闇の誘い
此処は、ガルガスの移動屋敷の自分の部屋で、椅子に座って目を閉じていた。
「やはり、やられたか、さすがに邪魔だな、ジュンは」
ガルガスは椅子から立ち上がり、不機嫌そうに部屋から出る。
「閣下、どうしたのですか」
「なんでもない」
配下の男性が近づいて来た。
「それよりも、新しい同士を捕まえて来たのか」
ガルガスはその配下に訊ねる。
「はい、閣下、二名を我らの同士として、迎い入れました」
「そうか、会ってみよう」
ガルガスは配下を引き連れて、新たな同士となる者を待たせている部屋に向かった。そこには、ダレスの記憶にある顔見知りの二人の男女がいた。
「ダレス、どうしたのだ。俺をどうするつもりなのだ」
「そうよ。なにが、世界平和の為よ」
その様子をガルガスは、笑って見つめる。
(これは、よい同士になりそうだ)
「我が、同士よ。よく来てくれた」
ガルガスは、笑って、彼らに近づいた。
「なにが、我が同士だ。どうゆういみだ。ダレス」
「そうよ。ワタシタチを此処から出してよ」
二人はガルガスを睨む。
「そのカラダを自分一人のモノにするつもりはないか」
ガルガスは二人を見つめた。
「なにを言っているのだ」
男性はガルガスを再び睨む。
「そう、君達は、本来は一人の筈だろ」
その言葉に二人は俯いてしまった。
「君達を解放しよう」
ガルガスは二人に笑いかける。
「それなら、早く此処から出してよ」
女性がガルガスを睨んだ。
「開放するのは、本当の君だよ」
ガルガスは、急に彼女の頭を掴む。
「なにをするのよ」
彼女がガルガスを睨みつけると、彼はゆっくりと優しく話しかけた。
「君は、そのカラダを自分のモノにしたくはないかね」
その言葉は彼女の魂に染み込む。
「このカラダは、わたしとライラのモノだ」
彼女は喉から絞り出す様に言った。
「そうかな、ライラだったかな、あの女は君のカラダを狙っているぞ」
その言葉を聞いた途端、彼女の双子の姉妹が叫ぶ。
{そうよ。このカラダはワタシのモノよ。あなたこそ、諦めてちょうだい}
《エレ、違う、ワタシはそんなことは、考えていない》
エレ、彼女には、ライラの本当の声は聞こえなくなっていた。
(そう、あなた、そんなことを考えていたのね)
{ねぇ、ダレス、エレよりも、ワタシの方が役にたつわ}
偽りのライラの声にエレの神経が騒ぎ立てる。
《エレ、落ち着いて》
そのライラにガルガスの声が聞こえた。
(諦めろ、小娘、エレはワシの同士となった)
《エレ、目を覚まして、彼はダレスじゃあないわ》
ライラの声はエレには届かなかった。そして、彼女はガルガスに封印魔法を教わり、ライラを封じる。
「これで、わたしはライラの『チカラ』を使えるのね、ダレス」
「あぁ、そうだとも、エレ、そして、これからはワシのことはガルガスと呼んでくれ」
エレの先程とは違う口調に男性は驚いた。
「彼女になにをしたのだ」
「なにもされてはいないわ、わたしは目覚めたのよ。真のツインズ・ハートに」
エレが男性に向かって言う。
「真のツインズ・ハートだって、それはウソだ」
男性は声を張り上げたが、ガルガスは彼にもゆっくりと話かけた。すると、彼もエレと同じ様になった。
《ケシト、やめてくれ》
男性の双子の兄弟、セイが叫んだが、ケシトには伝えることがなかった。
「さて、我が同士よ。あの者達に褒美を与えようではないか」
ガルガスは二人に声をかける。
「えぇ、そうですね、ガルガス」
二人は頷いた。
「閣下、よろしくお願いします」
その言葉を聞いた三人は笑って、男達にある魔法をかけた。すると、男達の瞳に生気が無くなる。
「そう、あなた達はわたし達の人形よ。これからはなにも言わずに働きなさい」
「はい、ガルガス樣、エレ樣、ケシト樣」
男達達は静かに頷いた。
「エレ、ケシト、お前達に言っておく、あくまでもお前達は、ワシとミラの部下だ」
「はい、わかっています」
エレとケシトは笑う。
ガルガスは最強のチカラを持つ女性が自分の手に入ることを思い描いて笑った。
なにも無い空間で又声が響いた。
『アイオリス、お前さえ手に入れば、もう怖いモノは失くなる、そうお前さえ』




