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零の風~あるパイロットの戦争~  作者: 佐久間五十六


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空里天斗の開戦

 大東亜・太平洋戦争は既に開戦していたが、空里天斗の開戦は1943年の事であった。米国との戦力差は歴然としており、最早敗北の兆しさえ見え始めていた時期であったが、空里にとっては気合の入るものであった。

 ある程度の知識はあったものの、航空機操縦は素人同然であり、まずは操縦に慣れる所から始めなければならなかった。そんな空里が始めて実戦を戦う事になった場所は、南方のラバウルであった。

 既にこの戦争の主舞台は南太平洋にまで移っており、パイロットの墓場ともラバウルは呼ばれていた。ラバウルでは、相当な戦いが日々展開されていた。空里は、先輩機の後ろを着いていくのがやっとであったのであるが、それでも抜群のセンスで、被弾をする事を避けていた。ラバウルで生き残れたと言うのは、名パイロットである事を意味していた。

 ラバウルでの戦闘は厳しさを増していたが、空里は、死に者狂いで生き残った。決して、生きたいと願った訳では無かった。零戦を作った関係者として、自分の設計した航空機で敵にやられる事は末代の恥であると思っていた。その思い一つで生き残れたのであった。

 一兵卒の身ではあるが、とにかく与えられた任務を全うする以外には方法が無かった。戦争とはいかにも酷である。どちらか一方が徹底的にやられるまでは、戦いは終わらない。降伏するまで、戦いは終わらない。だが、一個人が降伏するかどうかを決める権限は無く、米国という若き超大国を相手にそれだけの大英断は、相当な覚悟の上で当時の日本人は戦っていた。無論、末端の兵士である空里にとっては、そんな事は関係無かった。

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