プロローグ
『人生は最高のゲームだ』
――なんて、誰かがネットで言っていた。
確かにそういう考え方もある。……と思う。
俺にはそんな考え方はできないが。
毎日毎日勉強の日々、点数が悪ければ顔が腫れるまで殴られ、点数が良くても当たり前。むしろ、なぜ点数が悪い時があるんだと怒られる。
それでも、頑張った。親のため。いい学校に行けさえすれば、いつか俺も報われると信じて。
でも、結果は――
もう、終わった。
父親はきっと今日も俺を殴るだろう。いや、受験に失敗したんだ、もっとひどいことになるかもしれない。
想像したくない。すべてを終わらせたい。
ゲームの電源を切るみたいに。
思い返せばつまらない人生だった。
全部全部親の言いなりな人生だった。
自分で考えて行動したことなんてなかった。
こんなことになるなら、もっと楽しいことして、自分勝手に生きていれば違った結果だったんだろうか。
親友ってやつがいて、一緒にゲームしたり、恋愛したり、そんな人生が俺に許されていれば。
あんな学校なんてそもそも目指さなくても、それなりに楽しく暮らせていたんじゃないか?
そんなことを考えても、もう無駄なんだけれど。
もう、死ぬしか……。
そんなことを考えながら駅のホームを歩く。
まぁどうせ俺は自殺する勇気なんてないんですけどね。
自嘲気味に笑う。
ふ、と、隣にいる同じ制服の少女に目が行く。
顔が真っ青で、体は小刻みに震えている。
おいおい、大丈夫かよ……。なんて思ったのもつかの間、ホームに入ってきた電車に向かって、おい。嘘だろ、倒れ……っ!!!
考えるより先に体が動いていた。
少女の腕を掴んで、思いっきりホーム側に引っ張る。
反動で俺はそのまま線路に倒れ込む形になり、全身に衝撃が走る。
そのまま、腐ったトマトを床に落としたみたいに俺のこのつまらない人生は終わった。