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零の風~あるパイロットの戦争~  作者: 佐久間五十六


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開発者達の戦後

 戦中に多くの兵器を開発し、帝国陸海軍に供給していたのは、軍民関係無く設計者と言った所謂開発者と呼ばれていた、選ばれし人間達であった。戦争が終われば当然彼等の仕事は変わる。変わると言うよりも、変わらざるを得ないとも言える。

 具体的には攻撃的兵器(人を沢山殺す兵器)を戦中はには多産していたが、戦争が終わればそれは、防御的兵器(国土をいかに効率よく守る兵器)を産み出さなければいけない。彼等が食いっぱぐれる事は無いが、それでも開発者達の戦後もそれなりに苦難があったと言える。だが、彼等の苦難がクローズアップされる様な事はあまり無い。

 軍出身者や戦後に民間人として大成した人間の苦労が語られる事はあっても、開発者側の人間が如何にして帝国仕様から、自衛隊仕様にしたからと言う苦労が、語られる事は無いだろう。日本の兵器のほとんどは海外製であると勘違いしている人もいるかもしれないが、意外にも現在にあっても、日本の国産兵器は多い。

 戦後になってある程度の期間はそう言った国産兵器の多くは開発禁止であり、大きな制限があった。元々、日本の軍事技術は世界トップクラスであり、先進的なセンスとそれに見合うだけの国力もあった。残念なのは、それを上手な国策として運用出来なかった事にあり、戦争と言う形でしか発露出来なかった事にあるであろう。多分、日本国家にとって大東亜・太平洋戦争は、全てを変えられる好機であったが、滅亡の機になってしまった。

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