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何がいけないのか？

　設計者に限らず、日本国民は何故に対米戦争に勝利する事が出来なかったのかを、正確に理解する事が出来ていなかった。その主要因は、己の正当性が絶対である事＝つまり何がいけなかったのか？と言う認識が足りなかったと言う事である。

　それは第二次世界大戦における日本軍の戦い方を見ても明らかであり、何がいけないのか分かっていなかったからこそ、戦局を見誤り補給線も、むやみやたらに拡張して行く事になってしまったのである。

　零戦もその例外ではない。零戦は無敵であると思い込み、何がいけなかったのか検証する事なく、大局的観点を見失ったからこそ、後継機も作れなかったし、何よりも特攻と言う最も避けるべき自爆攻撃を許してしまう事になってしまったのである。何がいけなかったのか、それが分からなければ、そもそも戦争に勝利するのは難しい。

　相手国の弱点を知る事も大事だが、己の弱点を知り抜く事は最も大切な事である。己の弱きを知れば百戦危うからず、とはその事である。改良する事が、新兵器開発に繋がり、それが出来る国だけが、生き残っていく事になるのである。

　米国が世界最強でいられたのも今は昔。中国の台頭により、最強の座を明け渡しそうである。とは言え米国の兵器開発のプロセスはしっかり踏めており、米国のイニシアティブは健在である。

　日本人に最も欠けているのは、自国の弱点を把握しておきながら、それを有意義に活用出来ない点にあると言えるだろう。国の弱点はそれぞれの国家により様々ではあるが、日本人の場合に限って言えば、戦争には不向きな弱点を持っていると言える。