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零の風~あるパイロットの戦争~  作者: 佐久間五十六


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特攻命令

 特攻への流れは至ってシンプルである。あらかじめ訓練された特攻要員が命令を受け特攻隊員となる。事前に意思調査ががあるが、NOとは答えられない空気があったのだろう。特攻命令は、ほぼ強制的と言っても過言ではなかった。

 そんな形で特攻は行われていた。空里天斗に特攻命令が下されたのは、沖縄戦の直後の1945年7月16日の事であった。目標は沖縄近海で活動する米国太平洋艦隊所属の空母機動部隊であった。命令を受けたので、空里は数日内で出撃となる。

 死を惜しむ事も家族と最期の時間を過ごす事も出来ない。空里は、数日内にこの世から消えて亡くなる事など考えたくは無かった。

 そんな事よりも、特攻が未遂に終わり犬死にしてしまう事を恐れていた。既に多くの戦友が、特攻に参加しており、空里の様な末端の兵士にも、特攻の戦果は伝わっていた。勢いのある戦果は少なく失敗する事も聞いていた。

 同じ命をかけるなら、せめて敵と刺し違える事が出来なければ、自殺と同じ様なものでしかなかった。命からがらこの戦争を戦って来たのに、そんな最後は悔やみきれない。様々な事が頭の中を駆け巡ったが、こうなれば後は腹をくくるしかない。特攻がアホらしいと思える様な余裕も無い。彼らにとっては与えられた作戦を実行していたに過ぎない。

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