表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボクは魔導師、姉は剣士、一つのカラダを共有しています  作者: ゆたか
二つココロの魔導剣士
1/35

プロローグ

 およそ数十年前、レイテイリア大陸を中心に魔王レガルタの闇に覆われていた。その魔王の前にある勇者パーティが立ちふさがった。彼らは勇者アイオリス、賢者メテアク、重甲戦士ボルト、僧侶メルメであった。勇者達の活躍で、遂ある洞窟に魔王を追い詰める。アイオリスは、銀髪を振るって左右色違いの瞳でレガルタを睨みつける。

「覚悟しろ、レガルタ、もうあんたの夢は終わりだ」

 アイオリスがレガルタへ剣を向けた。

 一方のレガルタは頭を下げて、何かブツブツと呟いていた。その言葉にメテアクは聞き覚えがある。

「気をつけろ、みんな、それは」

 メテアクが叫ぶとほぼ同時にレガルタは掌に溜めた魔力をアイオリスに投げつけた。 

「この五重結界を食らうがいい、我が宿敵、アイオリス」

 アイオリスはメテアクの声に気がつき、聖剣を振って魔力と衝撃波を一つにして打ち返した。

 すると弾かれたその魔法五重結界はレガルタの身体を包み込み、虹色の球体になり空中に浮かび上がり、ある程度高さで固定される。

「愚かだな、魔王レガルタ」

 メテアクは憐れむ様にその空中に浮かんだ虹色の球体を青色の瞳で見つめて、三人の方に向き直した。

「今から、この洞窟を封印する」

 彼はそう言って、懐から数枚の不思議な文字が書かれている長方形の紙を取り出す。

「でも、それだけでよろしいのですか、メテアク様」

 メルメが慌てて訊ねると、彼は笑った。

「心配はない、奴の放った五重結界の中は、全ての魔法が使えなくなる。それにこの紙には結界を強化する文字が書かれている。此処が知られても、入ることできなくなる」

「五重結界って、簡単に解けないと聞いているが」

 ボルトが訊ねると、メテアクが静かに答える。

「一枚づつ剥がしてゆくとゆう地道なやり方があるが、一つ間違えると結界が崩れる場合あるが」

「それは大変だ。それなら、外にも貼らないと」

アイオリスが言うと、彼は頷いた。

「そうするよ」

 そうして、洞窟の周囲に何重も結界を施して封印をする。

 その後、彼らはレイテイリア大陸の大国の一つクラミエ王国へ向かい、謁見の間で国王へ全ての事実を伝える。

「そうか、レガルタは、自らの五重結界を勇者に弾かれて、封印されたか」

「そのとおりです。陛下」

 メテアクは国王の問に答えた。

「アイオリスよ。話しは変わるが、我が娘の一人、リスカと一緒になってくれないか」

 その言葉を聞いたアイオリス達の顔色が変わる。

「あの、私には郷に心に決めた人が待っていますので」

 アイオリスは慌てながら言った。

「仕方がない、その女性には君のことを諦めてもらうとするか」

国王が笑顔で言っていると、ドレスを着た一人の女性が謁見の間に入って来る。

「お父様、そんなことを言いましたら、アイオリス様が困ってしまいますよ」

「しかし、アイオリスよ。片田舎に隠居するよりも、中央で暮らす方が良いとは思わないのか」 

 国王がアイオリスに言い寄ろとした。

「いいえ、私にとって郷はかけがいのないものですし、待っている者もですので」

 彼は丁重に断ったが、国王はさらに詰め寄る。

「お父様、お止めください、一国の王であるお父様にも、断っています方を、何時までも束縛する権利はないと思います」

「だか、リスカ」

国王はアイオリスと止めに入った自分の娘リスカの顔を見た。

「お父様、アイオリス様が思いやっている方がいらしゃるのなら、私はアイオリス様が幸せになるのを願います」

「リスカ、本当にそれでいいのか」

国王が訊ねると、彼女は笑顔で頷く。

「はい」

「そうか、わかった。アイオリスよ。リスカのたのみならしかたがない、アイオリスよ。また会おう」

 国王がアイオリスを見て言った。


 彼らは王宮の前に居て、今後のことを話し合っていた。

 それは、ボルトは暫く、この王国に留まること、メルメは生まれ育った教会で保母になると、アイオリスは宣言どおりに郷へ戻ることに、メテアクはアイオリスと分かれ道になるまでついて行くと言う。

「それでは、また、何時か」

彼らは、旅立って行く、そして、それ以来二人の姿を見かけた者はいない、やがて時が経った。


 レイテイリア大陸のあるクラミエ王国のテリミ村近くにある林の切り株に一人の銀髪の右側にきれいな細工が施された髪飾りをし左腕に同じ様な細工してある腕輪をしている十八前後の女性が坐って、魔法の杖を地面に突き刺して、この辺りの地図を広げていた。

「今までに集めた話によると、この辺りにレガルタが封印されている洞窟があるって」

 彼女はそう言って、暫く黙って廻りを見廻して呟く。

「そうだよね、姉さんの言うとかもしれないね」

 それは、まるで独り言であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ