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零の風~あるパイロットの戦争~  作者: 佐久間五十六


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民間会社に来た理由

 空里が日本陸海軍ではなく、民間会社である三菱重工業に入社した理由は、この当時の情勢を考えると直ぐに理解出来る。

 当時、空里の様な航空エリートが進む道は、かなり限定されていた。飛行機乗り(パイロット)になりたければ、帝国陸海軍に入隊すれば良いのだが、飛行機の設計をしたければ、軍には行かない方が良かった。

 東京帝国大学を出たようなエリートが、軍隊に入隊するのは確かに少し違和感はあった。社会的には大学卒業と言うだけで、エリートと言われていた時代の事である。そう言った事とは別に、設計や航空機開発に携わりたければ、航空機開発をしている民間会社に行くのが、王道であり空里が民間会社である三菱重工業に就職したのも、その様な理由からであった。

 陸海軍は、自らが使う航空機の開発は民間会社に任せていた為、陸海軍に入隊しても、航空機の設計には携われない。何せ航空機の開発は専門の知識が必要である。その知識を活かす為には民間の航空会社への就職以外に道は無かったのである。空里は今でこそテストパイロットをやっているが、本分は設計・開発である。空里の力を発揮する為には、パイロットと言う選択肢はベストではない。

 それでも、民間会社に居る以上は会社の決定は絶対である。ましてや、空里の様な若手社員が設計や開発をやらせてもらえるはずがなく、自力で努力し、肩を叩かれるのを待つしかなかった。与えられた環境のせいにしてはいけない。努力を重ねていれば未来は切り開かれるのである。

 だから、空里は不平不満を絶対に口にしない。無論、この会社に来た事も後悔はしていない。彼は人生に悔いを残すような男ではない。それだけは言える。

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