邪悪な魂を切れ
翌日、ミラ・ジュンとアックスは朝一番に宿屋から旅出して、近くの委員会の事務所へ向かった。
「ガルガスが復活したことと、例の魔法のことも報せなくては」
ミラが焦りながら言う。
そうして、委員会の事務所の前にたどり着いた。
《ミラ、中の様子がおかしい》
(その様ね)
ミラ・ジュンの様子になにかあると感じたアックスは彼女に訊ねる。
「もしかすると、危険な状態かい」
「そうみたい、ガルガスはダレス先輩の記憶を持っているから、此処を知っているから」
ミラ・ジュンは顔を顰めていると、事務所のドアが開いた。
「お待ちしていました。ミラ・グラクス様」
室長が事務所から現れて、頭を下げる。
「ガルガスが来たのでしょう」
「はい、ガルガス様は、あなた様がジュンを封じて、自ら来られることを、首を長くされて待って織られます」
室長は再び頭を下げた。
「いい加減にして、あなたは消えなさい、偽りの魂よ」
「ちっ、気がついていたのですか」
室長が顔を歪ませる。
「そんな顔をしないで」
ミラは思わず大声を出しだ。
「貴方様がジュンを封印して、ガルガス様の元へいらしゃったら、この者達を解放しましょう」
室長がそう言うと、事務所から六人の男女がやって来る。
「ウソは無駄よ」
彼女は室長を睨んだ。
「ミラ、どうゆうことだ」
アックスが不思議そうな顔をする。
「彼らがかかっている魔法は、普通は、術者が術を彼らの傍で解除しないと打目なの」
《どうする、ミラ》
ジュンがミラに話しかけた。
(とりあえず、室長さん達にかけられた人工魂を切り離さないと)
《ちょっと、きついわよ》
ジュンは少し苦笑する。
「なにを考えているのですか、ミラ様」
室長は彼女を見つめた。
「そうね、あなた達と本当の室長さん達を切り離すやり方を考えていたの」
「それは無理な話ですね」
室長達は笑い出す。
「どうしてなの」
「それは、彼らがこれを望んでいるからですよ」
彼女の質問に室長は答えた。
「そうかしら」
ミラ・ジュンは苦笑をする。
それを聞いた室長は笑い出した。
「よくご存知で」
「でも、ミラ様、あなた様は、我らとともに、ガルガス様の元に来るべきなのですよ」
所員の一人がミラ・ジュンに近づく。
「それに、ミラ様、これだけの人数に、勝つことができますか」
別の所員がミラ・ジュンを笑った。
「やってみる?」
ミラ・ジュンが笑った。
「小娘、人が下手に出て居れば」
室長が怒りで、こめかみに青筋を立てていると、ミラ・ジュンは静かに言う。
「やっぱり、本性を現した様ね」
「黙れ、小娘」
本性を現したガルガスの人形となっている室長達が、ミラ・ジュンに襲いかかって来た。
「やってみろよ。小娘」
ミラ・ジュンは近づいて来る室長達から離れる。
「逃げるな、小娘」
「逃げない、今から、あんたらと室長達を切り離す」
ミラから、カラダのコントロールを譲り受けたジュンはそう言って、杖から剣を抜き、剣を縦横に振った。すると、剣から光が出て、室長達に当った。
そうすると、室長達が苦しみだして、光が当った場所を押さえる。
「なぜだ。我等が痛みを感じるとは」
その瞬間、ガルガスに創り出された邪悪な魂は室長縦達のカラダから離れた。
(そんな、我等が簡単に切り離されてしまうとは)
「ボクと姉さんがチカラを合わせるとこんなのは」
ジュンからカラダのコントロールを返してもらったミラが静かに言う。
(そんなバカな)
室長達に取り付いていた邪悪な魂は唸り声を上げて、ミラ・ジュンに取り付こうと襲いかかって来たが、彼女がなにかを呟いているのに気がついて、慌てて逃げ出そうとしたのだが、既に彼らのいる場所には彼女が造り出した魔法陣が存在した。
「創り出された邪悪な魂よ。光りのチカラにより、去れ」
(ガルガス様、この娘はトンデモナイ魔力を……)
創り出された邪悪な魂はその存在が消滅しながら呟く。
「助かった様だな」
室長は頭を横に振りながら、ミラ・ジュンに近づいて来た。
「室長さん、大丈夫ですか?」
「すいません、ミラ・ジュン」
室長は何故か、ミラ・ジュンに頭を下げた。
「気にしないで下さい」
ミラ・ジュンは笑った。そうしていると、他の所員達も頭を横に振っている。
「皆さんも、無事の様ですね」
「えぇ」
室長が頷いていると、アックスが声をかけた。
「この件は、終わった様だな」
「まぁ、そうですね」
室長は浮かない顔をしながらも言う。
「室長、もしかして私達は、何者かに操られていたのでか」
「そうだ。その者の名は、ガルガス」
その名を聞いた数人の所員は顔色を変える。




