すると、門が開いて彼らそっくりの人物がでてきて、それぞれに飛びかかって来る。
「エレ、よくも、あたしを封じ込めたわね」
「覚悟しろよ。ケシト」
その二人の顔には憎しみに満ちていた。
「待って」
ミラはその二人の前に立つ。
「退いてくれない、ミラ」
ライラが彼女を睨んで言った。
「それは、できないわ」
ミラは首を横に振って、エレとケシトを庇う。
「退け、ミラ」
セイがミラ達、四人を睨み叫んだ。
「二人共、まずは、落ち着いて、兄弟の言葉を聞くのよ」
ジュンがライラとセイを落ち着かせる様に言う。
「あなたは、ミラに裏切られていないからそう言えるのよ」
ライラがジュンを睨んだ。
「そうかもしれない、でも、私は昔、カラダを奪おうとしたことがある」
ジュンはそのことを思い出す。
「そんな、だって、あなた達は仲がいいのが有名よ」
ライラは驚いてジュンを見た。
「今はね」
「そんなのはどうだっていいことだ。ケシトはオレの言葉なんて無視をして、ガルガスと一緒になってオレを封印したのだぞ」
セイはケシトを睨む。
「セイ、わかったよ。どうすれば許してもらえるのかな」
ケシトは顔を伏せて言う。その様子を見て、セイは彼の顔を見ずにまだ存在している門を指さしだ。
「あそこに入って、あのカラダをオレに差し出せ、そうすれば許してやるよ」
「わかった。父さんや母さんを頼む」
ケシトがそう言って、門へ向かおうとしたが、セイは突然、ケシトを止める。
「何故、そうする。どうして、反論しない」
「それは、俺はお前を裏切ったからだ」
ケシトは笑って、門に入ろうとすると、セイが叫んだ。
「待ってくれ、ケシト」
セイはケシトの腕を掴む。
「わかっていた。あの時、お前の耳にはオレの声が聞こえていなかったことが」
「それでも、裏切ったことには変わらない」
ケシトは顔を伏せた。
「もうそんなことはどうでもいい、これからしなければいけないことがあるのだろ」
セイはケシトの顔を上げさせる。
「セイ、そうだな、あの男の野望を止めさせなくてばいけない」
二人のやり取りを見つめていた。エレとライラは静かに手を握り合った。
「ごめん、ライラ」
「もうそれはよしましょう、それよりも今はセイの言うとおり、ガルガスのやろうとしていることを、止めなくては」
「どうやら、あちらの方は話し合いで解決したみたいね」
ジュンはエレとライラの方を見る。
「そうなのね、さぁ、みんな戻りましょう」
「そうだな」
四人は頷いた。
「でも、どうすればいいの」
エレが言うと、ミラが笑う。
「戻りたいと願うといいよ」
「わかった」
四人は頷いて、それぞれ帰りたいと願って瞼を閉じて、再び瞼を開けると、そこには少し、焦っているミラ・ジュンが立っていた。
「どうしたの、ミラ・ジュン」
エレ達は周りを見て驚く。
「説明をしなければいけないけど、それはあとにしなければいけないね」
そこには彼らを囲む様に光の膜が貼られていて、一体の召喚獣がその膜に拳をぶつけでいる。
「なにがおきているの」
「キミが、彼らに触れて、目を閉じて、暫くするとあの召喚獣が現れて、キミ達を襲おうとしたが、ミラ・ジュンの懐から六つの魔法水晶が出てきて、この光の膜をつくりだしたのだよ」
アックスが説明をした。
「ありがとう、みんな」
ミラ・ジュンがそう言うと、その一つが点滅する。
「そうなの、アレは炎の召喚獣なのね」
その言葉を受けて、その魔法水晶は再び点滅をする。
「それじゃあ、みんな、戻って」
ミラ・ジュンが手を上げると、六つの魔法水晶が彼女の手に戻ってきた。
「それじゃあ、頼んだね、来て、イフリーター・ガスト、イナース」
ミラ・ジュンが先程から、点滅していた魔法水晶を掴んで叫ぶと、一体の召喚獣が現れて、光の膜を殴っていた召喚獣の拳を掴む。
「そこまでだよ。偉大なる炎さんよ」
イナースと呼ばれたその召喚獣はニヤリと笑った。




