逆ガル型
零戦の機体美の要とも言えるこの形状は通称逆ガル型と呼ばれるものである。ガルとは、英語でカモメの事であり、逆ガル型とは、片仮名のへの字を二つ横に繋いだカモメの飛ぶ姿勢を逆にした形で、ローマ字のWを少し平らにした様な形の事である。
当時は、主翼の胴体への取り付け部分の強度の持たせ方が、金属材料の面でも、工作の面でも、未熟であった為に、胴体から支柱や張り線を伸ばして、翼を支えるのが一般的なやり方であった。
空気力学の観点から言っても、有支柱低翼や羽布張りをした航空機こそが、当時は優勢であった。時代の流れとしては、単葉機から複葉機への移り変わりの中で、その途上で零戦は誕生した。と、言う事が出来る。
その為、日進月歩の技術開発において、日本も諸外国に負けないように努力を重ねた結果であると言える。機体の形状と言うものは、我々が思うよりも、遥かに重要であり、機体の能力向上には欠かす事の出来ない要素である。
事実、世界各国の航空機の形は実に多種多様であり、同じ様な形をしていても、その中身は同じではない。寧ろ、他国の良い所を寄せ集めて、航空機を開発するのは、この世界では常識である。
だからこそ、航空機の内部は立派な軍事機密である。要するに航空機と言う物は、追求して行けば行くほど、似たような形になる物である。それは仕方の無い事だ。




