姉妹の気持ち
「この件は終了かな」
アックスは呟いた。
「とりあえずは、あとは、彼らを保安所へ連れて行って、事務所へ引き渡してもらえばいいだけです」
その様子を、彼らに追いかけられていた少女が黙って見ていた。それに気がついたミラ・ジュンは彼女に訊ねる。す
「ねぇ、あなたはどうして、この男達に追いかけられていたの」
「余計なことをしやがって、御免なさい、有難うございます」
一人の少女の口から異なる口調が出てきた。
ミラ・ジュンとアックスは顔を見合わせる。
「あなた、ツインズ・ハートなのでしょう」
ミラ・ジュンが訊ねると、その少女は驚いた。
「どうして、わかったの」
「ワタシタチも、ツインズ・ハートだから」
「え、あなたもなの」
その少女がミラ・ジュンを見て驚く。
「ワタクシの名前は、ミラ・ジュン・グラクス、キミ達の名前は」
「ミカ・ルヤ・マリマヤです」
少女はゆっくりと答えた。
「ミカ、名乗る必要はない、早く、別の人達を捜そう」
ミカ・ルヤと名乗った少女がその場から離れて様とすると、ミラ・ジュンが声をかける。
「待って、ルヤ」
その言葉にミカ・ルヤは動きを止めた。
「なんで、あたいの名前が、わかるの」
ミカ・ルヤは驚いて訊ねる。
「ワタシタチもそうだから」
ミラ・ジュンは自分を指差した。
「え、そうなの」
彼女は驚く。
「ルヤ、あなたはどうして、あの男達について行こうとしたの」
ミラ・ジュンは優しく訊ねた。
「それは、ミカの゙為よ。あたいさえ、いなければ、ミカは魔導師になれるわ」
ルヤは涙を流す。
「あなたさえいなくなればて、どうゆうことなの」
ミラ・ジュンが首を捻って訊ねた。
「だって、ツインズ・ハートは、魔導師になれないって」
さらに、ルヤは泣きそうになる。
「ミラ・ジュン、そうなのか」
アックスは小声で訊ねた。
「だったら、ボクは魔導師になれないよ」
その言葉が耳に入ったルヤは驚く。
「だって、あたい達がツインズ・ハートだって知ったら、スカウトの人が駄目だって」
「確かに、学校によっては、ツインズ・ハートを受け入れてくれない所もあるけど、駄目だって所はない筈よ」
ミラ・ジュンは首を傾げた。
「でも、あたいさえいなければ、ミカは立派な魔導師になれるわ」
「ルヤ、あなたって、本当にミカのことが好きなのね」
ミラ・ジュンはルヤに優しく笑いかける。
「なにを言っているのよ」
ルヤは顔をあさっての方を向いて、頬を紅くした。それをミラとカラダのコントロールを変わったジュンは優しく見つめた。
「わかるよ。その気持ち、私だって、ミラのことが好きだから」
「アンタも中にいる姉妹が好きなのか」
ルヤがジュンに訊ねると、彼女は昔のことを思い出して苦笑して口を開く。
「まぁ、私の場合は、最初はミラを憎んだけど」
「アンタは、そうだったの、アンタ達は違うよ。最初から仲がよかったよ」
ルヤは笑っていたが、急に俯いた。
「いい加減にしなさい、あなた、ミカと一緒にいたいのでしょう、彼女それを望んでいる」
「でも、ミカのことを考えたら、あたいはいない方がいい筈よ」
《あたしは、あなたと別れたくない》
ミカは泣きそうになったが、ルヤはそれを無視して歩き出そうとすると、ジュンが立ち塞がる。
「何処へ行くつもりなの」
「何処だっていいでしょう」
ルヤはジュンを避けて歩こうとしたが、ジュンは彼女の腕を掴んだ。
「待って、ルヤさん、ミカさんのことを考えているのなら、あいつらの元に行くのは駄目よ」
ジュンの口調が変わる。
「その口調は、ミラ、余計なことは言わないで」
ルヤは変わったミラを睨んで要ると、彼女は訴えた。
「確かに余計なことかも、でも、それは、ミカさんが望むならともかく」
《ルヤ、その人の言うとおり、あたしはそんなことは望んではいない》
「あなたは、黙って」
ルヤは思わず、ミカに言う言葉を漏らしてしまう。
「やっぱり、彼女は反対をしているのね」
ミラはルヤを見つめた。
「そうよ。でも、そんなのは、アンタには関係ないことよ」
「ところで、彼女は魔導師になりたいって、言っているの」
ミラがルヤを静かに見つめ訊ねる。
「あたしは、メリメさんと同じ保母さんになりたい」
ルヤの口調がわかった。
「あなたがミカさんね」
ミラが訊ねると、彼女は頷く。
「ミラ・ジュンさん、ルヤが迷惑をかけてすいませんでした」
ミカが頭を下げた。
「いいよ。ワタシタチも彼女の気持ちはわかるから」
ミラ・ジュンは笑う。